気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人1月号 同人のうた その3

2017-01-11 11:44:04 | 短歌人
「じさつした嫁とそつくりのべつぴんさん」京都駅前広場でいはれる
(西橋美保)

人の死はすべて孤独死今日も船消ゆるバミューダトライアングル
(八木博信)

三万日超ゆるあゆみか脹脛揉みほぐしをり冬至の柚子湯
(小川潤治)

晩年に入りしよろしさ足一本ふやして初冬の街に出でゆく
(古川アヤ子)

灯油の匂ひふいに過ぎりぬ夕べの道あなしづやかに冬が来てゐる
(小島熱子)

箱根蔵王湯布院別府 袋より取り出だしては湯の花さかす
(榊原敦子)

ねむるのが下手な母の血だんだんとわれに濃くなる木犀にほふ
(佐々木通代)

隣人は鈴好むらし鍵束の鈴は鳴りつつドアを開けいる
(村山千栄子)

いづこからいづこへ渡る鳥ならむ小さき形が群れなし過ぐる
(三井ゆき)

スーパーに買いてつましき秋刀魚二尾家近づけば銀とがりゆく
(川田由布子)

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短歌人1月号。同人1欄より。
西橋さんの一連、面白く読んだ。同人は七首掲載なので、何首かは載らなかったのだろうか。この人の歌にある毒に惹かれる。八木さんも毒のある歌を詠む人で、注目している。

右手より左手冷ゆる不可思議に文(ふみ)を書かむと便箋ひらく
(近藤かすみ)

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