気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人3月号 同人のうた

2017-03-08 10:41:37 | 短歌人
冬日差す水のほとりは明るくて鷗のこゑのひびき降るなり
(青輝翼)

あらかじめ決められた質疑応答の隙間を紋白蝶が流れる
(猪幸絵)

旧年となりてゆくなり十二月のカレンダーの絵がわれをとりなす
(柏木進二)

霜月のひと月かたちを変えながら空より降(くだ)るあめみぞれゆき
(加藤隆枝)

思いやりその「やり」にある鈍感をくだいてくだいてトイレに流す
(鶴田伊津)

うちつけに火が意志を持つライターよりらふそくに身をうつししときに
(花鳥佰)

「ものみの塔」断るわれにドア開けてくれてありがたうと男去りゆく
(竹浦道子)

ぽつんぽつんと灯の点る郭しんとして過去世のやうに靴音ひびく
(小島熱子)

さえざえと貴婦人笑ふ長楽館ホールの絵画に内緒よ、といふ
(西橋美保)

冬空に鳴る裸木よゆるゆると朽ちてゆくなり父の肺葉
(洞口千恵)

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短歌人3月号、同人1欄より。

けむりほどの縁(えにし)あらねど星野源あかるく恋を唄ふは楽し
(近藤かすみ)

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