前に読んだ、朱川湊人さんの「わくらば追慕抄」で、
昭和29年におきた日本海難史上最大の惨事、洞爺丸事故を知り、
この事故を題材にしたこの小説を読んでみたいと思いました。
ちなみにこの頃、
父の仕事の関係で北海道と本州を行き来していた高齢の母に、
この事故を知っているか聞いたところ、覚えていると言いました。
それほど大きな事故だったのだなと怖くなりました。
上下巻に分かれた長編サスペンスです。
貧困、罪、善行といったワードがテーマとなっているようです。
これもまた、ドフトエフスキーの「罪と罰」の影響を受けているのでしょうか。
さて、この小説に登場する杉戸八重。
若い頃から娼妓でありながら、明るく懸命に生きていました。
でも、彼女の恩人であるはずだった犬飼多吉に会いに行って、
あっさりと殺されてしまいます。
これがかわいそうでなりませんでした。
昔、映画化されているようなので、機会があれば観たいと思います。
一点、釈然としない部分もあります。
杉戸八重を探して、時子を訪ねた謎の男。
これは一体誰だったのか?
小説に出てくる刑事さんたちの推理では、犬飼が雇った男みたいだけど、
犬飼はそこまではしていないみたいだし・・。
「さいたまや」で八重をしつこく追いまわしたテキヤの若者だったのかしら。
謎だ。
【しるびあ的評価】☆☆☆☆★