今回、CI療法は1日目の脳の可能性を追求するという文脈で、後半に登場しました。当初から取材協力させて頂きましたが、出来上がった内容は、満足できるものであったと思います。NHKスペシャルの特集のタイトルとしても『奇蹟の脳』とか『脳の先端リハビリ』のようなフレーズも考えられたかもしれませんが、『闘うリハビリ』という適切なタイトルでした。
つまり、先端の再生医療を『受ける』のではないということです。CI療法は、患者さん自らの自分との闘いです。しかし、そうすれば、長嶋茂雄さんが言われていた通り、『リハビリはうそつかない』という言葉に象徴されるような結果が得られます。自らの努力で、自らの脳の可塑性を動かす。それは並大抵のことではありませんが、多くのエビデンスにより、治療効果が証明されています。麻痺した手が再び自分の手として(少しではあっても)動かせるようになることから、CI療法終了後の患者さんの多くが、大きな満足感と達成感を得られます。
生活ほっとモーニングでは、兵庫医大病院のCI療法を取材頂きましたが、大学病院だけの先端治療ではなく、一般のどの民間病院でも実施可能な治療ということで、今回、関西リハビリテーション病院に取材をお願いできたことは良かったと思います。
もはやCI療法は、大学だけの研究テーマではなく、より多くの人が全国どこでも受けられる治療になろうとしています。そのことも伝わったのではないでしょうか。何も特別な機器は使っていません。米国のCI療法も同じです。
あとは、論点として、日常生活動作を自立することと、麻痺した手を使うことの2面性が視聴者にも伝わったと思います。この点、大田仁史先生のコメントが適切でした。確かに自立は大切、しかし、麻痺を回復させたい気持ちもないがしろにしてはいけないと思います。
いつも問題になる適応基準については、図が出なかったのは残念でしたが、明確に番組で述べられていましたので、良しとしましょう。
今朝は、ずっと大学の電話がなりっぱなしです。CI療法で検索したり、NHKに問い合わせた結果、私どもの医局に電話を頂いているようです。ご紹介するどの病院も半年以上待機の状況ですが、そうこうするうちに、全国各地の病院でも実施して頂けることを願っています。
CI療法はエビデンスがありすぎて、通常の研究をしても論文はアクセプトされません。一工夫の時代であり、CI療法を普及させることは、研究ではなく、臨床的技術の普及なのです。もちろん、CI療法周辺の研究テーマは沢山あります。光トポのような高価は機器は不要です。どうぞ、CI療法をあなたの病院でも実施してみて下さい。