「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

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善意と善意の受け渡し--災害支援で大切なもの 片岡市長のリーダーシップのもと災害支援で、先駆的な取り組みを見せる岡山県総社市。

2020年01月16日 14時37分33秒 | 防災組織の見本事例

 善意と善意の受け渡し--災害支援で大切なもの

市長のリーダーシップのもと災害支援で、先駆的な取り組みを見せる岡山県総社市。
その取り組みの根底にある市長の視点に迫る。

片岡 聡一 岡山県総社市長


尾崎 洋二 コメント:良きリーダーであるかどうかの分岐点はまさに、「緊急時
」に「人を救うためには」、ルールを破ることも必要だと考え、いざという時に実
行できるかどうかだと思います。
 この意味では片岡 総社市長は本物のリーダです。

 「災害は市の実力テスト」という考えの片岡市長は、市長の権限で、即座に日本
国内において大規模な災害い見舞われた地域に対して、被災地支援が行える態勢を
整えました。

 その結果、支援力を高め、その経験からさらに受援力も高めるという、地方自治
体の理想に挑戦しています。

 このような良い見本を実践している総社市においては、きっと地元の自主防災組
織との連携も素晴らしいかと思います。ぜひ、その連携ぶりも知りたいと思いまし
た。
 

-----以下 第三文明 2020年1月号より--要点抜粋箇条書き----- 


災害は市の実力テスト

 総社市では、全国に先駆けて2013年に「総社市大規模災害被災地支援に関する
条例」を制定しました。

 これにより、市長の権限で、即座に日本国内において大規模な災害い見舞われた
地域に対して、被災地支援が行える態勢を整えました。(予算は1000万円)

 今では市職員のうち2割(130人)が災害支援活動の経験を有しています。

 私は日頃から、「災害は市の実力テスト」だと考えています。

 いくら平時によい政策を実行していたとしても、人の生死が問われるような緊急
時に力を発揮できなかったならば、その実力はゼロ点の評価を受けます。

 いざという時に出せるのは、元からある市長・市職員の総合力です。
 
 だからこそ、私や副市長をはじめ、すべての市職員が自覚を持ち、いざ災害が起
きた時のために、日頃から実力を培っておくことが大事です。

 そのため、市全体として災害支援活動の経験を蓄積してきました。

 

西日本災害で見えてきた課題

 2018年7月の西日本豪雨災害では、総社市を流れる高梁川で堤防の決壊や越
水が発生し、甚大な被害が生じました。

 この時も、他の被災地での支援活動の経験から、氾濫時の課題や対策のテーゼ
(方針)を持っていましたので、そのことが対応時に役立ちました。

 やはりどんな防災訓練を100回やるよりも、被災地で運営に携わり支援活動を
経験することが、いざという時に役立つことを改めて実感しました。

 今後の災害に備えて全国的な課題となるのが、「ペット避難所」の設置です。

 ペットも大事な家族の一員です。その人たちにとって一緒に避難できるかどう
かは極めて重要な問題なのです。

 実際に「どうにかならないのか」と必死に訴えてこられる市民の方もおられま
したので、私は「市長室を使用してもいいからペット同伴避難所を設置するよう
にと」指示だしました。

 結果として市役所の三階にペット避難所を設置したのです。

 このような経験から、ペット同伴の避難所の設置は、今後の災害に備えて全国
的に義務付けるべきだと考えます。

 ペット避難所はある意味、これまでの慣例やルールを破った対応であったわけ
ですが、「緊急時はルールを破る」ことも必要だと私は考えます。

 そうでないと人は救えません。

 災害が発生して平時に戻るまでは、たとえルールを破ってでも市民対応を守る
--それが私ども市役所の仕事なのです。

 

善意を受け取る”受援力”を鍛える

 私は被災地支援の経験から、災害を乗り切るためには「支援を受ける力=受援
力(じゅえんりょく)が極めて重要になると考えています。

 支援物資をすべて受け入れ、被災者に迅速に届ける力--これがまさに”受援力”
です。私はそのことを、災害支援の経験の中で反面教師として学びました。

 ある被災地に支援物資を届けた時のことです。積み下ろしの現場で「これは必
要ない」と言われたことがありました。実際に必要性が低いものであったとして
も、せっかく届けた物資にそのように言ってしまうのは、善意に対して大変失礼
だと感じました。

 積み卸し現場までわざわざ届けた人に対しては十分な配慮が必要です。そうで
なければ、助け合う関係も壊れてしまいます。

 私はこの時に、「支援物資を受け取る力」を高めることが重要だと実感したの
です。それで被災した時、古着であっても使い古した食器であっても、すべてを
受け入れるよう指示を出しました。

 使い古したものが届けられた場合、「こんなに人生のつまった大事なものを
受け取っていいのですか」と言って、深々と頭を下げながら丁寧に受け取って
欲しいと、職員に伝えていました。

 「災害支援は善意と善意の受け渡し」であってほしいと私は考えます。その
善意の受け渡しが、世の中をよりよくしていくのではないでしょうか。

 そのためにも、それぞれの自治体が受援力を鍛え、そして、助け合いの中に
現れる日本人のよさを受け継いでいくことが大切だと思います。

 

最後に・・・

 地域の防災力に期待する前に、やはり私どもとしては、市長をはじめ市役所
職員が一生懸命に汗をかいている姿を示してからでないと、市民に協力をお願
いすることはできません。

 ですから、まずは、私たちが一生懸命に勉強し、頑張ってまいります。その
上で有事の際には、ぜひ協力して市民力を発揮していただければ幸いです。

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