新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

日本はNATOにすり寄らず「憲法9条」の外交を行え

2022年05月02日 11時44分53秒 | 岸田文雄外交

1年前の話になるのだが、当時の平井卓也デジタル改革担当相はデジタル庁を「ガバメント・アズ・ア・スタートアップ」と表現していた。
 
その心は、「新興企業は急成長することもあるし、たくさんの失敗をしながら進んでいく。前例がないチャレンジをする中でみんなが石橋をたたいてしまってはスピード感が出ない。デジタル庁も失敗をある程度許容する、失敗から学んでいくカルチャーを組織全体としてつくっていく必要がある」ということだったらしい。
 
多くの民間人を期限付きで採用したりしているそのデジタル庁が どうやら組織としてうまく回っていないようである。
 
デジタル庁職員、職場に不満 『激務』『風通し悪い』

デジタル庁が自らの職場環境を把握するため、職員に実施した内部アンケートの結果が1日判明した。「業務が多すぎる」「風通しが悪い」などのコメントが多数寄せられており、庁内に不満が渦巻いていることがうかがえる内容。行政デジタル化などの重要政策が滞りかねず、幹部による早期是正が求められる。
昨年11~12月に当時の職員の85%、約550人が回答した。外部には公表していない。職員の状況に関しては「やる気を失っている若手が非常に多い」「職員がどれだけ日々つぶれているか、来なくなっているか幹部は把握しているのか」などのコメントがあった。原因の一つは業務過多とみられる。

 
専門家からもかなり的確な厳しいコメントがあった。
 
★トップにデジタルについて自分で専門外と言うような老人を据える時点で間違っている。
素人を管理職にしても何も出来ず、結局は部下に丸投げ。
それでいて決定権は持っているから、
部下としてはその素人を立てたり、提案内容を理解させたり、或いは理解してもらうのは諦めて喋ってもらうプレゼン用の台本を一語一句まで作る羽目になる。
民間企業でも、法務・システム・人事・監査なんかの専門知識の求められる部門について、年功で選ばれた畑違いの部長や担当役員が就任することが多いが、百害あって一利もない。
現代はどの分野も高度で複雑になっているから、
専門性の無い人材が管理職としての実績だけでトップになっても、見当違いな判断をするし、 その人に理解してもらうための作業が必要になったりで、現場が疲弊し、スピード感も損なわれてしまう。
 
★私も複数の省庁の委員をしていますが、業務過多なのに国家公務員地方公務員(警察や自衛隊含め)が主要先進国最少最弱なのです。
総務省データで示されています。
戦後最大の国家安全保障もとい国家存亡の危機なのに、公務の最前線で働く人員を補充せず、非効率な意思決定シスムも改善せず、ただ仕事に刻苦せよというのでは昭和敗戦時から何が進化したというのでしょう。
私はこのままでは我が国が先進国たる地位から転落する一方だと強く懸念します。
自身の専門分野でいえば次世代の国民育成にあたる義務教育の教員すら不足し、優秀な人材ほど逃げ出しています。
唯一最善の解決策は、年齢出身にとらわれず、イノベーション促進するリーダーを登用し、必要な人員予算をしっかり確保することのみです。
保守派やその支持者こそ、しっかり実現ください。
国民なくして国家なし、それを支えるのは優秀で十分な数の公務員集団です。
日本大学教授・内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員
 
★日本におけるDXは、従来の業務フロー踏襲、堅持のまま、ツールのみ新しくしようとすることに主眼を置く傾向がある。短期的には業務効率改善せず、新ツールへの習熟コストも生じがち。デジタル庁が、霞が関の業務、ガバナンス改革に踏み込めるかが問われるが、ここで民間重視による霞が関特有の課題発見の難しさが立ち塞がる。単なるデジタルツールの導入から踏み込み、分かりやすい成果を世間に見せられるかどうかが成否の分水嶺になるのではないか。
社会学者 東京工業大学西田亮介准教授

 
組織の名前が「デジタル庁」ながらもトップの人間が「時代遅れのアナログ連中」ならば、使い古されたことわざの「仏作って魂入れず」といったところかもしれない。
 
さて、大型連休に入りテレビメディアは「厭戦気分」からなのか、各地の行楽地だよりに余念がないのだが、残念ながら、ロシア軍高官がモルドバの親ロシア派地域「沿ドニエストル」まで支配下に収める計画を示唆するなど、停戦どころかさらなる侵攻が懸念されている。
 
国際的な批判が高まる一方で金沢大学法学類仲正昌樹教授は、親露・ナショナリズム的な動きも目立っており、一部であがりつつある「ヴィラン(悪役)を求める声」に警鐘を鳴らしていた。
 
なぜウクライナ危機は『トランプ的陰謀論』を氾濫させるのか。危険な親露・ナショナリズムの動き」 
 
■ウクライナ危機で「日本版トランプ」は誕生するのか?
ロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、日本を含む西側諸国の多くは、ロシアとの直接的な戦闘に加わることは回避しながらも、ウクライナ支援・ロシア制裁で概ね一致している。
しかし、その一方、結束を乱す、親露・ナショナリズム的な動きも目立っている。ハンガリーの総選挙では、親露的な政権与党が議席を伸ばした。
フランス大統領選では、ロシアへの経済制裁強化に反対し、NATOからの離脱を示唆する国民連合のルペン党首が支持を伸ばし、中道のマクロン大統領との決戦投票に進んだ。結果はマクロン氏の勝利だったが、前回の大統領選よりも票差はかなり縮まり、40%を超える得票をした。
アメリカでは、プーチン大統領を政治家として評価するトランプ前大統領の再登板待望論が盛り上がっている。
日本でも、ウクライナ危機の背後で、「アメリカを牛耳る“ディープ・ステイト”が暗躍している」、「日本のメディアは彼らの言いなりに報道し、国民の利益を損なっている」といった陰謀論的な言説が流布している。世界で何が起こっているのか。
トランプ氏やルペン氏のプーチンびいきは今に始まったことではない。グローバリゼーションによって自国の雇用が破壊されているという前提に立ち、移民排斥と国内産業保護を前面に出していた彼らは、EUやNATOの東方拡大に抗して、大ロシアの復活を目指すプーチン大統領を盟友のように見ていた。
彼らに共通するのは、むき出しの自国中心主義だ。
長年にわたって自由主義社会の盟主を自認し、世界各地のもめ事に警察官として介入してきたアメリカでは、ごく最近まで、反グローバルなナショリズムは根付きにくかった。世界の警察官が、排他的になるわけにはいかなかったのだ。
1980年代後半から90年代にかけての共和党は、レーガン—ブッシュ(父)政権時代に英国と共にグローバリゼーションを推進した。
しかし、グローバル化によって“職を奪われた”ことへの怒りを募らせる白人貧困層の怒りを支持基盤としたトランプ氏が大統領に当選したことで、共和党はあっという間に自国ファーストの政党になった。
アメリカもフランスも元来、自分たちは世界で最もオープンで、多様な人材を受け入れることで、進歩の最先端にいることを売りにしてきた国である。国際的なヒーローを演じてきた。
しかし、ヒーローを演じ続けるのはきつい。労働市場や生産拠点のグローバル化が進んで、国内産業の空洞化が進むにつれ、ヒーローであるための体力は失われていく。
そこで、かっこうつけなくてもいい、邪魔な連中を排除し、身内を最優先してなにが悪い、と開き直る、いわば、ヴィラン(悪役)になり切るトランプ流が受けたるようになったのである。
バットマン・シリーズで、バットマンがますます暗いキャラになり、ジョーカーやリドラーが“主役化”しているのは、そうしたアメリカ人のメンタリティの変化を反映しているのかもしれない。
ヴィランとして頂点に立ったトランプ氏は、民主党やCNNなどのリベラル派こそ、グローバルな大企業と結び付いて、一般国民を苦しめる“真の悪党”だ、という分かりやすい物語を作り出した。悪党がどんな汚い手を使ってきても、ヒーローは正々堂々と、正義に適ったやり方で真実を明らかにしなければならない。
しかし、ジョーカー的な存在であるトランプ氏は、証明のための手間ヒマを惜しみ、いきなり相手を口ぎたなくののしって、嘘つきと決めつける。
そうした下品なけんか腰で、「もうきつい。他人のことなんかどうでもいい。俺たち(白人労働者)の面倒を見てくれ」という“本音”を言いたい人、自分たちが苦しいのは、努力不足のせいではなく、社会を陰で牛耳る“真の悪党”のせいだと思いたい人たちの支持を集めることに成功した。
日本にもアメリカ大統領選をめぐる陰謀論を広めたQアノンや、議会襲撃で有名になったプラウド・ボーイズなど熱狂的支持者にとって、トランプ氏は、バットマンのような偽りのヒーローを倒してくれる、真のヒーローだったのだろう。
“頼れるヴィラン”であろうとするトランプ氏やルペン氏にとっては、自分たちと同じような、あるいはもっと狂暴そうなヴィラン・キャラであるプーチン氏は、反グローバリズム・反リベラル・リーグの頼れる仲間であったのだろう。
プーチン氏が暴れてくれるほど、グローバリズムは阻害され、大国が露骨な自国中心主義の路線を取ることが当たり前になり、かつ、そういう暴れ者と渡り合うには、トランプ氏のような型破りで何をするか分からないキャラが必要だという印象が強まる。三重の利益があったわけである。
トランプ氏は、(グローバリゼーションの副産物とも言うべき)コロナの対応への杜撰さや人種差別を容認するかのような発言が災いして、選挙に敗れたわけだが、トランプ敗戦を未だに受け入れていない人にとって、プーチン氏の戦争はトランプ復権のカギであり、ヴィランたちの壮大な国盗り物語の幕開けなのだろう。
そういう人たちには、国際的正義を訴えるゼレンスキー大統領の演説やそれに感動してみせる、バイデン大統領などの西側首脳の態度には、欺瞞と陰謀しか感じられないだろう。
彼らの視点に立てば、次のような物語を描ける。
①バイデン大統領の息子は、ウクライナ天然ガス会社の取締役を務めており、副大統領時代のバイデン氏はその会社へのウクライナの検察当局の捜査に圧力を加えた(らしい)。
②その“真実”を暴露しようとしたトランプ大統領は逆に弾劾されるはめになった。
③バイデン氏は、ウクライナとのコネを利用して、ウクライナがNATOに接近するようゼレンスキー大統領に働きかけ、ロシアを挑発した。
④止むなくウクライナ侵攻に踏み切ったプーチン氏を、バイデン氏は素知らぬ顔で“正義”の名の下に非難すると共に、アメリカ製の対戦車ミサイルなどの兵器を供与する形で、軍需産業に利益をもたらしている。
⑤この事態を収められるのは、トランプ氏のように胆力のある、真の政治家だけだ。
この内、③と④に近い見方は、日本でも、鳩山元首相だけでなく、保守系の反グローバル系の論客にも共有されていると思われる。ネットでは、彼らの言説に、①~⑤を一続きのストーリーとして信じるトランプ-プーチン・ファンが便乗する構図になっている。
私は別に、国際正義より国益を優先するナショナリズムが悪いと言いたいわけではない。それぞれの国家に主権・国益がある以上、常に普遍的正義に則って行動することはできない。
しかし、欧米の大手メディアを味方につけたバイデン氏やゼレンスキー氏の言葉が嘘くさく聞こえるからといって、その“嘘を暴く”と称するソースを無条件に信じて拡散するのは、愛国者でもリアリストでもなく、ただの陰謀論者である。
自分は陰謀論者でもトランプ信者でもないという人は、以下の点についてよく考えてみるべきだ。
①トランプ氏であればプーチン氏を抑えられるという議論にどのような根拠があるのか。アメリカの国内利益最優先のトランプ氏は、ウクライナがロシアの勢力圏であるとあっさり認め、天然ガスなどの利権を得ようとする、といいことはないのか。
②仮にバイデン氏がウクライナのNATO加盟に向けて裏工作をしていたというのが本当だとしても、それがロシアがウクライナにいきなり攻め込み、全土制圧を目指すことを正当化する理由になるのか。
③逆キューバ危機だと言う人もいるが、アメリカがウクライナに核ミサイルやそれに匹敵する兵器を持ち込んだのか。
④国際法の大原則を無視して、プーチン流に全ては力だという“本音”に徹することが国益に適うのか。
プーチン氏の戦争はトランプ復権のカギでもなんでもないのである。

 
「鳩山元首相」ほどではないが、今回のロシアのウクライナ侵攻に関しては、しばしばオジサンも当ブログで引用した「いわゆるロシア寄りの論者」の田中宇はオジサンより一回り若いのだが、精力的に自身のメルマガでロシア側からの観点で発信している。
 
最近では、「ウクライナ戦争で最も悪いのは米英」という記事では、「実際の露軍の攻撃はウクライナの諸都市の市街をできるだけ壊さないように進められたのに、欧米の諜報機関は露軍がウクライナ諸都市を無差別に大破壊しているという大間違いの分析をしている、とボーも言っている」との見方をしている。
 
これに対して、やはりオジサンより7歳ほど若い田中宏和は、「日本のNATO首脳会議参加に反対する - ロシア蚕食の段階と核の黙示録」と題したブログでは今回の戦況については「小泉悠や防衛研の陣笠と同じ認識」で「東部戦線での戦いはロシアに不利と踏んでいる。膠着に持ち込むのが精一杯で、大きな決戦に出た場合はロシア軍が負ける可能性が高い」との見立てで今後の戦況をこう予想していた。
 
「現在のNATOの目標こそそこにあり、ロシア国家を崩壊と解体に追い込むことが使命に他ならない。ソ連と同じ運命をロシア連邦に与え、大国ロシアを潰すことが軍事同盟NATOの神聖目的だ。プーチン政権の転覆では済まないのであり、反プーチンの親米親EU政権が立っても、それでは満足できないのである。ポーランドやバルト3国など旧東欧共産圏の諸小国からすれば、いつロシアに第2のプーチンが出現するとも限らず、再び報復されるとも限らない。ロシアを徹底的に弱体化させないと脅威は除去されないのであり、彼らの安全保障の最終的結論は大国ロシアの解体なのだ。」
 
そして、最後にはこう締めくくっていた。
 
「日本のNATO加盟あるいは準加盟には反対だ。ロシアと戦争して何の得があるのだろう。極東からも蚕食を受ける国家存立の最終事態になり、窮鼠猫を噛む捨て身となったロシアは、核のある沖縄米軍基地へのミサイル攻撃に出るだろう。カリーニングラードや南クリルが戦場になる段階は、もう第三次世界大戦である。国家防衛手段の選択に何の躊躇の余地もない。一刻も早く第三者が介入して、プーチンに出口を与える必要がある。たとえプーチンが破滅して失脚したとしても、アクーニンの黙示録がリアルになるどこかのプロセスで、混乱の中、別の誰かが核のボタンに手を掛けておかしくない。ロシアには核しかないのだから。」
 
まさに「憲法9条」を持つ日本の外交力を内外に示す絶好のチャンスなのだが、元外相だった岸田文雄にはそんな胆力がないことが日本の不幸なのかもしれない、とオジサンは思う。 
    
  

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