言葉みな空にかへしてただ幽(くら)き花闇を往く夢のはじめに
(大谷雅彦)
身の丈の百四十となりし子を遠くから見る 遠くへとやる
(鶴田伊津)
晩春の森のちからを蓄へしブロッコリーを食みをりわれは
(佐々木通代)
底ふかく土あればここに長実ひなげし路床砕石(バラス)の中より出でて
(酒井佑子)
目覚めても目覚めてもまた夢にゐて鬱金香を今覗いたところ
(阿部久美)
水張田に青をわかちてなほ青しわれを産みたる五月の空は
(洞口千恵)
うすくうすくなつてぺきんとせつけんを割る 死ぬつてこんなことかもしれぬ
(花鳥佰)
紙燃えて紙をどり出す一瞬を印字くきやかに浮き出づる見ゆ
(大森浄子)
暮れてゆく若葉の街を映したる瞳は誰もいないみずうみ
(守谷茂泰)
真夜中の梅酒瓶より掬いたる一顆に地球に似たる梅あり
(岩下静香)
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短歌人7月号 同人1欄より。
(大谷雅彦)
身の丈の百四十となりし子を遠くから見る 遠くへとやる
(鶴田伊津)
晩春の森のちからを蓄へしブロッコリーを食みをりわれは
(佐々木通代)
底ふかく土あればここに長実ひなげし路床砕石(バラス)の中より出でて
(酒井佑子)
目覚めても目覚めてもまた夢にゐて鬱金香を今覗いたところ
(阿部久美)
水張田に青をわかちてなほ青しわれを産みたる五月の空は
(洞口千恵)
うすくうすくなつてぺきんとせつけんを割る 死ぬつてこんなことかもしれぬ
(花鳥佰)
紙燃えて紙をどり出す一瞬を印字くきやかに浮き出づる見ゆ
(大森浄子)
暮れてゆく若葉の街を映したる瞳は誰もいないみずうみ
(守谷茂泰)
真夜中の梅酒瓶より掬いたる一顆に地球に似たる梅あり
(岩下静香)
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短歌人7月号 同人1欄より。