エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

  厄病神と貧乏神

2017年01月23日 | 雑感

2017年1月23日

昨年、2月母が亡くなってから整理づいて不用品の処分に明け暮れている。

最初の頃は業者に何度か頼んだ。 その後、友だちから聞いた市のクリーンセンターに

自分でごみを持ち込んでいる。

100キロまでなら1000円、100キロを超えると2000円という安さで、素人の私らでも

ずいぶんの量のゴミが処分できる。

モノを大切にする母が残した大量のモノを片付けているうちに、家内はいつのまにか

不用品処分にはまってしまった。 身辺整理だ。

 

ある日、私が外から帰ってくると、裏庭でステンの一斗缶で家内が何やら燃やしている。

“何燃やしてるの?”と聞くと “日記”という。

 

           

 

彼女の日記は何十冊とある。 中学生時代からのものだ。

 そのうちの結婚生活後の日記をぱらぱらと広げてみると、出て来るわ出て来るわ、

私の悪口。 彼女の考えは大抵わかっているつもりだったが、聞くのと読んでみるのと

ではまったくちがう。 ここまでよく私の悪口を書けたものだと感心する。

 

「結婚当初からこんな悪口ばっかり書いてきたから、我が家の運気が悪くなったんと

 ちがうか?」

 「そうかもしれない。 若いころからわたし、悲しみを大事にしてきたからネ。

 悪かったわねぇ・・・」

 

結婚して10年間はともかく、母親と同居したこの30年は、散々な日々だった。

 

「悪い運気は天に上って行ったぞ。日記を燃やしているおまえの背後から運気の

 ような煙が出て龍のように頭上を舞っていた・・・」 と冗談まじりに私は云った。。

 

                              

                注)写真は息子が小学校の時に作った版画だ。

 

よせばいいのにまた付け加えた。 「そうか!お前が厄病神やったんか・・・」

すると家内 「そう、そしてあなたは貧乏神、“かせぐに追いつく貧乏神は

足よわき(西鶴・永代蔵)」そう言っておまけにざれ歌まで披露してくれた。

   

   缶ビール 帽子の中に隠れおり 呆れ果てたる 夫のこのごろ

 

 


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