砂浜に幼はひたすら貝拾ううなじに垂れし髪かきあげて
「魚の棚」ぴくぴく跳ねるかれい蛸生きいるままに購い急ぐ
紅白を咲き分け「思いのまま」という一本の梅に紅を数える
終戦の一年生のわが背には母手作りのランドセル負う
元朝の京風雑煮わが味に故郷の味は三日目食ぶ
天然の翡翠で彫らるる白菜の虫二匹置くみずみずしさよ
午後八時封書受け取る「マイナンバー」我が名数字に置き換わりたり
しろがねの薄の原に風奔り撓みたわみてすっくと戻る
夕べには紅のきざして淑やかに酔芙蓉の花ひとときを在る
夫の逝き妻の役割終えし今しどろもどろのわがための時間
(堤純子 撓みたわみて 青磁社)
*********************************
「好日」所属の第一歌集。妻として母としての長い歳月の重みを感じさせる一冊だ。良妻賢母の生き方がすばらしい。こういう生き方はもうできない。
「魚の棚」ぴくぴく跳ねるかれい蛸生きいるままに購い急ぐ
紅白を咲き分け「思いのまま」という一本の梅に紅を数える
終戦の一年生のわが背には母手作りのランドセル負う
元朝の京風雑煮わが味に故郷の味は三日目食ぶ
天然の翡翠で彫らるる白菜の虫二匹置くみずみずしさよ
午後八時封書受け取る「マイナンバー」我が名数字に置き換わりたり
しろがねの薄の原に風奔り撓みたわみてすっくと戻る
夕べには紅のきざして淑やかに酔芙蓉の花ひとときを在る
夫の逝き妻の役割終えし今しどろもどろのわがための時間
(堤純子 撓みたわみて 青磁社)
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「好日」所属の第一歌集。妻として母としての長い歳月の重みを感じさせる一冊だ。良妻賢母の生き方がすばらしい。こういう生き方はもうできない。