社会人になって少し落ち着いた頃でした。
画用紙にペンや水彩で絵を描いていたのに飽き足らず、とうとう油絵にも挑戦することになりました。
処女作(F6)です。
やがて、ただ単純に風景や静物を描くというのに抵抗を感じてきます。
たとえ下手くそでも美術のまねごとではない作品を描きたい。
絵に情感を描き込みたいと感じていろいろと考えたものです。
例えば、デッサンも構図も色彩もどれをとっても素晴らしい絵画があったとしましょう。
確かに立派な美術品に違いありません。
だが、いくら技術的に優れた美しい作品であっても、心に訴えるものがなければそれを芸術と呼べるだろうか…
美術と芸術はどう違うのだろう。
芸術って何なんだろう。
何をもって芸術と呼ぶのだろうか。
やがて、技術的にも素人同然の身を承知の上で、自分なりの芸術観を形成していきました。