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重慶でラン&山登り

マラソンと山登りが趣味。
重慶の街を走って見つけた面白いことを記録します。

4K完歩記6 Courmayeur-Ollomont

2016-09-20 21:29:13 | 4K Alpine VDA
9月5日
やっちまいました寝坊です。2時におきるつもりが気が付いたら4時。関門は朝6時までです。早々に出発しないといけません。

もうほとんど人がいないベッドルーム。片付けが始まってました。食堂に行くと飲み物以外もう何も残っていません。昨日食べれなかったアルファ米に塩をかけて食べて出発しますが、めちゃくちゃお腹へってます。
これは山小屋でお金を払ってでも注文するしかありません。もともとそれも楽しみにしていましたし前向きに気持ちを切り替え出発!


結局5時に出発。関門まで1時間しか残っていませんでした。

まずはトルデジアンのスタートとゴールとなる街、UTMBの最大のエイド、CCCのスタート地点となるトレイルランナーとしてはシャモニーに次ぐ聖地と言えるクールマイユール(Courmayeur)を堪能しようと思いますが、暗くて良く見えません。

街は確かに大きいのですが、トルデジアンのスタートということもあってライバル?の4Kの表示は少なく道をロストしかねません。


1週間前の熱戦の名残が残っていました。いつかここをUTMBで走りたい!


道中で水もきちんと補給します。

ここから800m程登ると山小屋があり、食べ物にありつけると思い頑張ります。

だいぶ登ってきました。

そして7時15分ようやく山小屋に到着。でも山小屋には入れません。そして簡易テントを発見。

早速ボランティアのおじさんに「お腹が空いたからなんか食べれない?パスタでいいから」とおねだりすると「ないよ」と冷たい一言。「お金払うのは知っているからさぁ」と食い下がりますが、朝早くて営業時間外なのかそもそも山小屋の人ではないのか「ないよ」の一点張り。でも「スープならあるよ」と温かいミネストローネを出してくれました。そしておじさん自らチーズを切ってスープにいれてくれました。

温かいスープが冷えた体を温め、微妙に溶けたチーズが養分となり体に吸収されていくのがわかります。
おじさんすごくいい人です。結局2杯頂き先に進むことにします。

さて本日のコースのおさらいです。

今Rif. Bertoneに到着でここから先Rif. Bonattiまでは平坦な道が続きます。ここは景色が綺麗だと事前情報で聞いています。そしてその先はCol Malatra。4Kと逆コースのトルデジアンでは最後のColとなりまた急峻な事で有名なColです。

そこから一気に1300m程下って緩やかな登りが続き、900m程登ってもひとつColを越えて1400m程下るという感じで山は大きいけれど初日2日目と比べると山が一つ少なく比較的楽なセクションに入ると思われます。
但し、寝坊をしてしまい制限時間ぎりぎりの状態ですので少しでも遅れると即タイムアウトとなるため、気は抜けません。

というわけでお腹がまだ満たされない為に秘密兵器の投入です。

ご褒美の柿の種。補給食は甘いジェルだけでは、どうしても飽きてしまうので、日本に出張に行っていた同僚にお願いして買ってきてもらった秘密兵器です。毎日2袋だけのご褒美。至福の時です。自分は柿の種を飲み物のように食べる特技があるので、あっというまに無くなります。

そんなこんなで歩みを進めていくとご褒美の景色がひろがってきました。

朝もやの中で虹が出ています。少しわかりにくいですが2重です。久しぶりに見た虹に感激します。何かいいことが起こりそう。
そんな虹をみて景色を楽しみにながらテクテク歩いていくこと更に2時間。Rif. Bonattiに到着。そしていいことが起こりました。

ここは山小屋の中に入れました。

山小屋とは思えないおしゃれなカウンター。

早速「カルボナーラいけます?お金払いますから・・・」と少し老いたマスターに効きます。すると・・・「ないよ」とのこと。
え?黒板のメニューに書いてあるじゃん。やっぱ4Kは嫌われてるのかな?それともパスタはまだ作ってないの?自分めっちゃ腹減ってるのよ。なんでもいいからお願い!なんて訴えていると、「コーヒーならあるよ」ということでカプチーノを頂くことに・・・。隣で幼子に授乳している娘らしき人が僕を哀れそうに見ています。するとその娘さんが旦那さんと思われるひとに耳打ちをします。その山小屋の若旦那(勝手に命名)が僕のところにやってきて「お腹すいているのか?サンドイッチなら作れるぞ」とこっそり耳元でささやきます。「ぐらーーーっちぇ^^」というと奥に行ってサンドイッチを作って持ってきてくれました。

正直パンは固くてコーヒーに浸さないと食べれなかったし、具材はハムだけだったけど、何よりも愛情で心が満たされました。
娘さんが僕をみて良かったねみたいな顔をしたので、自分も携帯を取り出し子供の写真をみせ、「僕も同じくらいの子供がいるんだ」と親心をくすぐる作戦を実行。なんだか通じ合えた気分。お金は?と聞くと「いらない」とのこと。なんて素敵なんだ!

サンドイッチは半分食べて、半分は行動食にして携行し山小屋を出発。


遥か先にCol Malatraが見えます。たぶん。あれだ!

相変わらず牛もいます。

Colはもうすぐ。最後の急な登りが気になりますがいくしかない。

Col Malatraに到着。先のエイドから2時間30分。丁度12時でした。


また長い下りが続きますが雨も上がり日が差して美しい景色が続きます。

またも幸せな時間が続きます。

そして長い下りもおわり、街に下りてきました。するとこんなコース表示が。

仲良くはできないと思いますが、なんか悲しいですね。

そしてようやく大きなエイドが見えてきました。

Saint Rhemy。138km地点。15時10分。ここは緊急ベッド等もあるベースキャンプ的なエイド。食べ物もおいてあります。パスタを注文。

チーズをかけてガッツリ頂きました。やっと胃がみたされました。このパスタを2皿食べ、無料Wifiがつながったので奥さんにTV電話をして元気をもらいます。


スタートする選手には大きなカウベルを鳴らして応援してくれます。

素敵な街並みを歩いていると

犬も応援してくれます。

そんなに書かなくても・・・

緩やかな登りの中、朝見えた虹の反対側が見えてきました。滑り台のように街に下りれそう。

そして本日二つ目の登りの前の山小屋に到着。
中に入るとかっぷくの良いおっちゃんが

「プリンタ食うか?プリンタうまいぞ!」と謎の食べ物を勧めてきます。
聞いたことないですがプリンの仲間だと思い、デザートも悪くないと一つ頼んでみます。

不思議な物体が出てきました。味は・・・なんかジャガイモとも違うし少しモチモチしてるし、でも餅でもないし・・・何とも言えないものでした。黙々と食べてると「プリンタどうだ?」としきりに聞いてきます「ヴォーノ(おいしい)」と数少ない知ってるイタリア語で返事します。
ちなみにこのレースはゼッケンに名前と国旗が記されていて、ゼッケンを見てフランクに日本の○○。頑張れ!とか応援してくれたりするのですが、「○○(ぼくの名前)おれはマオロだよろしくな!」となんか意気投合してしまいました。

こういう応援って本当に力になりますよね。そんなこんなで残すこともできず謎のプリンタを完食し山小屋を後にするのでした。
(後日調べたところ「プリンタ」ではなく「ポレンタ(polenta)」というコーンミールを煮たイタリア料理だそうです)


こんな面白いおっさんがいた山小屋だったので記念に1枚。

そして本日最後のColに向け登っていきます。

気が付けままた日が暮れました。

無心で登り21時30分。Col Champillonに到着。
ここからOllomontまでの長い下りをくだっていくのでした。Ollomontは記憶の限り唯一山を下りるとすぐにベースキャンプがあった場所。23時30分頃に到着。
早速食堂に行ってご飯を食べようとすると、日本人の選手が数名食事をされていました。どうやらこれから出発するようです。
自分が到着した時には既に休憩を終えて出発する選手。この差に少なからずショックを受けます。もちろん実力が全然違うのはわかっているのですが、やはり自分が来るべき舞台ではなかったのだなと思い、後4日も気持ちがもつかなぁと少し弱気になります。

一方でここまで全く走っていないのですが、昨日は関門1時間前に出発したにも関わらずOllomontには出発関門である朝5時の約5時間30分前に到着。すなわちベースキャンプで4時間30分過ごせる分のペースで来ているということになります。これは歩いてでも十分休憩して完走できるのではないかという淡い期待も生まれてきます。

シャワーを浴びてふと足を見ると

水膨れが新たにできています。特に小指が水膨れはその下から水膨れが出来、更にその下からも水膨れがあり3重になっていました。水膨れってこんな風にもなるんだと新境地を楽しみ、そして水膨れをつぶして寝ます。
もうすでに出発している人も多いため、ベッドは二つ使えました。一つは荷物を置き用、一つは寝る用。

そして1時前に眠りにつくことができました・・・

そして1時15分。携帯がなります。
日本から仕事の電話。「すみません。いまイタリアで・・・・」と要件を簡単にすまし再度就寝。

そして1時45分。携帯がなります。
中国から仕事の電話。「すみません。今日お休み頂いていて・・・」と要件を簡単にすまし、携帯を機内モードに変更し再度就寝。

大切な眠りを妨げられたことが影響したのかどうかはわかりませんが、翌日大事件が起こるのでした。

続く。

4K完歩記5 Valgrisenche-Courmayeur

2016-09-19 20:26:37 | 4K Alpine VDA
9月4日
朝4時に携帯のアラームがなります。
正直1日目で疲労困憊、起きたくありませんが、何しに来たのかというと山を走りに来たのです。ここで寝過ごすわけにはいきません。まさかの初日寝坊でリタイアという事態は避けるべく、頑張って起きます。

湿布を張り、着替えをします。朝方は寒いかもしれないのでロングタイツに履き替えました。ストックは予備のものと交換、ジェル等の食料をザックに詰めて準備を整えます。この食料ですが他のランナーのアドバイスに従いベースキャンプ別に事前に分けておいたのは大正解でした。当日時間がなく、また日にちが進むにつれ冷静な判断ができなくなるため、その日持っていくものをとりあえず胃かザックに詰めるという作業に徹することができました。しかし、準備していたアルファ米は時間がなくて食べれませんでした。これだけ翌日以降に残しておきます。

結局4時45分に隣のベッドの日本人の選手と一緒に出発。
最初は平坦な道がしばらく続きますが、彼は朝一からペースが速くついていくのがやっと。
この選手とはレースの前から縁あって情報交換等させて頂いてましたが、やっとゆっくりお話することができました。話の中で二人の共通したことは「初日の山が想像以上にきつく、特に3個目の山のヘッドライトのを見たときの愕然感は半端なかった」ことと、「このイタリアンアルプスの自然に囲まれたレースの中で頭に浮かんでくるのは「ありがとう」という言葉」ということでした。
この「ありがとう」という言葉、うまく表現できないのですが、きっと雄大な自然の中を歩けることの喜び、生きていることの実感に対してであり、自分をこの場にいさせてくれる会社の同僚や、体を丈夫に生んでくれた両親、そして理解ある家族に向けての気持ちで心の底から湧いてくる自然な気持ちだったと思います。幸せなひと時です。

選手の皆さん、それぞれ境遇は異なりますが、それぞれの思い、それぞれの感謝を持ってきっとレースに参加されているのだと思うと不思議な共感が生まれてきます。

さてまたも前置きが長くなってしまいましたが、レースはStep2になります。

このセクションは最初平坦な道が続き、その後山を2つ越えて最後に大きな山を一つ越える感じで。Step1と比べると幾分楽な印象です。
最初の6kmはほぼ平坦でエイドのPlanavalに到着。

水分を補給し

朝を待つ街を通り山に登って行きます。
ここで朝ご一緒だった日本人の選手とはペースが異なることもあり別々の行動となります。


だいぶ登りました。眼下にはまだ眠っている街が見えます。

モルゲンロート。山に命が吹き込まれると自分にもパワーが湧いてくるような気がします。

今日はどんな景色と出会えるのだろう?期待に胸が高まります。


ところどころに廃屋がありますが、標高が刻まれた看板が残っていたりして目安になります。ここは2338mと記されています。ここまで約700m登ってきたことになります。次のColまで後500mUPです。

こんな高地に湖が。ここから流れる川で顔を洗い気合を入れなおします。

そんな湖も眼下に捉えるようになるまで登っていきます。

上を見上げればようやくColが見えてきました。でも急な道です。

Colまでの最後の道、ヤギが道をふさぎます。こういうのいいですね。


要約Col de la Crisatieに到着標高2829mスタートより71.8km地点。
このColを超えると

あの憧れのMonte BiancoことMont Blancが見えます。
いつかUTMBを走りたいと思いトレランを始めました。まだ走ってないけどモンブランの雄姿を見ることができただけで感動です。いつか行くからな!まってろよ!
Colでは1杯だけホットドリンクがもらえます。コーヒーかお茶かといわれコーヒーを選択。

ビスケットを付けて食べるといい感じにふやけておいしい。
休憩もそこそこに下りに入ります。

相変わらず下りは急です。足にダメージを蓄積しないように注意して下ります。

また森林限界まで降りてきました。がまだまだ先まで続きます。

そして下り切って少しのぼったところにエイドのPromoudに到着。
標高2017m距離74.8km。時間は10時30分。Step2スタートから約6時間弱。累計25時間30分。まだまだ1/5です。

ここからまた登りになります。

どんだけ登らせるんだ??

あとこれだけ!とひたすら登る作業に徹します。

Colに到着。地図ではCol Passo Altoとなっていますが良くわかりません。

時刻は12時20分。当時は時間は気にしておらずとにかく確実に前に進むことを意識してました。振り返ってみると距離3.7km標高差800mに約2時間かかっていますね。早いか遅いか良くわかりませんが、自分が思っている以上に時間は経っていなかったようです。


ここまでの登りを振る帰ります。

その先下って行くと途中山小屋エイドがあります。トルデジアンのポスターがあり、中には入れず外で水分の補給です。ここで朝別々となった日本人選手が休憩しており、合流させてもらいます。

羊の群れを脇目に下りをつづけると

La Jouxという街までおりてきました。ようやくエイドと思いきや通りすがりの人に後4kmと教えられがっかりし、2人ベンチに腰を下ろし小休憩。
その後トボトボと歩いてようやくエイドに到着。

ここで日本人選手は奥さんがクールマイユールで待っているとのことで一足先に出発。再び一人旅となります。
時刻は既に16時。下りに4時間近くかかりました。
ここからもう一山越えます。

小雨が降ってきてすっかり寒くなりました。

19時45分にCol de l'Alpに到着。丁度100km地点。風も強く誰もいません。補給用の水が入ったペットボトルが散乱されていました。
ここから700m程の下り

小雨が吹き付け気温もぐっと下がりますが、雪にまではならずに良かったです。
そしてようやくCourmayeur(クールマイユール)に到着。街に下りてからベースキャンプまでが遠かった。ここはトルデジアンのスタートの街でもあり、4Kとはある意味対立している街。標識も少なく道に迷いそうになります。

看板にはこんなイタズラをされていることも。思わず矢印の先のホテルにチェックインしたくなりました。

22時ようやくベースキャンプに到着。まずは昨日入れなかった為、シャワーを浴びようとシャワールームに向かいます。テーピングをはがそうとすると、数か所かぶれて水膨れになっています。またサポートタイツでも体のむくみもあり一部かぶれたり水膨れになっているところがあります。注意してテーピングをはがしますが、皮膚ごと持っていかれてしまいます。
また足には水膨れが10か所以上もできており、歩くのもやっとの状況。でも周りをみると他の選手も同じような感じです。みんなそんな状況でレースしているので自分も甘えるわけには行きません。
とりあえずぬるいお湯で水圧の低いシャワーで傷口が染みるのを我慢しながら浴び、着替え、カップラーメンを食べる為にお湯をもらってお腹を少し満たし、アルファ米にお湯を入れてもらいますが20分待ち切れず、寝ようとベッドを探すと近くのテントは満室で少し離れた体育館みたいなところまで雨の中重たい荷物(自業自得ですが)を持ち足をひきづりながら移動し、ようやくベッドにたどり着いたら毛布がないという状況。それでもボランティアの方がなんとか毛布を探してきてくれました。
時刻は既に23時近く。3時間寝て2時には起きようと思いあっという間に眠りについたのでした。

続く。

4K完歩記4 スタート Cogne - Valgrisenche

2016-09-18 20:58:18 | 4K Alpine VDA
前置きがかなり長くなりましたが、いよいよスタートです。

朝5時には目が覚めてしまいましたが、二度寝ができず諦めてテーピングやパッキングの最終準備をします。
朝9時にスタートですが8時までにドロップバッグを預ける必要があります。7時にはパンパンになったバッグを会場に運びこみます。これだけで一苦労でした。

無事に預けることができこれで準備完了。

帰りにスタート地点によります。

人がほとんどいませんが、あと2時間後にスタートです。気分が高まります。

ホテルをチェックアウトして荷物をホテルに置いて、8時過ぎにスタート会場へ。

一応記念に一枚。


1時間前の無人が嘘のように人が集まりました。


あの有名人も参戦??

日本人選手の方ともお会いできお互い頑張ろうと話をしていると・・・

いきなりスタート。何と9時3分前にスタートしてしまいました。

少し拍子抜けしてしまいましたが、長い道のり、こんなことはこれからいくらでも起こるでしょう。それにしても皆さん走られます。自分は先週左ふくらはぎが軽く肉離れになってから運動するのが怖く、直近の1週間走っていません。ということで様子見の歩きでスタート。そうこうするうちにあっという間に最後尾集団となってしまい、流石に焦ります。軽くジョグも交えながら進むことにしました。


川沿いの舗装されたトレイルをゆっくり登って行きます。

すると仮装ランナーが。昨日お会いした日本人の方でした。お相撲さんだったんですね。
他の大会でも同じ仮装で出られていて記事で見たことがありました。その筋では有名な方だったようです。お互い検討を祈ります。ベースキャンプで何度かお会いできましたが、この先追いつくことはありませんでした・・・超人ですね。


ふと見ると素敵な景色が広がります。

本物のアルプス天然水。

気が付くと森林限界を超えたトレイルに。

結構のぼってきたなぁ。

でもまだまだ登ります。遥か先に点となっている人が見えます。あそこまで行くのか・・・まだまだ序盤。頑張ります。
そして疲労困憊で到着したのがここ。

1番最初のエイドのRifugio Vittorio Sella。ここまで8.1km標高差約1000m。ここまで2時間ずーっと登りです。

そしてこの先まだ700mの登りが待っています。
これだけ一途に登らされるのは日本の山ではなかなかありません。よくUTMBのランナーが一つ一つの山がでかいという感想を言いますが本当にそうだなと実感。

それにしても登ります。先が見えるようで見えない。


ようやくコル(峠)がみえてきました。
ヨーロッパでは日本と異なりサミット(頂上)を踏むのではなく、比較的低いコル(峠)を超えるルートが発達しており、本レースもいくつものコルを越えていくというルート設定になっています。

そしてようやく最初のコルCol Loson(標高3296m)に到着。実はここ本レースでの最高地点でもあります。

峠の先を見ると・・・

急峻な下りが・・・

これは自分にとっては急すぎて走れないパターンの下りです。走ったら足が終ってしまうやつですね。これはちょっとかなり想定外です。トレランと思っていましたが、今までランができそうな場所がほとんどありません。また一つ一つの山が北アルプスでいうと横尾から槍ヶ岳までいって新穂高まで降りるようなイメージで、普通にトレッキングするだけでもしんどいのに、後数十回繰り返すイメージです。明らかに自分の実力以上の世界に来てしまいました。
ハセツネの8割くらいを7回とか考えていた自分が恥ずかしく愚かでなりません。気が動転します。

まだ335km、150時間も残っています。勢いでここまで来てしまったことを後悔します。

しかし、幸いなことに心配していた左足の肉離れは治ったようで痛みはありません。またイタリアンアルプスに来れることなんてもう二度とないかもしれません。そこで、気持ちを切り替えることにしました。これはトレイルランではなく、トレイルウォークにしようと。登りも下りも歩いていこう。平地で走れるところだけ走って足を温存。後は景色と人々との交流を楽しもう。もともと順位は気にしていません。とてもとても長いハイキングの気持ちで旅をすることに気持ちを切り替えました。今の自分の実力では完走できない可能性が高い。でも行けるところまで行こうと。

そして下り始めます。
ゆっくりとストックを使い足を使わないように下って行きます。

下っても下ってもまだ先が見えません。

景色は最高。でもその先に見える山を越えなくてはならないと思うとゾッとします。


途中の山小屋みたいなところでは水が補給できます。ところどころにあるので重たい水を背負わずにすみました。

ようやく森林限界まで降りてきました。

そしてエイドに到着。ここまで標高差1600m位。約2時間30分かけておりてきました。

エイドには水(ナチュラル、炭酸)、コーラ、フルーツジュース、レッドブル、温かいお茶等の飲み物の他、果物、チーズ、サラミ、クラッカーといった軽食があります。大きめのエイドではパスタやスープ、ワイン、ビールなども準備されています。

補給も終え、本日二つ目の山をめざします。
ここでルートの確認をします。

参加賞で配られていたルートが書かれたシール。微妙にコースと違う場所もありましたが、非常に便利でした。もちろん自分でプリントアウトした地図も別途持っています。
これにエプソンのGPS時計との距離と標高を照らし合わせ自分の位置を確認しながら進んでいきます。

再び登り。

廃墟となった山小屋もちらほら。

振り返ればまだ選手が。辛いのは自分だけじゃないと言い聞かせます。

チングルマみたいな綿毛。すっかり秋の装い。

それにしても先が遠い。徐々に日が傾いてきました。

道標はところどころにあります。トレッキングの時にはいいですね。

ようやくヨーロッパ名物、牛にあえました。がカウベルしてませんね。ちょっとイメージと違う。

だいぶ登りました。先のエイドから3時間。

もうすぐコルです。その手前で簡易エイドがあり温かい飲み物を1杯だけもらえます。

2つ目のコルCol Entrelorに到着。37.9km。スタートから9時間30分。

そしてまたも急峻な下り。ゆっくりと下ります。しかしここでトラブル発生。

なんとストックが両方折れてしまいました。一本は先っちょの石突き部分が折れただけなのでなんとかなりますが、もう一本は接続部分の部品が中に入りこんでしまい、ストックとして使い物になりません。

このレース、25000mのアップダウンをストックなしで行くなんてありえません。こんなこともあろうかと昔使っていた少し短いストックをドロップバッグに入れてデポしてあるので、ベースキャンプに行けば何とかなるのですが、まだ2つ目の山の下りの始まりです。後20km近くあります。
ストックの損傷は想定していた範囲内ですが、こんなに早く訪れるとは想定外でした。
元々下りでストックを使うのがへたくそなので、下りはストックを使わないことにし、ザックに収納してトボトボと下って行きます。

本格的に夜になりそう。一気に気温も下がってきます。

そんな中頑張って歩き続けようやくエイドに到着。

ビールが提供されており、早速飲んでいる猛者も!自分はレース中はアルコールを一度も飲まずでした。

そして本日第3のコルをめざします。時刻は20時。スタートから11時間が経過。すでにトレッキングのお腹は一杯。普通のトレッキングなら温泉入ってビール飲んで寝たいところですが、まだ1/3残っています。ナイトランの装備を整え外に出ます。
すると・・・

よくわからないかもしれませんが、遥か山の上に続くヘッドライトの列が・・・
正直これには心が折れました。登っても登ってもまだ先に続くヘッドライトの列。精神的にかなり追い込まれます。しかも最後の方はかなり急な登りと思われる角度で列が続きます。それでも一歩一歩、先の折れたストック1本で登っていきます。
そしてついに

Col Fenetreに到着。23時過ぎ。約3時間。こうして振り返ると大した時間ではないのですが、その時は本当に長く感じました。そして同じような急峻な下りを下りてついにヴァルグリゼンケ(Valgrisenche)のベースキャンプに到着。

時刻は1時30分。スタートより16時間30分が経過していました。

まずはシャワーを浴びたかったのですが、その気力もなくまずはベッドを確保しに。そしてそのあとは御飯を食べに行きました。

肉とかパスタとかあっておいしかった。

しっかり補給してから寝ようと決めてました。

携帯電話をチェックすると妻からメッセージが。

死ぬほどうれしかったです。これからも頑張ろうと気合が入りました。

本当に力尽き果て、テーピングも取る気力もなくとりあえずファイテンのメタックスクリームを塗り筋肉をほぐして寝ることに。
隣のベッドには偶然日本の選手がいて、明日一緒に行きましょうという話になり確か4時に起床することに。自分は2時間程の睡眠をとる事にしました。
携帯とGPS時計をバッテリーにさして充電して、周りもうるさかったですがあまりの疲れにすぐに眠る事ができました。

続く。

4K完歩記3 スタート その前に

2016-09-17 23:19:00 | 4K Alpine VDA
9月3日

いよいよスタートの朝を迎えました。
このレースは全7Stepに分かれており、それぞれの間にはベースキャンプと呼ばれる睡眠やシャワーを浴びることができる施設があります。そのほかにもエイドステーションが適度にあり、一部山小屋では2時間迄ですが眠る事もできます(一部有料のようです)。そして山小屋等ではお金を出せば食べ物を出してくれるところもあるとのこと。
超長距離ではいかに力を蓄えエネルギーを補給できるかが鍵。山小屋での食事も楽しみ。

さてここでコースを振り返ってみます。7つのStepですがこんな感じです。


最初に大きな山3つ越えます。イメージは富士山5合目から頂上3往復らしいです。やったことないなぁ。
関門時間はスタートから21時間(その後23時間迄に出発)。


Step1ほどではないですが、これも大きな山3つ越えです。
関門時間はスタートから43時間(その後45時間迄に出発)。


最初登った後に平坦なところが続き、その後また登り。大きく下っった後、もう一山越えるイメージ。景色が楽しめるみたいです。
関門時間はスタートから66時間(その後68時間迄に出発)。


大きな山を登った後、また登り返しアップダウンが続きます。一番きつそうなセクション。
関門時間も90時間(92時間迄に出発)と前のStep3の出発より22時間が設定されており、難所となりそう。


大きな山2つ、距離も35kmと他と比べると楽なセクション。
関門時間は110時間(112時間迄に出発)と時間も18時間と短め。


アップダウンが続き最後に2000mの下りが待ち構えている。足をいかに残すかがポイントとなりそう。
関門時間は134時間(136時間までに出発)とStep4の出発より22時間を設定。後半にある分全ステージでも最もつらいと思われる。


大きな山をゆっくりと登り、足が残っていれば最後はウィニングラン的なご褒美コースと思われる。
関門時間は155時間。

ヨーロッパのトレイルを走ったことがないので全く想像がつきませんが、距離や累積標高を考えるとハセツネの8割位の距離を毎日走るイメージと考えていました。
特に作戦はありませんが、一日18時間位行動して6時間休むイメージで行けば完走は難しくないのではないかと実は軽い気持ちで考えていました。

しかしその甘い考えは初日の早い段階であっさりと否定され、後悔と苦難の旅が始まるのでした。

続く。

4K完歩記2 コーニュに至るまで

2016-09-16 23:29:44 | 4K Alpine VDA
9月2日朝

6時にホテルを出発します。

始発でドゥオーモ駅(Duomo)より地下鉄1号に乗りランプニャーノ駅(Lampugnano)へ。ランプニャーノ駅からはプルマンと呼ばれる高速バスがアオスタ(Aosta)まで出ています。

コーニュへ向かう人が多く席がいっぱいだったら心配だった為、前日に購入したチケットで乗り込みます。が席はたくさんあいてました。レースに参加しそうな格好の人は2名位。本当にレースは開催されるのか?不安になります。

高速を走りうとうとしていて気が付くと

すっかり都会の喧騒からはなれていました。

約2時間30分でアオスタ(Aosta)に到着。
ここからコーニュ(Cogne)まで更にバスを乗り換えます。

見るとすぐに出発するバスを発見。このバスは事前にネット等で予約ができず、乗るときに現金を支払う仕組み。確か€2.9。

このバスも空席が目立ちます。今日中に受付を済ませ明日の朝一番からレースなのにこの人の少なさ、更に不安がましていきます。

しかし、外に目をやると

雪解け水の流れる川

四川の山奥とはどこか異なるヨーロッパの景色が広がります。

そして50分程で

遂にコーニュ(Cogne)に到着。

コーニュに着いたはいいけどどこで受付するのかわかりません。するとバスに乗っていた選手らしき方、よく見ると日本人でした。この選手と一緒に受付を探すと近くの体育館がそのようです。

彼も荷物が多いですね。聞くと仮装をしてレースに参加するとのことで、ゆっくり最後方から行くなんて話をしながら受付に向かいました。

ここまできてようやく大会が開催されることが確認できホッと一安心することができました。


中に入ると受付が。名前のチェックだけで装備品の確認は無し。レース中に自分の荷物を預けるデポジット用のバッグと必携品のクランポン(軽アイゼン)参加賞を受け取ります。又、今回GPSが必携品になっており、デポジットの€100を預けGPSを受け取ります。

GPSはかなりでかくて重い。安全の為仕方ないですが、自分のザックでは入りきらないことが確定。

無事に選手受付も完了。日本人選手の彼とも別れ、ホテルへ向かうことへ。

ヨーロッパのおしゃれな教会。

草原の中にあるスタート・ゴール地点も見えました。

本日泊まるホテル。
早速チェックインをします。そのホテルで受付をしていたドミニコさん(Domenico)も明日からのレースに参加するとのこと。お互いに検討を祈ります。

荷物を置いて街を散策です。

ヨーロッパの建物、景色、青い空が素敵です。

この水飲めるのかな・・・?なんて思っていたのは最初だけ。
この後この生活水に何度も助けられることに。


日本人シェフがいるというお店。時間が合わず結局行けなかったけれど、後で聞いたところおいしくてワインのお勧めを教えて頂けたりととても良い方らしい。行きたかった・・・。


ピザ屋さん。選ぶとそこから再度窯で温めなおしてくれます。


雪解け水特有の少し白濁した川。冷たそう。

その後偶然に別の日本人の方と会い、日本人参加者が集まり夕食をとるとのことで合流させていただくことに。

遂に念願のパスタ。先ほど食べたピザがお腹に残ってましたがペロリと頂けました。

日本人選手は13人位いたでしょうか?名前を覚えるのが苦手なのと、この大会に出られるということはみなさん歴戦の勇者だと思われ、委縮してあまり話せませんでしたが、聞いてるとトルデジアンに出場したことがあるとか、モンブランは良かっただとか、やはり皆さん次元が違うようです。休みが運よくとれた(同僚や家族の理解があってこそですが)のでちょっと来ました的な自分とはオーラが違います。早くも雰囲気にのまれてしまいます。

ドロップバッグのパッキングもあるので夕食終了後はホテルに戻ります。
実はこのホテル、予約をしたのが間際で安いホテルがなかったこともあり、少しお値段が高いです。
それもそのはずSPAが併設されているのです。
折角なのでSPAも堪能。

生ぬるいプールで泳いだり、

テラスに出てゴールを眺めて太陽を浴びてみたり、

よくわからないけど干し草、ウォーター、テンピュール等のベッドがあったので一通り寝てみたり・・・

・・・一人だとつまんないですね。早くも少しホームシックです。

部屋に戻りデポ用のどドロップバッグのパッキングをします。

全然入りません。これはどうしましょう。
かさばるカップ麺や食べないであろう食料を削り、パツンパツンになりながら何とかまとめます。


その後19時から近くのシネマでブリーフィングがありました。

イタリア語、フランス語、英語で順番に話しているのですが、英語も半分位しかわかりません。
危ない場所の説明とクランポンは持っていきなさいということと、天候次第ではクランポンは途中で必要なくなるという話だったと思われます。

その後ホテルに戻り就寝。

ホテルの鍵、かわいらしい。

スタートまでの前置きが長いですね。

続く