最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

最前線で活躍するお父さん、お母さんのためのBLOG
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●住環境と子供(1)排尿障害

2009-02-02 08:28:05 | Weblog


●疑わしきは、罰する(ふえる排尿異常)(紫外線対策を早急に)

 今、子どもたちの間で珍現象が起きている。四歳を過ぎても、オムツがはずせない。幼
稚園や保育園で、排尿、排便ができず、紙オムツをあててあげると、排尿、排便ができる。
六歳になっても、大便のあとお尻がふけない。あるいは幼稚園や保育園では、大便をがま
んしてしまう。反対に、その意識がないまま、あたりかまわず排尿してしまう。原因は、
紙オムツ。最近の紙オムツは、性能がよすぎる(?)ため、使用しても不快感がない。子
どもというのは、排尿後の不快感を体で覚えて、排尿、排便の習慣を身につける。たとえ
ば昔の布のオムツは、一度排尿すると、お尻が濡れていやなものだった。この「いやだ」
という感覚が、子どもの排尿、排便感覚を育てる。

 このことをある雑誌で発表しようとしたら、その部分だけ削除されてしまった(M誌九
八年)。「根拠があいまい」というのが表向きの理由だったが、実はスポンサーに遠慮した
ためだ。根拠があるもないもない。こんなことは幼稚園や保育園では常識で、それを疑う
人はいない。紙オムツをあててあげると排尿できるというのが、その証拠である。

 ……というような問題は、現場にはゴロゴロしている。わかってはいるが、はっきりと
は言えないというようなことである。その一つが住環境。子どもには、高層住宅よりも、
土のにおいのする一戸建ての家のほうが好ましいことは、言うまでもない。実際、高層住
宅が人間の心理に与える影響は無視できない。こんなデータがある。たとえば妊婦の流産
率は、六階以上では、二四%(一~五階は六~七%)、帝王切開などの異常分娩率は、二七%
(一戸建ての居住者は一五%)、妊娠関連うつ病(マタニティブルー)になる女性は、一戸
建ての居住者の四倍(国立精神神経センター、北村俊則氏)など。子どもは当然のことな
がら、母親以上に、住環境から心理的な影響を受ける。が、もっと深刻な話もある。

 日本では昔から、真っ黒に日焼けした顔は、健康のシンボルとされてきた。今でも子ど
もの日焼けについて、何らかの対策をこうじている学校は、ほとんどない。無頓着といえ
ば、無頓着。無頓着過ぎる。オゾン層のオゾンが、一%減少すると、有害な紫外線が二%
増加し、皮膚がんの発生率は四~六%も増加するという(岐阜県保健環境研究所)。実際、
オーストラリアでは、一九九二年までの七年間だけをみても、皮膚がんによる死亡件数が、
毎年一〇%ずつふえている。日光性角皮症や白内障も急増している。そこでオーストラリ
アでは、その季節になると、紫外線情報を流し、子どもたちに紫外線防止用の帽子とサン
グラスの着用を義務づけている。が、この日本では野放し。

オーストラリアの友人は、こう言った。「何もしていないだって? 日本も早急に、対策
をこうずるべきだ」と。ちなみにこの北半球でも、オゾンは、すでに一〇~四〇%も減
少している(NHK「地球法廷」)。

 そこでどうだろう。私たちの住む地域だけでも、子どもたちに紫外線防止用の帽子とか、
サングラスの着用を試してみたら。害が具体的に出始めてからでは、手遅れ。法律の世界
では、「疑わしきは、罰せず」という。しかし教育の世界では、「疑わしきは、罰する」。子
どもの世界は、先手先手で守ってこそ、はじめて、守れる。


●高層住宅の問題点(「疑わしきは罰する(2)」)(ストレスの発散をじょうずに)

 以前このコラムで、「疑わしきは罰する」を書いた。その中で、「高層住宅の一〇階以上
に住む妊婦の流産率は、三九%」「(マンションなど高層住宅に住む人で)、マタニティブル
ー(妊娠関連うつ病)になる人は、一戸建ての家に住む人の四倍」などと書いた。このコ
ラムは大きな反響を呼んだ。と同時に、多くの人に不安を与えてしまった。しかしそこに
書いたことに、まちがいはない。私はそのコラムを書くにあたって、前もってそれぞれの
研究者と手紙で連絡を取り、元となる論文を入手した。しかもある程度の反響は予測でき
たので、中日新聞東海本社の報道部のI氏に、論文のコピーを渡しておいた。

 ただし流産の原因については、高層住宅とそのまま結びつけることはできない。高層住
宅のもつ問題点を知り、対応策を考えれば、流産は防げる。逢坂氏も流産率が高いことに
ついて、「居住階の上昇に伴い、外に出る頻度(高さによる心理的、生理的、物理的影響)
が減少する」(「保健の科学」第36巻1994別冊783)と述べている。高層階に住ん
でいると、どうしても外出する機会がへる。人との接触もへる。それが心理的なストレス
を増大させる。胎児の発育にも悪い影響を与える。そういういろいろな要因が重なって、
それが流産につながる、と。

このことを言い換えると、高層階に住んでいても、できるだけ外出し、人との交流を深め
るなど、心理的な風通しをよくすれば、流産は防げるということになる。事実、高層階に
なればなるほど、心理的なストレスが大きくなることは、ほかの多くの研究者も指摘して
いる。たとえば平均死亡年齢についても、マンション住人の平均死亡年齢は、五七・五歳。
木造住宅の住人の平均死亡年齢は六六・一歳。およそ九歳もの差があることがわかってい
る(島根大学中尾哲也氏・「日本木材学会」平成七年報告書)。さらにコンクリート住宅そ
のものがもつ問題点を指摘する研究者もいる。マウスの実験だが、木製ゲージ(かご)で
マウスを育てたばあい、生後二〇日後の生存率は、八五・一%。しかしコンクリート製ゲ
ージのばあいは、たったの六・九%。ほかにコンクリート製ゲージで育ったマウスは、生
殖器がより軽い、成長が遅いなどということも指摘されている(静岡大学農学部水野秀夫
氏ほか)。さらに高層住宅にいる幼児は、体温そのものが低く、三六度以下の子どもが多い
(「子どもの健康と生活環境」VOL41、小児科別冊)など。こういう事実をふまえて、私
は、「子どもは当然のことながら、母親以上に、住環境から心理的な影響を受ける」と書い
た。

 こうした事実があるにもかかわらず、日本の政府は、ほとんど対策をとっていない。一
人、「そうは言っても、都会で一戸建てを求めるのは難しいです」「日本の住宅事情を考え
ると、高層住宅を否定することもできません」と言った人もいた。あるいは「こんなこと
を書いて、建設会社からクレームがきませんでしたか」と心配してくれた人もいた。しか
しここから先は、参考にする、しないの問題だから、判断は、読者の方がすればよい。た
だこういうことは言える。あなたや子どもの健康を守るのは、あなた自身であって、国で
はないということ。こうした建設がらみの問題では、国は、まったくあてにならない。

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