エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

【連載】ぼくたちと駐在さんの700日戦争 2章-第5話

2006年05月24日 | 連載
う、うれしい。ポツポツとこの連載にもコメントが来るようになりましたよ。
だいたい同じメンバーですけど。でも、読んでくれてる人がいるんですねぇ。
ありがたやありがたや。
あんまりうれしいんで、今日もいっちゃいますね。って、他にネタがなかったという説もある。

前回までのお話。
1章 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話
2章 第1話 第2話 第3話 第4話

2章 第5話 大応援団 のつづき

僕たちは意気揚々と駅からもどりました。あの「技」のすごいところは「こちらの恥は一瞬の恥、相手の恥は一生の恥」なところです。
今頃駐在さんは、とっても居心地の悪い思いをされていることでしょう。

西条くんが思い出したように言いました。

「ところでさぁ、あの電車、俺も乗んなきゃいけなかったんだけど」。

気づくの遅すぎ。

しかし、この帰りの電車を逃がした男はついていました。
なぜ神様がこんな男に味方するのかはよくわかりませんが、僕たちが横断幕を学校に返しに向かう途中で、その神様は現れました。

そう。女神様です。

僕たちが交差点で停まっていると、その向こう側を自転車に乗った奇麗な女性が通り過ぎました。

「あ。駐在さんの奥さんだ!」
「ほんとだ。あいかわらず奇麗だなぁ」

「よし!追いかけろ!」

言い出したのは当然西条くん。
追いかけろって、お前、さっきその人の旦那にさんざんなことしておきながら・・・。

と、僕はその葛藤に悩んでおりましたが、まわりの7名はとっくにダッシュしているのでした・・・・。
でも、おいついたとしてなにをするというのでしょう?

しかし、間もなく奥さんは射程圏内。

「後ろ姿もたまらないなぁ・・・」
確かに。否定はしません。

「俺さぁ・・・」。
僕の後部座席(と言うのでしょうか?)で西条くんがしんみりと切り出します。

「俺さぁ・・・もし生まれ変わったら・・・・」
「ああ」



「自転車のサドルがいいなぁ」

それって無機物だからっ!
せめて生物に生まれ変われよ。西条。

やがて奥さんは、スーパーに到着しました。
追いかけて来た僕たちも、用事もなくスーパーへ。
これって集団ストーカーでは?

「あら。あなたたち

「奥さん、こんにちはぁ~」。
デレデレと、しかし声を合わせて挨拶する僕たち。

しかし、駐在さんは僕たちの話をつつぬけにしています。
はたして彼女が我々をどう思っているかは、かなり疑わしいものがありました。

「ウフまたなにか悪いコトしてきたの?

「いや・・・・そんな・・・・」
まさかその標的は、またしてもあなたの旦那さんです、とは、とうてい言えません。

しかし、あの駐在さんは、どうやら僕たちのことを、そんなに悪くは言っていないようでした。
それは彼女のそのくったくのない笑顔から読み取れました。

「あ、あのぉ~、おくさん」
唐突に声をかけた西条くん。

「あの、あの・・・」

「なぁに?

「手首、見せていただいてもよろしいですか?」

げげ!

この大ウツケがぁっ!!!
どこの高校生が人妻の手首を確かめる???

我々は、全員でこのうつけ者をぼっこぼっこに殴りつけ、
 「な、なんでもありません!さよーならー」
大慌てでその場を後にするしかありませんでした・・・・・。


    2章-第6話へつづく・・・・駐在さん逆襲の逆襲の逆襲開始。