遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

春次作『啐啄斎好隅切懐石膳』(10客)

2021年10月10日 | 漆器・木製品

このところ、懐石の盆や器をアップしてきましたので、今回は懐石の主膳を紹介します。

すばらしく(^^;重い箱です。もう一個あるのですが、中味は同じです。重さのため開けるのは省略します(^.^)

古布に麗々しく包まれています。

中味は・・・・

脚付きの四方盆が5客です。

もう一つの箱も同じですから、全部で10客になります。

30.3㎝ x 30.1㎝、高 8.2㎝。明治時代。

 

箱には、「啐啄斎好 懐石膳  春次」とあります。

春次は、蒔絵師山本春正の流れをくむ塗師です。

啐啄斎とは、裏千家八代宗左(延享元(1744)~文化五(1808))のことで、隠居した後、「宗旦」を名乗りました。好みの物を多く作ったそうですから、このタイプの懐石膳も彼の好みの品の一つだったのでしょう。

黒に赤のストライプがきいています。

キュッとしまった上品な風雅が魅力ですね。

茶懐石用でしょうか。

しかし、今どき、この懐石膳が、五客、十客と活躍する場は望むべくもありません。

そうこうしているうちに・・・・

隅に小さな亀裂を見つけました。

刳り抜きではなく、材を組み合わせた器の場合、長年の間に、どうしても接合部に歪みが生じ、塗りに亀裂が入ったり、剥げたりしてきます。おまけにこの膳は隅切で、脆さが増大しています。もう100年以上たっているので、これくらいの疵は小さい方かも知れません(^.^)

コメント (2)
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