QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

クレームが発生するメカニズムについて Ⅱ

2014-04-17 21:50:31 | インポート

クレームが発生するメカニズムについて図のように考えることができます。



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横軸が出荷から経過した時間、縦軸が製品機能と市場環境・使われ方の想定される分布です。

設計者が自身で納得し、他者を説得するときにつかう設計マージンとは、設計時点における機能・性能の中央付近の値と、想定される市場における環境や使われ方の中心との距離のことです。この市場における環境や使われ方の中心は、その製品のことをもっともよく理解している設計者が生活している環境であり、設計者の使い方で想定している場合がほとんどです。

ですから、この設計マージンというものは非常にあいまいなものになります。

製品が完成し出荷検査を終わって入庫される直前において、製品品質の分布はもっとも急峻になっているはずです。
そして、設計マージンと呼ばれる距離も同様に最大になっているはずです。

入庫と輸送を経て製品は商品として店頭にならびます。しかし、この間、径時変化や輸送のストレスで製品品質の分布の中心は出荷直前のそれから変化し、しかも、ほとんどの場合、設計マージンが小さくなる方向に移動します。

また、分布も出荷直前よりすそが広がり扁平になっている可能性があります。

製品がユーザーの手元にわたって使用され始めると、時間が経過するごとに、分布の中心は設計マージンが小さくなる方向にさらに移動し、製品品質の分布はどんどん扁平になります。

そして、製品品質の分布と市場の環境、使われ方の分布が交錯したところでクレームが発生します。その領域のある位置でクレームが発生する確率は、分布の両者を基準化して標準正規分布に変換したときのそれぞれの位置における確率密度の積になります。

これが、クレームが発生するメカニズムになります。

では、なるべくクレームが発生しないようにするにはどうしたらよいでしょうか。方法はつぎの6通りになると思います。

1.設計マージンをもっと広くとる。

2.製品品質の分布をもっと急峻にする。

3.製品品質が時間経過で扁平化するのを極力防止する。

4.市場の環境・使われ方を制御する。(ユーザーの啓蒙)

5.製品自体が環境の変化をとらえ、自身のシステムを調整する。(自動制御)

6.環境が変化しても、乱暴な使われ方をしても、安定的な機能が発揮できるように設計する。

みなさんはどれがよいと思いますか?

品質工学は6.を目指します。

では、どうやるか? 
それは、『QT Lab.品質・技術研究室』 をご覧いただければ、ご理解いただけると思います。 


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