ジャーナリストの高野孟が、「安倍前首相や周辺が問題視 後継者・菅首相の“2つの裏切り”」という日刊ゲンダイのコラムで、こんなことを言っていた。
「9月12日に日本記者クラブで行われた自民党総裁選のための討論会で、石破の『アジア版NATO』の持論に対して『アジアで敵味方をつくってしまい、反中包囲網にならざるを得ない』とキッパリ否定」したことが1つ目の裏切り。
さらに「敵基地攻撃能力」論で、退陣間際の安倍が9月11日にそれについて「今年末までにあるべき方策を示せ」という“首相談話”をまるで遺言のように残したことについて、菅は11月4日の衆院予算委での答弁で「この談話は閣議決定を経ておらず、その意味で原則として効力が後の内閣に及ぶものではない」と、安倍の言う通りにしないことをアッサリと明言した」ことが2つ目の裏切りだという。」ことが2つ目の裏切りだという。
そのため「菅にしたのは失敗で、来年、自分が再々登板しないとダメかな」という妄想を膨らまし始めた安倍晋三に関して、「『再々登板でポスト菅』の声も 再始動の安倍氏、目指す所は?」という憶測記事が出ていた。
持病の難病の悪化で2度目の政権投げ出しをした安倍晋三だったが、どうやらそれは仮病らしく、最近はこんな回復ぶりらしい。
「安倍氏、『ポストコロナ経済議連』会長に就任へ 『アベノミクスを成功させる会』を衣替え」
コロナ対策の失敗と、結局は幻想に終わった「アベノミクス」により退陣した無責任な輩がうごめくとは、こんなあきれた声がでるのもうなづける。
「この道しかない」という、いつまでもゴールしなくても許される便利なスローガンが、まさかの応用編。
— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) November 11, 2020
「今こそ、アベノミクスの原点に立ち戻り……」https://t.co/uXZtk29j9v
まあ、当分は安倍晋三が何を言おうと何をしようと影響力はほとんどなく、その安倍晋三に対して「2つの裏切り」をした菅義偉の強権を振りをかざす独裁者ぶりが問題なのだが、菅義偉の過去に行った恐怖支配の実態が赤裸々に語られていた。
「首相に抵抗し飛ばされた元総務官僚・平嶋彰英がジブリの雑誌で青木理に語った恐怖支配の実態!『あそこまでひどい人はいない』」
平嶋彰英氏(熱風」11月号)
— 但馬問屋 (@wanpakuten) November 11, 2020
「私が菅さんから最後に言われた言葉が『逃げ切りは許さんぞ』でした」
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自民、学術会議問題で「逃げ切り」に自信?毎日新聞
自民党幹部は「事務所に批判の電話も少ない」と述べ、「逃げ切り」に自信を示す。https://t.co/o14zewVrgG
…オイ!!??
日本学術会議の任命拒否問題をめぐり、菅義偉首相の説明が二転三転どころか四転五転している。当初は拒否した理由を「総合的、俯瞰的に判断」と言っていたのに突如「多様性」と言い出し、実際には「多様性」と矛盾していることを突かれると、5日の参院予算委員会では「推薦前の調整が働かなかった」などと「事前調整」がなかったからだと強弁。「事前調整」とは法的根拠も何もない、まさに政治介入にほかならないものであり、過去の学術会議会長からも「調整」を否定する証言が飛び出すと、菅首相は10日の衆院本会議で「事前調整」を「すり合わせ」に表現を修正したのだ。 「調整」を「すり合わせ」に表現を変えたところで問題は変わらないし、何より任命を拒否した理由の説明にはまったくなっていない。菅首相は否定しつづけているが、「政府の法案に反対」したから任命拒否したことはもはや隠しようもないだろう。 8日に共同通信は「官邸、反政府運動を懸念し6人の任命拒否」と報道し、その後、批判が集まるとタイトルにあった反政府運動を括弧つきの「反政府先導」と表現を改めたが、しかし、菅首相にとっては根拠を挙げて政府の法案に異論を唱えるといういたって当然の行動さえも「反政府運動」だと映っているのだろう。 いや、菅首相がこれまで見せてきた強権性を鑑みれば、「反政府」というよりも「俺に楯突くような奴は絶対に認めない」という独善的な考えから任命を拒否したのではないか。 そして、そのことを強く感じさせる証言がある。それは、スタジオ・ジブリが発行する小冊子「熱風」11月号に掲載されている、ジャーナリスト・青木理氏との対談に登場した元総務官僚・平嶋彰英氏の証言だ。 平嶋氏は2014年7月に総務省の自治税務局長に就任したが、菅首相が総務相時代に肝いりではじめた「ふるさと納税」制度の拡充に反対。すると、官房長官だった菅氏は2015年の人事で事務次官候補とも呼ばれた平嶋氏を、極めて異例の自治大学校長に“左遷”させた。つまり、平嶋氏は菅氏に楯突いたことで排除された官僚のひとりだ。 その平嶋氏は、「熱風」での対談で菅首相の実像を、こんな強烈な言葉で語っている。 「率直に言って菅さんほどひどい方はいませんでした」 「とにかく乱暴なことばかり言って、乱暴なことでも言い出したら聞かなくて、気に入らないと人事権を振るうという印象しかありません」 「とにかく極端な人です。あそこまでひどい人はほかにいません」 「正直、私はいまも怖くて仕方ない」 ●「ふるさと納税」制度をめぐる提案をすべてはねつけた菅首相の恐るべき主張 もちろん、これは人事で飛ばされた「逆恨み」で語っているような言葉ではない。菅首相は、官僚にそう思わせるだけのことをやってきたということだ。 実際、2005年に小泉純一郎政権で総務副大臣となった際から、菅氏の“恐怖政治”ははじまっていた。 「最初に菅さんが総務副大臣に就いたとき、私は上司らと一緒に食事をしたことがあります。その際に菅さんがいきなりおっしゃった台詞は忘れられません。「役人を動かすのは人事だと思っているからな、俺は」と」(平嶋氏) 食事の席で出し抜けに人事を盾にした脅迫を口にする──。これには対談相手の青木氏も「いきなりそんなことを」と驚くが、平嶋氏は「面と向かって平然とそうおっしゃいました。実際に菅さんが総務相になった際、南君がいきなり飛ばされましたからね」と語っている。 この「南君」というのは、菅氏が総務相時代に推し進めようとしたNHK受信料支払いの義務化などの改正案をとりまとめていた情報通信政策局放送政策課長だった南俊行氏のこと。南氏が菅氏の方針に対して否定的なことを口にしていたことが菅氏に伝わり、菅氏が激怒して更迭したといわれているが、先日、改訂版として発売された菅首相の自著『政治家の覚悟』(文春新書)でも、菅首相はこの南氏の更迭劇を〈「いいから、代えるんだ」と押し切りました〉などと誇らしげに記述している。 公文書管理の重要性を説いた箇所は改訂で削除したというのに、あからさまな報復人事のエピソードは削除することなく残した。このことからも菅首相は人事権という権力の濫用を悪いとも恥ずかしいこととも感じていないことがよくわかるが、菅首相の問題は、それ以前の“自分の意見は絶対だ”という頑迷さにある。 それを象徴するのが、平嶋氏が左遷されるまでにいたった過程だ。前述したように平嶋氏は2014年に「ふるさと納税」制度の拡充に抵抗。それは「ふるさと納税」制度が高所得者層のほうが得をするという「極めて不平等で、不健全」な問題を孕んでいたからだ。それを拡充するなんてありえないというのは、平嶋氏個人の考えではなく、さんざん議論を繰り返してきた自治税務局の総意でもあった。「せめて返礼品問題だけでもなんとかしなくちゃいけない」と考えた平嶋氏は、旗振り役であり当時官房長官だった菅氏を説得しようとさまざまな案を持って何度も説明をおこなった。 だが、菅氏はすべてを撥ねつけ、こんなひと言でシャットアウトした。 「純粋な気持ちでふるさと納税している人を俺は何人も知っている」 税の公平性が保たれない問題点を無視し、客観性もへったくれもない独断で異論を退ける──。実際にこのときの平嶋氏らの危惧は的中して返礼品競争は加熱し、結果的に自治体との訴訟にまで発展、国が逆転敗訴するという事態にまで陥っているが、官僚から寄せられた予見に菅氏が耳を傾けていれば、こんなことにはなっていなかったのだ。 ■「ふるさと納税」制度をめぐる提案をすべてはねつけた菅首相の恐るべき主張 しかし、菅氏がおこなったのは、官僚を罵り、怒り散らすことだけだった。実際、平嶋氏は「何度も怒られました」「最後は面罵に近かったですね」と言い、「ふるさと納税制度をめぐってここまで問題点が浮き彫りになってくれば、多少なりとも普通の感覚を持っている政治家ならわかってくださいます」と無念さを滲ませている。 「こんな制度、最初はおそらく菅さんの思いつきの類だったんだと思うんです。(中略)税や寄付の原則論から言ってもおかしな制度であって、住民税の基本的なありようを壊すことになりかねませんから、私の5代前ぐらいの自治税務局長も制度の導入時、抵抗したわけです。でも、その人も結局は飛ばされてしまった」 しかも、平嶋氏が菅氏とやりあったのは「ふるさと納税」の問題だけではなかったという。2014年、平嶋氏は都市部商業地に適用されていた固定資産税を軽減する特例廃止を高市早苗総務相(当時)を納得させた上で進めていたのだが、「国交省が菅さんのところに泣きついた」ことから官邸が動き出した。菅氏の最側近である和泉洋人首相補佐官が横やりを入れてきたというのだ。 「しばらくして和泉さんから電話がかかってきて、「こんなことをやろうとしているのか」と。ですから私は和泉さんのところに説明にうかがい、「これはやらないとマズいことになります」「場合によっては憲法違反で裁判に負けます」「民主党でもやったのに(編集部註:民主党は住宅地の特例を廃止)、自民党でやらないわけにはいかないでしょう」とお伝えしたら、「そうか」とおっしゃる。ただ、菅さんは一度言い出したら聞かないともいうんですね。そこは理屈も何もなくて、和泉さんがおっしゃるには「とにかく国交省の幹部と握ってこい」と。そうすればできるから、というんですが、国交省と握れるわけなんかありませんよ。後ろに業界団体が控えているんですから。 そうこうしていたら、日経新聞に記事が出たんです。この問題の議論がいよいよ税調でスタートする、と。 それを目ざとく見つけた菅さんは「俺がダメだと言っていることを新聞まで使ってやろうとするのか」と激怒しているという話が和泉さんから伝わってきて、実際に次官(総務事務次官)にも菅さんから直接電話があって猛烈に怒られたそうです」 裁判に負ける可能性があるという問題点がはっきりしていることでも、自分の右腕である和泉首相補佐官が「そうか」と納得したことでも、理屈もなく「一度言い出したら聞かない」。そして、平嶋氏は2度も菅氏の逆鱗にふれたことで、前述したように左遷されてしまったのだ。 もちろん、平嶋氏はこうしたことを覚悟の上で抵抗したのだ。平嶋氏は人事について聞かされたときのことも「「ああ、やっぱりか」と思うだけで驚きませんでした。そうなるだろうと予想していましたから」「何かされるだろうなと(思っていた)」と語っている ■固定資産税軽減をめぐっても菅首相がゴリ押し「菅さんは一度言い出したら聞かない」 |
菅義偉の出身大学の法政大学のキャリアデザイン学部教授の上西充子に、「尾中香尚里さんの記事はいつもじっくり読む価値がある。この記事、内部を知る者の見解として語るのではなく、国会審議を丁寧に見る中での考察なので、その見解の妥当性を私たち自身が判断できる。」と評価されていた元毎日新聞記者だったジャーナリストの尾中香尚里が「法治国家から『人治国家』へ変容の危機」と題した記事の中でこう指摘していた。
「『傍若無人な権力行使』とは、分かりやすく言えば「法に基づいて権力を抑制的に使う」たしなみを持たない、ということだ。首相なら当然持っているべきこうしたたしなみを、菅首相はほとんど持っていない」
「菅政権の狙いが、本来法改正が必要なことであっても、政権が自由に法解釈を拡大して『法改正は不要』と判断すれば、わざわざ国会に改正案を提出して、野党に突っ込まれる必要もない。政権の判断で自由に権力を行使することができるようになる。つまり国会を無力化することができる。」
「人事を押さえ「法解釈を政権が一手に握る」ことこそが、政権の目的だったのではないか。『法治国家』から「人治国家」への文字通りの変容を、無意識ながらも目指しているのではないか」
こんなことを目指している輩を野放しにしていれば、まさに文字通りの「放置国家」になってしまう、とオジサンは思う。