気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人8月号 同人のうた

2014-08-07 16:11:18 | 短歌人
あぢさゐが咲けば思ほゆぱりぱりと和傘をひらく油の匂ひ
(橘夏生)

「短歌人」出詠のため枕辺に看護師長立ちき十五分間
(有沢螢)

新婚のふたりをいはふ葡萄酒よ明かるき光海よりさし来
(岡田幸)

ひるがへる青葉となりて音たてるこのかへるでは父が植ゑたり
(金沢早苗)

芳一をおもへば両のわが耳にひやけどめ塗るおもてもうらも
(佐々木通代)

四年ぶり田植ゑもありて水の界ひかりの界のひろがる五月
(洞口千恵)

おおうみのくじらがいわしを食うように錠剤十五を飲みほすあわれ
(室井忠雄)

理論書に空しいことを書き継いで紙は何万の木を灰にしてゐる
(泉慶章)

ポマードの微かな香するバスのなか死にたる父も帰路を急ぐか
(森澤真理)

空箱のひとつひとつに籠められし「いつか使ふ」の思ひが重い
(西橋美保)

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短歌人8月号、同人1欄より。

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