あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

空のエリートの訓練の厳しさ

2007-03-30 02:01:15 | ニュース
こんばんは。

どんな組織でも、教育訓練は行っていると思います。その中でも軍隊は、量質ともにトップレベルなのではないでしょうか。

その内容がお粗末だったり、使用する兵器が古かったりすると、それはすなわち“死に直結”し、かつ“国家の敗北”を意味するだけに、だからこそ訓練の精度の高さが求められるのだと思います。

軍の中でも、一機数百億円もする高価な戦闘機を扱う空軍は、ご存知の通り非常に狭き門のエリート集団です。

空軍の最前線を担うパイロットは、どんな訓練をしているのか。

その模様がリアルに描かれている作品に、杉山隆男著『兵士を見よ』があります。

優れたルポルタージュで僕も大好きなこの作品の中で、著者が自らF15のコックピットに体験搭乗するシーンがあります。パイロットがどんな訓練をするのか、その厳しさがリアルにわかる部分をご紹介したいと思います。(※以下抜粋)

 好奇心をフォアグラのように食べつづけ、ベトナム戦争真っ只中にサイゴンに自ら従軍記者となって飛び込んだ作家の開高健は、最前線の政府軍キャンプで過ごした日々を綴ったルポの中で、ベトコンの夜襲を待つ恐ろしさと苦しさについて、<想像力は強力だ>と書いていたが、たしかにあれこれ想像してしまうことがなおさら不安をかきたてていく。

 想像力にさいなまれた一夜が明けて、15への搭乗が秒読み段階に入ってみると、朝食をとっておくべきかどうか迷っていた僕は、いざというときに備えて下着を新しいものに取替え、支度を整えてから、結局レストランでトーストにスクランブルエッグ、コーヒーの代わりにオレンジジュースを注文した。
(※中略)
 ふわっ、と体が浮いたな、と思ったとたん、どこかに無理矢理運び去られるような、あの感覚とともに、僕は上下左右のない異次元の世界に三たび放り出された。

 いままでとは比較にならないくらいの強烈なGが全身にのしかかり、締めつけてくる。僕は両手両足を思い切り踏ん張り、呻いていた。眼はとても開けていられない。それでも、体内の血液がカクテルされているのか、目の前がまず真っ赤になり、その赤がしだいに暗さを増して黒ぐろと変っていくのがわかる。体内の筋肉も骨も内臓もすべてがバラバラにされそうな重圧である。頭が絶え難いほどに締めつけられ、頭蓋骨もろとも風船にように破裂しそうだ。

 くんずほぐれつの空中戦の中で、急旋回、急降下、なんでもありの15の激しい動きが作り出しているのだろう、耳もとでゴォーという地鳴りのようなすさまじい轟音が響いている。

 それに混じって、ウウッー、という竹路三佐の苦しげな唸り声も途切れ途切れに聞こえてくる。筋肉質の逞しい体をしたベテランパイロットの竹路三佐にもGは容赦なく襲いかかってくる。しかし、同じ重圧を体全体で受け止めながら、僕の前に座っている彼はこの瞬間も眼をカッと見ひらき、操縦桿のスイッチ類をピアニストのようなタッチで操作して目標を追い詰めている…。

自衛隊のパイロットの平均寿命は、短いそうです。

その厳しい訓練に耐えながら、戦争が勃発した時にはその最前線を張るというプレッシャーに耐えながら、なおも空に向かって飛び立つ。

そこに高い職業意識と、男のロマンを感じるのは僕だけでしょうか。

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