2016年10月11日
2014年7月31日記
さて、京都北大廻り散歩の後半。
広河原から佐々里峠をぬけて美山町へ、ぽつぽつとかやぶきの家が出てくるが、一番多くあるのは知井地区(京都府南丹市美山町北)の“かやぶきの里”だ。
50戸の家のうち38棟がかやぶきの屋根らしい。
“かやぶきの里”を出て安掛から周山の方向へ(162号線)、途中左にそれて山道をくねくね廻って常照皇寺(京北井戸町)へ。
1362年に光厳天皇(後に出家して光厳院となる)によって開かれた。彼は南北朝の動乱の中で翻弄され転変の一生を送り、晩年は諸国を巡って戦没者を供養し、最終この常照皇寺で没した。
ここの桜は見事だ。国の天然記念物である「九重桜」、御所から株分けしたといわれる「左近の桜」、一重と八重が一枝に咲く「御車返しの桜」などがある。桜の季節にはかなりの賑わいを見せるが、それ以外は場所的に不便なためか、あまり人は訪れない。
写真には出していないが、この門前の一本の桜も見事だ。見に来る値打ちはある。
中に入れば大きな座敷(方丈)が一つ。奥の方に光厳法皇の肖像彫刻が祭られている怡雲庵(いうんあん)がある。本堂の前の庭は急斜面だ。
この寺では薄暗い本堂に座って、明るい庭の景色を見るのがいい。
光と影との繊細なふれあい、薄暗さが心に安ぎをあたえる心地よい空間。己のこころと向き合うということになるのだろうか。
光厳院にこんな歌がある。
さよふくる窓の燈つくづくと 影もしづけし我もしづけし
過ぎにし世今ゆくさきと思ひうつる 心よいづらともしびのもと
ともしびに我もむかはず燈も我にむかはず おのがまにまに
あと周山から、川端康成の「古都」の舞台“中川”を経由して、高雄から京都市内の我が家へ。
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