気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人7月号 同人のうた その3

2017-07-12 10:38:04 | 短歌人
しろくろの津島恵子が踊りをり<たそがれ酒場>の映画のなかに
(杉山春代)

遠ざかるひとがほがらにふりむけり遠ざかるのはわれかもしれぬ
(柘植周子)

一本の螺子も緩んでいかぬよう車両検修主任の目視
(村田馨)

山頂にて食べるおにぎり美味なるは山の空気の味かも知れぬ
(立花みずき)

生きている証のごとく印を押し回覧板を隣家にまわす
(山本栄子)

アスファルト割りて出でたる葛の芽の骨のごときが十二、三本
(三井ゆき)

胸のすきまにアンパンマンのマーチ沁む五月の帰路にひくく歌えば
(内山晶太)

価値観の違ひはかくもさかしまに事情と情事社会と会社
(本多稜)

裁ち鋏和紙一枚を切り離し鋏も和紙も無音に在りぬ
(平野久美子)

三人子が自転車に乗りついてきた遠い日のこと黄砂のむかう
(紺野裕子)

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短歌人7月号、同人1欄より。

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