カイロ・ウノ(chiro-uno)=^.^=宇之助室長の猫の手

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イチローと「痛覚では感じない痛み」

2009年03月30日 | 神経学
 第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦、すごかったですね。

 韓国と対決が5回におよんだのは謎でしたが、第1回大会に続く優勝を果たしました。

 延長戦で決勝点をはなったのは、やはりイチロー。

 Let miracles happen !!

 まさにメークミラクル?でした。

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 イチローは第1回WBCに続いてリーダーとしてナインを引っ張る役目を担いました。

 しかし、打撃は不振。

 敗者復活戦のキューバ戦では、送りバントを失敗。

 謝罪するイチローに、城島は「大丈夫ですよ。イチローさんがしっかりするまでオレたちがつなぎますから」と声をかけたそうです。

 原監督も「イチローがみたい」と全面的に信頼し、そして決勝戦での復調。

 決勝戦後のインタビューでも、イチロー自身「個人的には想像以上の苦しみ、つらさ、痛覚では感じない痛みを経験した」と答えています。

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 痛覚は危険を知らせるシグナルと考えられています。

 一般的には皮膚や腹膜、骨膜などで疼痛(痛み)として感じます。

 これを「体性痛」といいます。

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 「内臓痛」は痛む部位がはっきりしません。

 痛む部位をさすったり、身体的あるいは精神的ストレスの増減で痛みが変化します。

 内臓は痛覚以外にもさまざまな感覚を持ちます。

 私達が意識できるものでは、空腹感や口渇感、吐き気、尿意、便意などがあります。

 また、意識にのぼらないものには、体温・血圧・血液の浸透圧・pH・血糖値などがあります。

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 臓器疾患がある場合は「関連痛」が起こることがあります。

 心筋梗塞などの心臓疾患では左肩に痛みが起こったり、初期の盲腸(虫垂炎)では心窩部(みぞおち付近)に痛みが起こるものが有名で、診断に利用されます。

 痛みは神経が電気信号を脳に伝えることによって起こりますが、神経が複雑に分岐しているため、痛みを出している部位を脳が間違って認識してしまった結果起こるとされています。

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 以上のことから、イチローの場合の痛みは「内臓痛」ではないかと推測できます。

 過度のストレスや過労は、内臓に「痛覚では感じない痛み」を与えます。

 痛みは身体のサインです。

 身体のサインを早く的確に受け取ることが、病気の予防にもつながります。