最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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●破壊的行動障害児

2008-06-20 09:56:29 | Weblog
●破壊的行動障害

 その子どもの破壊的、挑戦的、突発的、衝動的、否定的、拒否的な行動が、一定の秩序ある環境になじまない状態にあること、「破壊的行動障害」という。多くは多弁性や、多動性をともなう(DSM-Ⅳの診断基準を参考)。

 ADHD児についての関心は大きくなり、各方面で研究がなされ始めているが、この「破壊的行動障害児」についての研究は、今、日本でも始まったばかりといってよい。軽重の問題もあるが、私の経験でも、二〇~三〇人に一人前後の割合で経験する。U君(小五)という子どもがそうだった。

 U君は、私が何を注意しても、すべてをギャク化してしまった。まじめな会話ができないばかりか、私が、まじめか、そうでないかも、判断できなかった。瞬間的なひらめきは鋭いため、学習面での遅れはそれほど目立たなかった。が、少し目を離すと、周囲の子どもたちを巻きこんで、騒いでばかりいた。

私「U君、静かにしなさい! 先生は、怒っているんだぞ!」
U「怒ってる、怒ってる、タコみたい」
私「あのな、先生は、今、まじめに怒っているんだぞ!」
U「ははは、怒れば、脳の血管、破れて、先生は、あの世行き」
私「静かに、私の話を聞きなさい!」
U「聞いてる、聞いてる、きいてるのは、肩の湿布薬」と。

 このタイプの子どもの指導のむずかしいのは、叱っても、一時的な効果しかないこと。つぎに教室という「場」がもつ秩序を、破壊してしまうこと。それにたいていは、家庭できびしいしつけを受けているため、家庭では、それなりに「いい子」ぶっていていること。そのため親にその認識がないことなどがある。

 原因については、いろいろいわれているが、性格や性質というより、もっと機質的な部分に原因がるような印象を受ける。脳の微細障害説を唱える学者(福島章氏ほか)もいるが、じゅうぶん疑ってみる価値はある。

 このタイプの子どもの、もう一つの特徴としては、自己意識によるコントロールができないことがある。ふつう、小学三、四年生を境として、自己意識が発達し、子どもは自らをコントロールするようになる。そして外からは、その症状がわかりにくくなる。が、このタイプの子どもには、それがない。あたかも意図的に、自ら騒々しくしているといった印象を受ける。

 本来なら、親の協力が不可欠なのだが、ここにも書いたように、たいていは家庭でのきびしいしつけが日常化していて、家では、それなりに「いい子」であることが多い。(むしろ明るく、活発な子どもと誤解するケースが多い。)

またこうした行動障害は、集団教育の場で現れることが多く、そのため、家庭では、ほとんど目立たない。しかし家庭でのしつけがきびしければきびしいほど、その反動として、外の世界で、強く、その症状が現れる。

 対処方法としては、まず親の理解と協力を得るしかない。つぎに、家庭でのきびしいしつけを、軽減してもらう。頭ごなしの説教や、威圧、暴力がよくないことは、言うまでもない。このタイプの子どもは、「叱られる」ことについて、かなりの免疫力をつけていることが多い。

つまりそういう免疫力をつけさせないようにする。たとえばこのタイプの子どもは、ふつうの叱り方では、効果がない。そこで勢い、大声を張りあげて……ということになるが、それは集団教育の場では、できるだけ避けなければならない。

 いろいろ問題はある。私のばあい、もう少し若ければ、こうした子どもと直接対峙して、マンツーマンの教育をしてみるだろうが、このところ、その体力の限界を感ずるようになった。これからの若い先生方に、解決の方法を考えてもらいたい。
(030724)
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 Hiroshi Hayashi education essayist writer Japanese essayist  破滅的行為障害 行動障害児 行為障害児)

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