狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフェーリア来て秋ははなやぐ
老けてゆくわたしの頰を見てほしい夏の月影揺らぐさなかに
わたくしが切り落としたいのは心 葡萄ひと粒ずつの闇嚥む
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
遠ざかるときがいちばんあかるくてあかるく見えて夕暮れの頰
唇(くち)もとのオカリナにゆび集めつつわたしは誰かの風紋でいい
冬の虹途切れたままにきらめいて、きみの家族がわたしだけになる
全身できみを抱き寄せ夜だったきみが木ならばわたしだって木だ
何があったか全部言って、と迫るうちに蔓草の野となってしまった
肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹
(大森静佳 カミーユ 書肆侃侃房)
老けてゆくわたしの頰を見てほしい夏の月影揺らぐさなかに
わたくしが切り落としたいのは心 葡萄ひと粒ずつの闇嚥む
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
遠ざかるときがいちばんあかるくてあかるく見えて夕暮れの頰
唇(くち)もとのオカリナにゆび集めつつわたしは誰かの風紋でいい
冬の虹途切れたままにきらめいて、きみの家族がわたしだけになる
全身できみを抱き寄せ夜だったきみが木ならばわたしだって木だ
何があったか全部言って、と迫るうちに蔓草の野となってしまった
肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹
(大森静佳 カミーユ 書肆侃侃房)