参院選投票日まであと2週間を切った。
各党の党首はお忙しいそうだが、最近はSNSのおかげで少々意図的な過激な発言が奏功しているようである。
当然ながら危機感を持った団体が声を上げ始めている。
「「外国人優遇』はデマ 参院選で広がる排外主義に複数団体が反対声明」
参院選で外国人を敵視する動きが広がっているとして、外国人やマイノリティーらの人権問題にとりくむ複数のNGOが8日、排外主義に反対する緊急共同声明を出し、「外国人が優遇されているというのは根拠のないデマ」などと訴えた。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)や一般社団法人「反貧困ネットワーク」など8団体が呼びかけ、266団体が賛同した。 |
米国のトランプに倣って「日本人第一主義」が今年の参院選で横行しているが、ミニトランプ連中は有権者の保守層狙いのようだが真の保守とは排外主義ではないはずだ。
ところが劣勢に立たされている自民党がこんな動きを始めた。
「『保守票』の奪い合い…外国人「規制」に走る政党は 参院選で過激化する街頭演説、排外主義を助長する恐れ」
石破茂首相(自民党総裁)は8日の閣僚懇談会で、外国人政策の司令塔となる組織の設置を指示。外国人労働者の流入規制など「日本人ファースト」を掲げる参政党が支持を広げる中、政権としても対応を迫られることになった。参政党以外の公約にも、在留外国人の規制を厳格化する内容が目立ち、排外主義を助長する懸念がある。(川田篤志) ◆自民内には保守層離れへの危機感が 新設する組織は、不法滞在などの実態把握や規制の見直し、施策の発信を一元的に担う。林芳正官房長官は8日の記者会見で、「一部の外国人による犯罪や迷惑行為など、国民が不安や不公平感を有する状況も生じている」と指摘し、「外国人との秩序ある共生社会の実現は、重要な政策課題の一つ」と強調した。 |
「排外主義」や「差別主義」を「保守」と呼ぶのは止めてもらいたい。
— 川内 ひろし(鹿児島1区) (@kawauchihiroshi) July 7, 2025
「偏狭なナショナリズム」は「ナチズム」であり「保守」ではない。
「保守を隠れ蓑にしたナチズム」が戦後80年の今、剥き出しになり「保守好きな人々」を誘導している。
言葉の定義を曖昧にすると道を間違う。 https://t.co/ziN0Ol5Tba
参政党を保守というのは、保守の方々に失礼。差別・デマ・排外主義です。 https://t.co/gg27GpEEeO
— 田川豊 日本共産党 (@tagawa_yutaka) July 2, 2025
保守ではない。極右排外主義カルト政党です。女性や外国人、性的マイノリティーへの差別のオンパレード。夫婦別姓が治安を悪くするとか、メロンパンを食べたら死ぬなど事実に基づかない非科学的言説の流布。本当の「日本人」かどうかを定めるという創憲案。保守の域を超え危うさどころではなく危険だ。 https://t.co/iyVv2iVxqA
— 矢部真太/神奈川新聞記者 (@shintayabe_257) July 1, 2025
さらに参政党党首はこんなことにも踏み込んでいた。
参政公約「終末期延命措置は全額自己負担」 神谷氏『啓発する思い』」
まさに開いた口がふさがらない思いである。
さて、やはりトランプ関税問題は簡単には解決しそうにない。
「「コメ農家の票が離れる」?そんな言い訳は通用しない…トランプ関税「25%へ」に「まったく無策」な日本の政治家が招く悪夢」
7月7日、トランプ大統領は、日本に対して24%の関税を課すとした。
これに先立ち、トランプ大統領は、日米間の関税交渉について「合意できるか疑わしい。彼らはとても強硬だ」と発言し、交渉の期限である7月9日以降の延長についても否定的な姿勢を示した。貿易赤字や、日本のコメ輸入制限に不満を示した。 相互関税は自由貿易に逆行し、各国が受け入れ難い制度だ。一方で、日本のコメ政策の閉鎖性にも改革が求められる。日本は政策体系の基本を再考せざるを得ない局面に立たされている さらに、日本に対して強い不満をぶつけ、自動車においては「アメリカ車を日本は買おうとしない」、農産品分野においては「米が不足しているのに、アメリカ産米を輸入しようとしない」などと非難した上で「30%か35%か、我々が決める率の関税を支払ってもらう」と大幅な関税率の一方的な引き上げを示唆した。 この数字がいかなる根拠に基づくものかはまったく不明であり、交渉上のブラフに過ぎない可能性も否定できない。しかし、トランプ氏の発言は日本の株式市場に大きな衝撃を与え、翌2日の日経平均株価は、一時500円超下落した。 日本は、当初は優先的な交渉国として扱われ、協議が進んでいるかに見えたのだが、その後、膠着状態に陥り、打開の糸口が見えていない。 しかも、各国ごとに異なる税率が、アメリカとの貿易赤字によって単純な式で計算されていることも合理性を欠く。「赤字が大きければ高い関税をかけて、その国からの輸入を減らす」という単純な論理だ。イギリスが早期に合意に至ったのは、同国への相互関税の上乗せ分の税率が低いからだ。そしてこれは、アメリカの対英収支が黒字になっているからだ。 アメリカは、この仕組みを無理矢理押し付けてくる。こうしたことができるのは、アメリカの特権だ。それは、アメリカが世界最大の経済規模を誇る大国であり、輸出国にとって決して失うことができない大きな市場であるからだ。 しかし、覇権国は、世界の様々な国のサポートによって成立するものだ。トランプ政権は、そうした各国からの期待に背を向けているのである。国際秩序を維持し、自由貿易体制を支えるべき立場にあるはずのアメリカが、自国中心の保護主義に傾くことによって、世界経済に深刻な不安定をもたらしている。その結果、これまで築いてきた同盟関係や国際的信頼を自ら損なう危険性を高めている。 さらに、EVなどの分野でどのようにして米国との相互補完関係を築くかといった長期戦略がからんでくる。トランプ政権は、減税法案の成立に関連して、EVに対する補助政策から撤退する方針を決めた。アメリカに自動車を輸出する日本がそれにあわせようとすれば、地球温暖化という重要な政策目標に背を向けることになる。 このように、トランプ氏の要求は制度や市場の根幹にかかわる変更を迫るものであり、わずか数か月の交渉で結論を出せるような内容ではない。こうした問題に対して日本政府が簡単に約束できないのも、やむを得ないことといえよう。 日本は、WTOの最低限輸入枠(ミニマム・アクセス)制度のもとで無関税の輸入を行なっているが、それを超える輸入については、依然として高関税を課している。トランプ政権が指摘した「700%」という関税水準は誤りであるものの、200%程度の高い関税が課されていることは事実だ。そして、昨年の夏から今年の春にかけて、国内の需要に比べて供給が不足し、コメ価格が高騰するという事態が生じた。 ところで、前記のトランプ発言に対して、小泉農相は、「米国も含めて海外のコメが昨年と比べて120倍入っている」と反論した(日本経済新聞、2025年7月2日)。確かに、財務省の貿易統計によると、コメの輸入は、5月に初めて1万トンを突破し、前年の月平均の126倍になった。 しかし、これは、日本が大量のコメを輸入し続けていることを意味するものではない。むしろ、これまでの輸入量が非常に少なかったこと、そして、今年5月にコメ価格の異常な高騰によって、高い関税を支払ってもなお輸入米に頼らざるを得なかったことの反映として生じた異常事態であったと考えるべきだろう。 だから、この事態から導かれる結論は、「このようにコメを輸入しているのだから、トランプ発言は誤りであり、日本の現状に何も問題はない」ということにはならないはずだ。むしろ、「日本のコメ政策は大きな問題を抱えており、制度の根幹を大きく改革する必要がある」ということになるだろう。 ただし、これがきわめて困難な課題であることは、間違いない。コメ政策は日本の国内政治において強力な票田と結びついており、これに影響を与える政策転換は、政治的に大きなリスクを伴うことになる。 もしトランプがいま来日して日本の町を歩いたとしたら、関税問題に対する戦略も、またコメ政策の基本も、参議院選でほとんど論じられていないことを見て、驚くだろう。日本の政治家は、日本が直面する深刻で重大な問題に背を向けている。 |
ところでチョット前に、経済ジャーナリスト小出 フィッシャー 美奈がこんな記事を書いていたことをったことを思い出した。
「トランプ関税の「真の狙い」か?「安全保障と金融」を結びつける「マール・ア・ラーゴ合意」驚愕のシナリオ」
以前、トランプ大統領の交渉術は、訪問販売で使われる「ドア・イン・ザ・フェイス(door in the face)」と呼ばれる心理テクニック で、最初に思い切り理不尽で高圧的な要求を投げつけて一度相手に「ドアピシャ」をさせておき、後からぐっと現実的な条件を提示して、相手に飲みやすくさせる手法だ、と書いた。
だが今の状況はどうも、圧力をかけようとしたトランプ氏の方が、鉄の扉にガーンと頭をぶつけてうずくまってしまったように見える。 どういうことかというと、通常、株価が暴落するような局面では、投資家はリスクを嫌って株から債券に資産を移す。投資回収が保証されない株と違って、債券は期日が来たら元本が戻ってきて、固定の利払い(クーポン)もつくし、相手が破綻したら真っ先に債権を取り立てる権利も与えられる。中でも国の信用の裏付けのある国債、とりわけドルを世界の基軸通貨にしている米国の国債は、世界で最も安全な資産と見なされる。 ところが今回は株が売られ続けたのにもかかわらず、投資資金は米国債に向かうどころか、そこからも引き上げたのだ。債券というのは、いわば借用証書。その人気がないということは、高い利息を払わないとお金を貸してくれる人がいないということなので、金利は債券価格とは反対に上がる。4月9日に発動凍結が発表されるまでの債券相場は尋常ではなく、10年物米国債の金利が3日間で0.6%も高騰した。 トランプ大統領には、関税収入を資金に減税をやって有権者にアピールしようという考えがあるが、金利が上がれば国債の利払いが増えて財政赤字が更にひどくなり、それどころではなくなる。これで大きくつまずいてしまった。 厳密には、市場での金利が上がっても既に発行している国債の利払いが増えるわけではない。でも満期を迎える米国債が今年は9.2兆ドル、日本円で1300兆円にも上る。その借り換え(ロールオーバー)をするためには新しい国債を発行、つまり新しい借金が必要で、その金利は現行の市場金利に見合った水準にリセットされることになる。 新しい借金だけでも1000兆円を超える額だと、金利が0.1%とわずかに上がっただけで、金利支払いが1兆円以上増えてしてしまう。今年3月時点での米国債の発行総額は28.6兆ドル(約4120兆円)。今や米国の金利負担は防衛費を超える。 「マール・ア・ラーゴ合意」とは、フロリダにあるトランプ氏の別荘の名にちなんだもので、ドル高是正を目的とした1985年の「プラザ合意」のような多国間合意を意味する。こうした構想が、トランプ政権の中にあると言われるのだ。 この構想の下敷きになっているのが、米大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長が、昨年11月に書いた論文だ。ミラン氏は元ヘッジファンドのストラテジスト。 当のミラン氏は、これはあくまで一個人として、こんなやり方もある、と米国の選択肢をクリエイティブに考察したもので、トランプ政権の公式文書ではないし、「マール・ア・ラーゴ合意」という言葉も他人の引用だ、としきりに強調している。だが、トランプ政権を支える金融・経済の政策担当者らが何を考えているのかを推し量るにはとても興味深い資料だ。 ミラン論文がまず指摘したのが、「トリフィンのジレンマ」と呼ばれるドルが抱える問題。他の通貨と違って、世界中の国が外貨準備(リザーブ)として保有しようとするドルは、その需要のために常に過大評価されてしまう、つまりドル高が行き過ぎてしまう、という問題だ。 世界の国々がドルを手に入れようとすると、自分の国の製品を米国に売ってドルを受け取るか、米国債を買って米国政府にお金を貸すことでドル建ての資産を手にする。これは米国にとっては、輸入超過で貿易赤字が増え、利払いが増えることで財政赤字が膨らむことにつながるので、「双子の赤字」がいつまでたっても解消しない。 強すぎるドルによって輸出品は国際競争力を失って米国の製造業は衰退し、安い輸入品で国内消費は過剰になり、国債の金利支払いは防衛費を超えるまでに膨張した。つまり、米国が基軸通貨を世界に提供するコストを一手に負担していることが問題の根源だ、という見方だ。 具体的にはまず、米国の借金を減らすため、各国の中央銀行が保有するドル建ての金融資産(ドル準備、その大部分は米国債と考えられる)の大半を売却させてドル安を誘導すべきというのがその一つ。例えば日本は、日銀のドル買い・円売り介入のための資金など、輸入決済に必要な額以上のドルを蓄えているが、そうした余分なドル準備は売りなさい、というわけだ。 100年物債券というのは文字通り、お金を貸したら元本が100年戻ってこない借用証書のこと。その理屈はというと、米国が同盟国に提供する安全保障は、国のインフラのような長期的な公共財なのだから、同盟国が保有する米国債も「一世紀」といった超長期の方がしっくりくる、というものだ。 短期国債と100年国債の交換(スワップ)で何故金利上昇が抑えられるのかというと、「デュレーション」というコンセプトがあるが、平たくいうと、債券は満期までの長さによって、金利に対する価格の感応度が変わってくる。基本的には、満期の長い債券の方が短いものよりも、金利が動いた時の値上がりや値下がりの幅が大きくなる。 100年という、とてつもなく長期の国債が買われて価格が上昇すれば、より大きな金利低下につながる。そのため、より短期の国債が売られて金利上昇が起きても、それを帳消しに出来るというわけだ。 ただし、100年債を無理やり保有させられる方は、たまったものではない。金利コストを同盟国に負担させるという文脈からして、100年債はクーポン(利子)の殆どつかない「割引債」のようだし、100年のような超長期債は金利感応度が高く、金利がわずかに上がっただけでも資産価値が大きく下がるので、含み損を抱えるリスクが大きい。 さらに、決済のためのドル資金が必要になった時にいざ売ろうとしても、市場で大量に取引されるような資産ではないので、割引しないと売りにくいなど、実にやっかいだ。 では、こんな「合意」を同盟国に飲ませるために、米国はどう動くのか。ミラン論文は、有効な交渉ツール(脅し) の一つとして、関税の引き上げを挙げる。 つまり読み方によっては、足元の関税交渉は米国がその先でやろうとしている「マール・ア・ラーゴ合意」というもっと大きな「がらがらぽん」、世界安全保障と金融秩序の再構築の最初の一歩ではないか、という解釈も出来るのだ。 それに「マール・ア・ラーゴ合意」は、あまりにも荒唐無稽だ。一体全体、どの国がアホヅラ下げて金利もつかない「100年物米国債」など買うのか。それに今の金融市場は「プラザ合意」の時代よりも多様なプレーヤーが参加して、はるかに大きく複雑になっている。もはや政府が市場を動かせる時代ではないのではーー。 今回の騒動が良い例だったが、金融市場を通じて各国が緊密に結びついている今の世界では、相手を殴ろうとすると自分が痛みを被る相互破壊につながってしまう。関税発動後、株とドルの下落までは金利を下げようという「マール・ア・ラーゴ合意」シナリオの想定内だったかもしれないが、結局金利は上がってしまい、思い通りにいかなかったではないかーー。 ただ、「マール・ア・ラーゴ合意」構想が出てくる背景を考えると、世界GDPに占める米国の存在感が戦後の4割以上から25%程度にまで低下しているのに、ドルが今も基軸通貨として世界決済の一番大きな比率(40〜45%)を占めている歪みがあるのも事実だ。 トランプ政権の政策担当者にとっては、米国の覇権を維持することが大命題。そのためには自国の負担を極力軽減する方法を追求し続けるだろう。彼らが、市場には勝てない、とさっさとあきらめてしまったと思うのは早いかもしれない。 1985年の「プラザ合意」では、合意前に1ドル240円だった円が1年で150円となる急激なドル安・円高に結び付いた。ドル安・円高が行き過ぎて、1987年の「ルーブル合意」で軌道修正しなければならなくなったくらいだ。今のドルは、実質実効レート(過去記事参照:怒涛の「値上げラッシュ」のウラで「日本のインフレ」は本物なのか?この国の景気の行方)から見ると、その「プラザ合意」前の水準まで強くなっている。 こうしたことを考えると、今後もトランプの米国からとんでもない要求が飛び出し、市場が悲鳴をあげる場面の再発も十分にありそうだ。交渉に臨む日本は、シートベルトを締めておかなければならないだろう。 |
もっとも懸念していることは、参院選後の石破茂内閣が無傷では済まないということである。
最悪の場合、日本のトップが変わったら、今後のトップ会談では「シートベルト」どころか「エアバック」の装備が必要になるかもしれない、とオジサンは思う。