気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人7月号 同人のうた

2015-07-01 21:12:15 | 短歌人
言葉みな空にかへしてただ幽(くら)き花闇を往く夢のはじめに
(大谷雅彦)

身の丈の百四十となりし子を遠くから見る 遠くへとやる
(鶴田伊津)

晩春の森のちからを蓄へしブロッコリーを食みをりわれは
(佐々木通代)

底ふかく土あればここに長実ひなげし路床砕石(バラス)の中より出でて
(酒井佑子)

目覚めても目覚めてもまた夢にゐて鬱金香を今覗いたところ
(阿部久美)

水張田に青をわかちてなほ青しわれを産みたる五月の空は
(洞口千恵)

うすくうすくなつてぺきんとせつけんを割る 死ぬつてこんなことかもしれぬ
(花鳥佰)

紙燃えて紙をどり出す一瞬を印字くきやかに浮き出づる見ゆ
(大森浄子)

暮れてゆく若葉の街を映したる瞳は誰もいないみずうみ
(守谷茂泰)

真夜中の梅酒瓶より掬いたる一顆に地球に似たる梅あり
(岩下静香)

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短歌人7月号 同人1欄より。