中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

いま、石川町駅南口周辺がおもしろい

2014年02月17日 | おいしい横浜

 石川町駅北口を出て海側の方へ行くと横浜中華街。
 この街はあらゆるメディアによって、これでもかというくらい紹介されており、年間2,000万人以上の来街者があると言われている。

 一方、中華街と反対側へ向かうと、その先は寿町。
 広いエリア内には簡易宿泊所が集積し、かつては“労働者の町”とか“ドヤ街”と呼ばれていたが、最近は宿泊する労働者も減ってきて、簡宿の一部は「ホステルビレッジ」などに転換し、外国人のバックパッカーや遠征試合で来浜した女子高生の姿も見られるようになってきている。
 こちらもマスコミなどで取り上げられているので、ご存知の方も多いと思う。

 そんな北口はさておき、今日の話題は南口周辺である。
 一帯にはアイキャナルストリート、ひらがな商店街、リセンヌ小路と3つの商店街があるのだが、街としての組織的な集団はできていないような気がする。

 しかし、このエリア内には興味ある個店が数多く存在しているのだ。



 今日ご紹介する「ひらがな商店街」の「アートスペース と」もその一つ。




 えほんカフェということなので店内には絵本がたくさん置いてある。
 お茶を飲みながらそれらを読むというのも、なかなか楽しいものだと思うが、ここに置いてあるのは絵本だけではない。
 嬉しく思ったのは三浦しをんの「舟を編む」があったことだ。

 現在、横浜市の図書館には同書が140冊も所蔵されているのだが、そのすべてが貸し出し中かまたは貸し出し準備中で、予約待ちはなんと850人にも達している! そんな本をここではお茶を飲みながら読めるのである。



 店内の様子。

 ここはオーナーの実家で、もともとは駄菓子屋だったという。その空き店舗を活用して地域の交流拠点ともなる絵本カフェにした経緯が「かなマグ.net」に掲載されている。


 
 トイレのドア。nitehi worksによるリノベーションだという。
 「nitehi works」のホームページを見ると、確かにここの事例が紹介されている。

 が、ビックリしたのは中華街の「ROUROU」も彼らが手掛けた店だったということだ。



 このタイルはかつて洗面所だった名残。

 よくぞ残したと思う。




 店内の様子。

 壁には絵本が。そしてテーブルの下には、荷物を入れるカゴがさりげなく置かれている。こういう配慮が店の品格を高めているのだ。




 古いミシン。

 実家のお母さんが使っていたのだろうね。




 ジンジャーティーとビスコッティ。

 ここを訪ねたときは寒い日だったので、心も身体も温まったわ~。
 



 何でも書けるメッセージ帖。

 むかしのユースホステルを思い出すなぁ~。




 絵本の下には売り物の野菜が。

 たしか保土ヶ谷あたりで栽培された減農薬と言っていたかな…




 飛び出す絵本。




 これは別な日に見た売り物の絵。

 私が訪ねたときには作者もおられて、いろいろお話を聴くことができた。このスペースを借りて自分の作品を販売することもできるそうだ。
 お店のスタッフも従業員ではなく、日替わりでここを受け持つ仲間たちらしい。
 
 詳しくはこの記事の下にあるリンクからどうぞ。


 そんなひらがな商店街のアートスペース「と」に続いて、今度はリセンヌ小路にギャラリー&カフェ「fu」なんていう店ができた。



 こんな道は滅多に通らないから、ほとんど知られていないかもね。私も最近まで気づかなかった店だ。







 「と」に対して「ふ」。「歩」の裏は「と」だよね。なんだか将棋の駒みたいではないか。

 しかも「アート」と「ギャラリー」。似て非か……。




 両店がコラボしたら、なにか面白いことができるのではないかと思った。

 そういえば、近頃はこの南口周辺にはギャラリーが目立つようになってきた気がする。



 先鞭をつけたのが「ぎゃるり じん」ではないだろうか。地蔵坂下にあった「小林生花店」の御主人、小林仁造さんが亡くなったあと、息子さん夫婦がこのギャラリーを出したと記憶している。




 「ぎゃるり じん」の「じん」は、もちろん仁造さんの名前だ。




 そして最近気づいたのは、「Chiyo's 画廊」が併設されるようになったことだ。
 



 Chiyo…千代かな。もしかしたら仁造さんの奥様の名前なのかな。
 夫婦の名前が付けられた画廊か。



 南口からすぐのところにも、こんなギャラリーがある。




 なんだか、ずいぶん多くなったような気がするのだが。

 他にもあったかなぁ……


 さて、ここからは他の個性的なお店をご紹介しよう。



 鮮魚と食料品の「魚良」。
 場所はリセンヌ小路の一本裏。住宅街っぽい路地であるが、商店街灯が立っているので、この辺もリセンヌ小路の一画のようである

 地元密着の魚屋さんだ。夕方になると年配の主婦や孫を連れたご婦人などがやってきて、ご主人と立ち話をしている光景をよく見る。
 買い物のついでに魚料理のレシピを聞いたり、町の情報を交換したりしているようだ。



 その魚屋の隣にある八百屋「てる」。
 店舗の奥が居間になっている懐かしい構造だ。



 そんな八百屋、魚屋の先に不思議な店が!
 昭和20,30年代風民家の半分が、なんとも奇怪なデザインの店舗になっているのである。



 エクステンションの店だ。

 禿げ頭に良さそう♪



 ここは大丸谷坂(おおまるだにざか)。

 関東大震災後、あちこち点在していた曖昧宿をここに集めて、一帯はチャブヤ街となったという歴史がある。

 坂の正面に工事中の建物が見えているが、ここに1990年代までオリエンタルというホテルがあった。チャブ屋の名残だったのだろうね。
 



 坂の途中から左側に下る階段がある。
 その一角に佇む震災地蔵尊。

 関東大震災で発生した火災から逃れようとして山手の丘に向かった石川町の住民多数が、このあたりで焼死したと言われている。



 階段の中腹におからマフィンの店がある。
 「カップベイクフェリコ」。




 近くで見つけた昭和のゴミ箱。
 むかしは各家庭に1台あったと思う。


 さて、ここからは順不同で各店舗を回って行こうか。



 ピザの「MYRO」。




 路地裏に開店したまぐろ専門店の「元町まぐろ」。



 
 おでん「元町酒房」。

 両店とも石川町にあるのに、「元町」を名乗っている。元町とは一線を画した方がいいのになぁ。




 手打ち蕎麦の「汐汲坂まつむら」。
 
 いつだったか、こちらのお店は元町汐汲坂からリセンヌ小路へ移転してきたのだ。
 



 セイロン紅茶の専門店「ミツティ」。




 撮影した日は休業日だったが、ここはレトロ感が漂う煙草屋さん。
 店内には懐かしいポスターなども。



 店頭に吊るされたスピーカーがすごい。
 いつもクラシックミュージックが流れているのだ。




 そういえば、もう閉店して久しいが、こっちの魚屋もすごかった。

 いつ行っても、店からクラシックが流れていたのである。
 聞けば、店主はピアニストだったとか。



 中華街から移転してきた「中華楼」。



 日本酒専門の「サガン」。
 立ち呑みと聞いていたが、中に入るとカウンター+イス方式だった。




 お店を切り盛りしているのは、二人の女性だった。
 そのうちの一人が店主で、いろいろお話しをしていると、なんと彼女は野毛にあった銭湯「柳湯」の娘さんであることが判明。

 懐かしい風呂屋である。
 軒先にフライ屋があり、いつも近隣の労働者で賑わっていた。
 道を挟んだ向かい側にある加藤酒店で買った酒を持ち込み、ここのフライを肴に一杯やるという不思議なシステムだった。

 いつ頃だった銭湯が廃業し取り壊されてしまったのだが、面白いことに軒先だけが残り、フライ屋はしばらく営業を続けていたという記憶がある。
 そんな「柳湯」の娘さんが「サガン」をオープンさせていたとは。



 こちらは、老舗ウナギ店の「八十八」。




 明治43年、伊勢佐木町裏に蒲焼店として創業。その後、関内本店、横浜駅西口店など、店舗を増やしてきたが、10年くらい前だったか閉店してしまった伝説の鰻屋さんだ。



 その後、吉田町で復活し、最近、ひらがな商店街に2店目を構えた。




 注文してから蒸し始める鰻丼。

 美味しい♪


 復活した「八十八」は創業100年を超す老舗であるが、こちらも忘れてはいけない。




 蒲焼の「亀屋」だ。
 場所は地蔵坂下、亀の橋のたもと。それで店名が「亀屋」。

 この橋の際にはよく露店の魚屋が出ていたものである。最近まで近くには漁師がいたというから、その人が売っていたのだろうか。




 南口改札を出て中村川方面の階段を降りたところの「元町うどん つるつる天」。
 ここも石川町なのに元町を名乗っている。いかがなものかなぁ。

 同じような例で、山手町ではないのに「山手~~」と名乗るマンションとかも。
 



 とか言いながら、一度だけ入ってみた。




 たしかに、もちもちっとした食感だ。




 ところが、ある日のこと。
 近所のオバサンが閉まったシャッターに貼られた案内を読んでいる光景に出くわした。
 なんだろうと思って近寄ると……




 嗚呼……。

 この近く、西の橋前には有名な「かばのおうどん」があるからなぁ……

 ところで、この「つるつる天」が入っていたところには、かつて素晴らしい居酒屋があった。
 その名を「東国屋」といった。
 ケースの中に和風のオカズが並び、お客はそれを肴に一杯やるという、昔懐かしいスタイルの店だった。
 あれが復活してくれると嬉しいのだが。



 地蔵坂下のスーパーマーケット。
 ちょっと前までスーパー「上州屋」があったのだが、今年、なぜか突然に閉店となった。




 そこに新しく「ベイマート」というのが入っていた。




 近隣の方々はこれで一安心といったところかな。




 ひらがな商店街は石川町駅南口から地蔵坂下を越え、さらにその先まで伸びている。
 これは「アートスペース と」に向かう途中、右側にある和食の「シモムラ」だ。

 以前は元町バス停の近くにあったのだが、いつだったか、こんな住宅地の方へ移転してきた。
 一度は入ってみたい店である。 




 この並びにある「ドゥイの子ども造形教室」。
 将来のギャラリー出展者が養成されているのかな。




 「カドベヤ」。
 石川町駅から徒歩8分の地域交流レンタルスペースだ。




 フライの「むらかみ」。
 注文するとその場で揚げてくれる。




 「加藤靴工房」。




 まだ残っている「駄菓子屋」。

 この近くには「鯖寅果実酒商店」もあるし、なかなか興味深いエリアである。

 
 ということで、長々と書き綴ってきたが、これからもこの一帯を観察していきたいと思うのであった。


 時間にゆとりのある方は、参考までにこちらの方もどうぞ。

 ↓
 ↓

いま、寿町が楽しい

ひらがな商店街「アートスペース と」


 

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18 コメント

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知らない場所ばかりです (ぶらくり佐藤)
2014-02-18 04:21:51
石川町駅南口を出たところに、オーストラリア料理の店があって、行きたいなぁと思っている内に閉店をしてしまいました。
残念だったなぁ、クロコダイルを食べてみたかったのに。
以前は、南口を出て、車橋もつ肉店までよく歩いたのですが、この数年はご無沙汰です。
ですから、かの「鯖寅果実酒商店」へも行けていません。
返信する
亀の橋愛好会 (ふ゛り)
2014-02-18 09:05:32
としては嬉しいエントリー。
「カフェ亀の橋」の下はこんな絵本カフェが出来たのですか!
ギャラリー軽はひと通り補完レポしたいところです。
いや、しなくては。
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なんか (吉継)
2014-02-18 10:02:34
懐かし感じが伝わってきます、時間があれば探索してみたいです、横浜はいろんな顔が有るんだと当たり前のことに感心しました。
返信する
また行かなくちゃ (冬桃)
2014-02-18 15:32:11
先日、佐○○一郎さんに連れられて、元町が目の前
にある炉端焼きの店へ行きました。
お料理もほんとうに美味しかったのですが、そこの
経営者は、いまはなき伝説的ホテルの経営者夫人でした。
一緒に行って、お話、伺いませんか?
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大作ご苦労様です (ミサイル超獣)
2014-02-19 00:57:45
1人石川町観光協会ですね
ご紹介されたあたりはあんまり歩いたことなかったなぁ
週末あたりにでもちょっと散歩したくなりました
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オージー (管理人)
2014-02-19 06:12:30
>ぶらくり佐藤さん
レストラン「オージー」ですよね。
私は1回行っただけでした。
「車橋もつ肉店」は何回かランチを食べに行きましたが、
最近はご無沙汰しています。
そろそろ行かなくちゃ。
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カフェ (管理人)
2014-02-19 06:14:05
>ぶりさん
「カフェ亀の橋」はお勧めされているのですが、
未訪問です。
本牧の人が移り住んでやっているとか。
返信する
懐かし (管理人)
2014-02-19 06:16:09
>吉継さん
アイキャナルストリートは面白味がありませんが、
ひらがな商店街、リセンヌ小路は懐かしい感じがします。
散策をお勧めします。
返信する
伝説の (管理人)
2014-02-19 06:21:13
>冬桃さん
私も昨年、元町の交差点で佐○○一郎さんに遭遇し、
連れられて、炉端焼きの店へ行きました。
その時は氏と小野光景の話をしていたのですが、
炉端焼きの経営者が、伝説的ホテルの経営者夫人だったとは…。
行ってお話を聴きたいですね。
返信する
観光協会 (管理人)
2014-02-19 06:23:22
>ミサイル超獣さん
たしかに、一人観光協会です。
あちこちの町でやってみたいですね。
石川町には明治大学の学生が入って何かやっているようですが、
あまり見えてきません。
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