中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

野毛の思い出(続)

2017年08月21日 | おいしい横浜

 最近は野毛に行くことを「入毛」なんていうらしい。また、野毛で呑むことを「野毛で野毛(のげでのもう)」とも書くようになっている。

 かつて労働者で溢れていたこの町は、第一次オイルショック以降、人通りが少なくなってしまったが、昭和61年(1986)に地域の活性化を目指す地元商店主たちの呼びかけで始まった野毛大道芸などによって、再び人が集まるようになってきた。
 その後、東横線(横浜~桜木町間)の廃線という危機的な出来事もあったが、逆にこれをバネにして、多くの若者が集まる町に変化してきた。
 最近は旅行案内書を片手に店を探すお嬢さん方もよく見かける。彼女たちが探しているのは、おそらく「もつ焼き」か「洋風立ち飲み」なんだろうね。
 ずいぶんと変わったものだ……

 むかし、立ち飲みといったら葭簀張りの屋台が有名だった。
 場所は野毛小路で…
 ストリートビューに移っている左側の駐車場のあたりだ。記憶があいまいになってきているので、もしかしたらもう少し桜木町駅寄りだったかもしれない。

 焼酎の梅割りが30円! 焼き鳥は1本10円もしていなかったと思う。肉の表面には産毛が密集していて、口の中に入れると妙なサワサワ感があった。先輩たちはあれを赤犬といっていたが、はたして何の肉だったのか…

 その向かい側、ストリートビューで「お酒の横濱屋」が写っている場所だが、ここに「加藤商店」という酒屋があった。
 もちろん角打ちができる店なのだが、少し小遣いに余裕があるときは、その向こう側の銭湯「柳湯」の軒先を借りて営業していたフライ屋に酒を持ち込み、クジラや玉ネギなどの串を頬張りながら呑んだものである。
 その後、柳湯は廃業し解体されたのだが、軒先のフライ屋はしばらくの間そのままの姿で残されていた。やがてそれも解体され、現在は「エスター」が建っている。

 あの頃、野毛にはこの「柳湯」を始め、「国の湯(那の湯だったかも)」、「人参湯」と3軒もの銭湯があった。
 「国の湯」は現在、駐車場になっている。
 「人参湯」の方はマンションに。 


 これは昭和30年代の地図。赤丸のところが「柳湯」である。青丸のあたりに「人参湯」があるはずなのだが、この時点で煙突マークが描かれていないということは、まだ建設されていなかったのか…


 赤丸印が「国の湯」であるが、青丸の部分にも煙突がある。ここも銭湯だったのだろうか…
 あと、銭湯と言っていいのかどうか分からないが、あの「武蔵屋」の向かい側には「横浜温泉」なんてのもあった。
 ここは朝まで営業していたので、夜遅くなって帰れなくなったときにはよく利用した。

 むかしはドックや港湾で働く男たちが、こういった銭湯でひと風呂浴びてから呑みあるいていたものである。

 最近は、野毛ではクジラをメニューに入れるお店が多くなってきたが、もともとの発祥は戦後のクジラ横丁である。クジラを煮たり焼いたりして食べていたそうだ。古老の話では刺身もあったという。
 やがて駅前の整理と共に横丁の屋台は消滅し、クジラ煮もメニューから消えていった。そんななか、昭和40年代後半から50年代だったが、屋台のクジラ屋が宮川町に出ていた。場所はここだ。そこは現在、「横濱クジラ」になっている。

 当時はなんとかいう店の前に置かれた小さな屋台だけで、水道などはその店のものを使っていたのではないかな。
 親父さんは大の競馬ファンで、お客さんと話す話題はいつも馬のことだった。

 夏の夕方になると、リヤカーを引っ張ってアイスクリームを売り歩くオカマのオジサン(おばさん?)がよく訪ねてきた。
 私は買ったことはなかったが、酔狂なお客が買って食べているのを見たことがある。それはなんとも奇妙な光景であった。
 そうそう、オカマといえば「おせんさん」も有名だったよね。

 
 野毛ではしご酒をしていると、帰れなくこともしばしばあった。そんなときは「横浜温泉」で仮眠をとるか、あるいは「ダウンビート」で座ったまま夜明けを待ったものである。
 「ダウンビート」は寝ちゃうと叱られるので、必死に眠気をこらえていたが、今考えると、メガネに大きな目玉の絵を描いた紙を貼って眠ればよかったと思う。

 こういう店で夜を明かす金のない時は、海岸通り団地に住む作治さんの部屋におしかけ、3畳一間に4人で泊まったりしていた。
 そんな宿泊仲間のうち二人は、もうこの世にいない……

 作治さんの部屋はいつも無施錠だったので自由に出入りできた。ところがある日、夜中の1時頃、エム氏と一緒に行くと珍しく鍵がかかっていた。
 だが、ベランダ側は施錠していないことを知っていたので、我々はそこから入ることを考えた。そのために考えた方法とは……

 これは書くと長くなるので、また次の機会にしよう。
 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
有隣堂店頭 (小径のヌシ(^-^))
2017-08-26 07:46:50
また新しい野毛本が出版されていましたね
返信する
野毛本 (管理人)
2017-08-26 09:49:22
>小径のヌシさん
宣伝だけ見ました。
返信する

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