中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

横浜中華街の入口で威容を誇った「平安楼」

2018年09月15日 | 中華街(大通り)

 昭和10年のオープンから昭和20年の横浜大空襲で街が壊滅するまでの10年間、現在の善隣門橫に旅館と間違えるような中華料理店があった。日本人の経営する「平安楼」である。
 冒頭の画像は昭和13年の「火災保険図」。戦前に火災保険会社がつくっていた、今でいうところの「住宅明地細図」で、大きなお店には店名も書きこまれている。


 この場所には現在、「横浜大飯店」や「華銀」などが建っており、現地を歩いてみると、その敷地の広さが実感できる。
 「平安楼」は建物の素晴らしさや、店主の経歴などから一部の人たちの間ではよく知られたお店だ。開港資料館の企画展、館報「開港のひろば」で、写真とともに紹介されているので、ご覧になった方も多いと思う。
 旅館のような建物だったので、当然のことながら中庭があった。おそらく各部屋からそれを眺めることができたはずだ。

 また、「平安楼」はサンマーメン発祥の店という説もある。横浜市が発行する季刊誌『横濱』第7号にそのことが記載されているのだ。

 そんな「平安楼」であるが、最近、仕事で知り合った方がこの経営者の子孫であることが判明した!
 ことの発端は、その方のお父様が飲食店をやっていたという話だった。聞けばその店は私が何回も通った店だったのである。
 そこから祖父、曽祖父の経歴などに話が飛び、「むかし、中華街大通りの入口角で大きな店をやっていた」という情報を得た。
 もしや……と思い、念のため店名を聞くと「平安楼」だというではないか!
 すごい大発見である!

 その後、いろいろ昔の話を聴かせていただいたが、先日、こんな写真のコピーを持って来てくださった。 


 3枚セットにコピーした写真。


 こちらは4枚セット。


 せっかくなので、それらを1枚ずつ拡大してみた。
 現在の善隣門側から撮影した写真はよく見るが、これは大通り内から写したもの。巨大な提灯が1対。なかなか印象的である。
 カラー写真ではないので色は不明だが、赤提灯に黒字だったのだろうか……。


 こちらはよく見る構図。


 洋間のほかに、違い棚や床の間のついた和室もあった。


 和室をアップ!
 この建物にふさわしい部屋だよね。


 大広間。
 料理が取りやすいようにと日本で発明された回転式テーブルも備わっていた。


 ご家族向け日本間。
 まるで旅館の客室のようだ。


 建物に取り囲まれた庭園♪

 こんな写真を見ていると、あの店を思い出しませんか?

 7年前に閉店した「安楽園」!


 最後にオマケを一枚。


 「平安楼」の経営者、沼田安蔵氏がどんな人だったのか、神奈川新聞が昭和33年7月27日の記事で取りあげている。
 「横浜植木」の社長もしていたとは!

 あらためて驚いた。 

 

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6 コメント

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趣があって素晴らしい (ミサイル超獣)
2018-09-15 19:11:08
こんな建物がたった10年間しか存在できなかったとは、実に惜しい。
でも中華街に限らずこんな建物が建設されることはもう二度とないでしょうね…。
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サムライ商会に負けてないかも。 (冬桃)
2018-09-15 21:00:22
こういう豪壮な建物が、大震災や大空襲の前には
幾つも横浜にあったのですね! 
写真があってほんとうによかったです。
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Unknown (いその爺)
2018-09-16 13:58:46
菜単は残っていないのでしょうか?
私はロマンの無い”三種乗せ”派です!σ(^◇^;)
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もったいなかった (管理人)
2018-09-17 09:57:23
>ミサイル超獣さん
あの大空襲がなければ、残っていたかもしれませんね。
昭和10年の建物だから平成まで健在だったかも…
残念です。
返信する
たしかに (管理人)
2018-09-17 09:59:28
>冬桃さん
サムライ商会にも負けませんね。
こっちは内部もすごかったみたいだし。
コピー、でいただいた写真以外にも、
もっとなにかが残っているような気がします。
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メニュー (管理人)
2018-09-17 10:01:22
>いその爺さん
訊いてみますね。
メニューのコピーでも残っていれば愉しいのですが。
まさかレシピなないでしょうけど…

こんな中華料理店を再現してほしいです。
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