初夏(はつなつ)といふは今ごろ たばこ屋のわかば、エコーのパッケージ美(は)し
午後からの雨となりたり傘持たぬ燕は空に、蝶は木の葉に
(大越泉 燕は空に)
降る雨に池に生(あ)れゆく水の輪はしどけなきさまにひろがりゆけり
大使館前の守衛は雨のなか蝙蝠傘を手に仁王立ち
(取違克子 雨滴)
大過なく定年退職したりけり母に手料理つくらむと思ふ
車椅子を押しつつ傘を開きたり「わたしが持つよ」と言ひたまひけり
(野村裕心 車椅子に傘)
傘さして一歩前への気概にてざんざか雨降る庭に出で立つ
強風にのけぞる傘をなだめつつ身体も風に煽られている
(おのでらゆきお ざんざかと雨)
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短歌人6月号、6月の扉。題詠*傘をさしながら詠む歌
午後からの雨となりたり傘持たぬ燕は空に、蝶は木の葉に
(大越泉 燕は空に)
降る雨に池に生(あ)れゆく水の輪はしどけなきさまにひろがりゆけり
大使館前の守衛は雨のなか蝙蝠傘を手に仁王立ち
(取違克子 雨滴)
大過なく定年退職したりけり母に手料理つくらむと思ふ
車椅子を押しつつ傘を開きたり「わたしが持つよ」と言ひたまひけり
(野村裕心 車椅子に傘)
傘さして一歩前への気概にてざんざか雨降る庭に出で立つ
強風にのけぞる傘をなだめつつ身体も風に煽られている
(おのでらゆきお ざんざかと雨)
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短歌人6月号、6月の扉。題詠*傘をさしながら詠む歌