〈防災――身を守る行動〉 三重・紀宝町の取り組み
コミュニティ防災
(聖教新聞 3/27+4/10 2024年 から 要点箇条書き)
第1部 タイムラインの活用
1-町を挙げて防災・減災に取り組む三重県・紀宝町。
自主防災組織をはじめ、町民の防災意識は高く、コミュニティー(地域)防災が、現実に機能しています。それを可能にしたのが防災行動計画「タイムライン」の活用です。
2-タイムラインとは「いつ」「誰が」「何をするのか」を事前に定める防災行動計画。
a:台風など自然災害の警戒情報が発表された段階から、時系列に定めた防災行動を起こし、身を守ることにつなげていく。
b:予報から発災まで、比較的に時間がある風水害対策のツールとして活用されているが、突発的な災害である地震・津波対策にも活用を始めた自治体がある。
c:タイムラインは主に「流域」「自治体」「コミュニティー(自治会・町会など)」「世帯・個人」の4種類がある。
特長の一つは、防災に関わる専門機関や地域組織が策定に参加することで、組織の垣根を越えた連携・共有が生まれ、漏れと無駄のない防災行動が生み出されること。
各タイムラインが連動することで、有用性はさらに上がっていく。
3-紀宝町に大きな被害をもたらしたのが2011年の紀伊半島大水害(台風12号)だった。
県内では8月30日夜に降り始めた雨は9月1日から5日にかけて猛烈な雨となり、同町では熊野川などの河川が氾濫し、土砂崩れが発生。1人が犠牲になり、1人が行方不明に。町内の1004棟の家屋が被害を受け、床上浸水は約200世帯に上った。加えて断水などライフラインも一時停止。町内のほぼ全域で大きな被害に見舞われた。
同町の防災対策室の堀勝之室長は当時を振り返り、「役場に救助要請などの電話が鳴りやむことはなかった」と悔しさを込める。
この大水害を教訓に、西田健町長を中心に、町を挙げて、防災・減災対策に力を入れていくことになる。
4-日本で最初にタイムラインの策定に取りかかったのが紀宝町だった。
タイムライン防災の普及に尽力する松尾一郎さんを町の総合防災行政アドバイザーに迎え、14年に作成をスタート。
役場の担当者だけでなく、国土交通省(河川国道事務所など)や県の行政機関、町の教育機関や社会福祉協議会、医師会に警察署、自主防災組織と消防団、そして電力会社など防災に関わる各機関に参加を呼びかけた。
議論を重ね、それぞれの役割を明確にした。台風発生の際に作成中のタイムラインを試用し、課題を抽出。実効性の高いものに仕上げ、15年7月から町タイムラインの運用が始まった。
5-防災が実のあるものになるためには、地域ごとの対策や共助の仕組みが重要
同町では、町タイムラインの完成以降、行政の各機関と、自主防災組織、民生委員や消防団など地域組織の代表者が顔を合わせ、地区(コミュニティー)タイムラインの作成にも取り組んできた。
避難行動の課題の一つは要支援者への対応だ。特に1人暮らしの方などは民生委員など、地域コミュニティーの支援が必要となる。
6-地区タイムラインの作成では、誰が誰を支援するのかも話し合い、要支援者名簿の作成や推進、確認も行われた。
完成度は高まり、自分たちで作った防災行動として、町民に定着し、地域全体の結束力も高まった。
「タイムラインを通して、災害からの危機感と正しい防災行動を共有できる。 同じ情報を持つことでコミュニティー防災が機能していく」と松尾アドバイザーは強調する。
同町では現に、これまで四十数回にわたって、台風などに対してタイムラインを活用してきた。
17年10月の台風21号では大雨によって70軒以上の床上浸水が発生したが、役場には1軒の救助要請もなかったという。
20年10月の台風14号では、大規模な土砂災害が発生したが、人的被害は免れた。
堀室長は「自主的に早め、早めに避難行動を起こす。皆さんの意識は格段に上がった」と手応えを口にする。
そして今、最大11メートルの津波が予想される南海トラフ地震対策にも、タイムラインを活用しようと、議論が重ねられている。
第2部 南海トラフ地震対策
1-南海トラフ地震は、東海地震、東南海地震、南海地震などの震源域に分かれ、およそ100~150年の間隔で繰り返し発生してきた。
国は、近年の激甚化する地震・津波災害を踏まえ、科学的に想定される最大クラスの地震を予測。マグニチュード9・1で、震源域は東海・東南海・南海地震より広域となる「南海トラフ巨大地震」が起こる可能性があると警鐘を鳴らしている。
2-全国に先駆け、水害対策にタイムラインを導入した三重県・紀宝町では昨年から南海トラフ巨大地震対策にもタイムラインを取り入れようと動き出した。
それは、町民が防災を「わがこと」と捉える挑戦でもあった。
3-犠牲者ゼロへ
紀伊半島の南東部に位置し、熊野灘に面する紀宝町。南海トラフ巨大地震の震源域でもある。
三重県などによれば、町の広い範囲で震度6強、一部の地域で震度7の強い揺れが約3分間も続くと想定される。
そして、地震発生から間もなく最大11メートルの巨大津波が押し寄せてくると予測。
避難が後手に回れば、人口の1割近くにあたる900人もの犠牲者が出るといわれている。
中でも甚大な被害が想定されているのが鵜殿地区。
地震発生から約7分で大津波が襲来すると想定され、揺れが3分続けば、津波から逃げる時間はわずか4分だ。
町では犠牲者ゼロを目指し、同地区を対象にワークショップ(WS)を昨年2月から6回開催。
地域の役員や自主防災組織、民生委員や消防団員、警察署や消防署、国や県、町の行政機関のメンバーなどが参加し、議論を重ねてきた。随所に「わがこと」の防災対策になるよう、工夫が凝らされていた。
4-実際に一人一人が歩行速度を計測。4分で、どこまで自分は逃げられるのかというイメージを膨らませた。
さらに、避難経路や避難に要する時間も確認。その結果を踏まえ、皆で避難行動の在り方、要支援者の支援などを議論した。
その結果、新たな津波避難タワーを建設する場所が決まり、町も予算化。地区内の2カ所で建設がスタートする。
さらにWSでは避難路も点検した。ブロック塀が崩れたり、家屋が倒壊したりする可能性のある場所をピックアップ。
また夜の避難を想定し、街灯が必要な場所も明確にした。対応策を皆で話し合った結果、町の各種整備事業につながった。
例えば、町は夜間の停電時にも、津波避難を迅速に行えるよう、「蓄電式避難誘導灯」を主要避難路に設置する事業を進めている。
5-そして、WSの成果をまとめた「南海トラフ巨大地震・津波への備え 地震・津波ルールブック」(全28ページ)を昨年10月に完成させた。
ここには、見開き2ページにわたって「家族と私の命を守る――地震・津波タイムライン」(マイタイムライン)も盛り込まれた。揺れから身を守った後は「津波てんでんこ」。自分の命は自分で守るのが基本だ。
だからこそ、家族や個人の行動計画を定める「マイタイムライン」を活用している。
6-タイムラインの作成自体が、防災を「わがこと」として捉えるきっかけになることを如実に物語っている。
ルールブックは地区の全住民に配布され、最後のWSは2月に行われた。
ここでは参加者が実際にマイタイムラインを書き込んだ感想や、記載を全住民に広げるために必要なことが話し合われた。
タイムラインを実際に作成して「非常持ち出し品をしっかりと用意するようになった」「いつ地震が起きてもおかしくないとの危機感が増した」などの声が聞かれた。
そして、最も多かった感想は「地震や津波の対策を家族で話し合うきっかけになった」こと。
タイムラインの作成自体が、防災を「わがこと」として捉えるきっかけになることを如実に物語っている。
マイタイムラインの作成をどう全住民に広げていくのか。
地区の6地域別にその取り組みが宣言された。
「全世帯を対象にルールブックの勉強会を開きます」
「個別に訪問し、タイムラインの意義を訴えたり、記載のお手伝いをしたりします」
「防災訓練の場で、記入の時間を設けます」
「記載の仕方を動画にし、いつでも学べる環境をつくります」
防災が人ごとでなくなり、行動に主体性が生まれると、対策はどんどん進化する。南海トラフ巨大地震のタイムライン防災は始まったばかり。
町を挙げてさらに動いていく。
------------以下本文 3月27日 聖教新聞 ------------------------第1部
〈防災――身を守る行動〉 三重・紀宝町の取り組み コミュニティ防災2024年3月27日
町を挙げて防災・減災に取り組む三重県・紀宝町。自主防災組織をはじめ、町民の防災意識は高く、コミュニティー(地域)防災が、現実に機能しています。それを可能にしたのが防災行動計画「タイムライン」の活用でした。「防災――身を守る行動」では、2回に分けて同町の取り組みを紹介。今回は水害対策編です(次回は地震・津波対策編、4月10日付予定)。
- タイムラインとは●
「いつ」「誰が」「何を」を定める
――自主性を育む行動計画
タイムラインとは「いつ」「誰が」「何をするのか」を事前に定める防災行動計画。
台風など自然災害の警戒情報が発表された段階から、時系列に定めた防災行動を起こし、身を守ることにつなげていく。
予報から発災まで、比較的に時間がある風水害対策のツールとして活用されているが、突発的な災害である地震・津波対策にも活用を始めた自治体がある。
タイムラインは主に「流域」「自治体」「コミュニティー(自治会・町会など)」「世帯・個人」の4種類がある。
特長の一つは、防災に関わる専門機関や地域組織が策定に参加することで、組織の垣根を越えた連携・共有が生まれ、漏れと無駄のない防災行動が生み出されること。
各タイムラインが連動することで、有用性はさらに上がっていく。
日本でタイムライン防災が始まったきっかけは、アメリカ・ニュージャージー州にあった。2012年にアメリカなどを襲った「ハリケーン・サンディ」は、130人超の犠牲者が出るなどの大水害だった。
同州も高潮によって約4000世帯の住居が全半壊するなど壊滅的な被害に見舞われたが、住民は早めの避難行動を取り、人的被害はゼロ。そこにタイムラインの原型となる防災行動計画があった。
調査団の一人として渡米した松尾一郎さん(東京大学大学院客員教授)が日本に持ち込んで10年。激甚化する災害対策に各地でタイムラインが取り入れられている。
防災・減災につながった事例などから22年には、国や地方公共団体等がタイムライン作成に努めることが、国の災害対策の根幹をなす「防災基本計画」に盛り込まれた。
- 大水害の教訓を胸に●
海、川、山の風光明媚な景観が広がる三重県・紀宝町。2006年の町村合併を経て誕生した。
紀伊半島の南東部に位置し熊野灘に面する同町には、半島最大の1級河川「熊野川」が和歌山県との県境に流れ、川の一部は世界遺産にも登録される。温暖多雨な気候を利用したかんきつ類の産地としても有名だ。
自然の恵みを生かした町づくりを進める一方、自然の脅威も十分に認識し、災害対策に力を注ぐ。
紀伊半島は日本有数の多雨地帯でもある。熊野川流域では、これまで度々、大水害に見舞われてきた。1959年(昭和34年)の伊勢湾台風では、流域全域で浸水被害が発生し、多数の犠牲者が出た。82、90、94、97年の台風でも流域で床上浸水などの被害が発生した。
紀宝町に大きな被害をもたらしたのが2011年の紀伊半島大水害(台風12号)だった。県内では8月30日夜に降り始めた雨は9月1日から5日にかけて猛烈な雨となり、同町では熊野川などの河川が氾濫し、土砂崩れが発生。1人が犠牲になり、1人が行方不明に。町内の1004棟の家屋が被害を受け、床上浸水は約200世帯に上った。加えて断水などライフラインも一時停止。町内のほぼ全域で大きな被害に見舞われた。
同町の防災対策室の堀勝之室長は当時を振り返り、「役場に救助要請などの電話が鳴りやむことはなかった」と悔しさを込める。
この大水害を教訓に、西田健町長を中心に、町を挙げて、防災・減災対策に力を入れていくことになる。
- 町を挙げた挑戦●
日本で最初にタイムラインの策定に取りかかったのが紀宝町だった。タイムライン防災の普及に尽力する松尾一郎さんを町の総合防災行政アドバイザーに迎え、14年に作成をスタート。
役場の担当者だけでなく、国土交通省(河川国道事務所など)や県の行政機関、町の教育機関や社会福祉協議会、医師会に警察署、自主防災組織と消防団、そして電力会社など防災に関わる各機関に参加を呼びかけた。議論を重ね、それぞれの役割を明確にした。台風発生の際に作成中のタイムラインを試用し、課題を抽出。実効性の高いものに仕上げ、15年7月から町タイムラインの運用が始まった。
しかし、これで終わりではない。町タイムラインは、正確な気象情報に基づいて、的確な避難指示や避難受け入れの準備、各機関の調整を促すもの。実際に避難行動を起こすのは住民であり、災害の危険度や特性も地域ごとに違う。防災が実のあるものになるためには、地域ごとの対策や共助の仕組みが重要だ。
同町では、町タイムラインの完成以降、行政の各機関と、自主防災組織、民生委員や消防団など地域組織の代表者が顔を合わせ、地区(コミュニティー)タイムラインの作成にも取り組んできた。
避難行動の課題の一つは要支援者への対応だ。特に1人暮らしの方などは民生委員など、地域コミュニティーの支援が必要となる。
地区タイムラインの作成では、誰が誰を支援するのかも話し合い、要支援者名簿の作成や推進、確認も行われた。完成度は高まり、自分たちで作った防災行動として、町民に定着し、地域全体の結束力も高まった。
「タイムラインを通して、災害からの危機感と正しい防災行動を共有できる。同じ情報を持つことでコミュニティー防災が機能していく」と松尾アドバイザーは強調する。
同町では現に、これまで四十数回にわたって、台風などに対してタイムラインを活用してきた。17年10月の台風21号では大雨によって70軒以上の床上浸水が発生したが、役場には1軒の救助要請もなかったという。
20年10月の台風14号では、大規模な土砂災害が発生したが、人的被害は免れた。
堀室長は「自主的に早め、早めに避難行動を起こす。皆さんの意識は格段に上がった」と手応えを口にする。
そして今、最大11メートルの津波が予想される南海トラフ地震対策にも、タイムラインを活用しようと、議論が重ねられている。(次回詳報)
------------以下本文 4月10日 聖教新聞 ------------------------第2部
〈防災――身を守る行動〉 三重・紀宝町の取り組み 防災をわがことに!2024年4月10日
南海トラフ地震は、東海地震、東南海地震、南海地震などの震源域に分かれ、およそ100~150年の間隔で繰り返し発生してきた。
東南海・南海は約80年、東海は約170年にわたって大規模な地震が発生しておらず、いつ発生してもおかしくないといわれる。過去に三つの地震が連動し、大きな被害に見舞われたこともあった。
国は、近年の激甚化する地震・津波災害を踏まえ、科学的に想定される最大クラスの地震を予測。マグニチュード9・1で、震源域は東海・東南海・南海地震より広域となる「南海トラフ巨大地震」が起こる可能性があると警鐘を鳴らしている。
巨大地震の被害は広域にわたり、関東から九州にかけての沿岸部では10メートルを超える津波に襲われる可能性がある。被災地域が増えれば増えるほど、支援の手は行き届かない。
国の防災対策が重要なのは当然として、命を守るためには自助、共助が欠かせない。
一方、震災対策の基本の一つである「家具固定」を行っている人は約35%にとどまるとのデータがある(2022年9月、内閣府世論調査)。
これまで本連載に登場した防災の専門家は「『わがこと』として捉えられないと防災は進まない」と一様に口にしていた。この壁をいかに打ち破るのか。
タイムライン防災の第一人者である東京大学大学院の松尾一郎客員教授は「タイムラインの作成は何よりも過程が大事。家族や地域で何度も話し合いを重ねる中で、主体的な防災行動が生み出されていく」と力説する。
全国に先駆け、水害対策にタイムラインを導入した三重県・紀宝町では昨年から南海トラフ巨大地震対策にもタイムラインを取り入れようと動き出した。それは、町民が防災を「わがこと」と捉える挑戦でもあった。
- 犠牲者ゼロへ●
紀伊半島の南東部に位置し、熊野灘に面する紀宝町。南海トラフ巨大地震の震源域でもある。三重県などによれば、町の広い範囲で震度6強、一部の地域で震度7の強い揺れが約3分間も続くと想定される。
そして、地震発生から間もなく最大11メートルの巨大津波が押し寄せてくると予測。避難が後手に回れば、人口の1割近くにあたる900人もの犠牲者が出るといわれている。
中でも甚大な被害が想定されているのが鵜殿地区。地震発生から約7分で大津波が襲来すると想定され、揺れが3分続けば、津波から逃げる時間はわずか4分だ。
町では犠牲者ゼロを目指し、同地区を対象にワークショップ(WS)を昨年2月から6回開催。地域の役員や自主防災組織、民生委員や消防団員、警察署や消防署、国や県、町の行政機関のメンバーなどが参加し、議論を重ねてきた。随所に「わがこと」の防災対策になるよう、工夫が凝らされていた。
実際に一人一人が歩行速度を計測。4分で、どこまで自分は逃げられるのかというイメージを膨らませた。さらに、避難経路や避難に要する時間も確認。その結果を踏まえ、皆で避難行動の在り方、要支援者の支援などを議論した。
その結果、新たな津波避難タワーを建設する場所が決まり、町も予算化。地区内の2カ所で建設がスタートする。
さらにWSでは避難路も点検した。ブロック塀が崩れたり、家屋が倒壊したりする可能性のある場所をピックアップ。また夜の避難を想定し、街灯が必要な場所も明確にした。対応策を皆で話し合った結果、町の各種整備事業につながった。
例えば、町は夜間の停電時にも、津波避難を迅速に行えるよう、「蓄電式避難誘導灯」を主要避難路に設置する事業を進めている。 そして、WSの成果をまとめた「南海トラフ巨大地震・津波への備え 地震・津波ルールブック」(全28ページ)を昨年10月に完成させた。
ここには、見開き2ページにわたって「家族と私の命を守る――地震・津波タイムライン」(マイタイムライン)も盛り込まれた。揺れから身を守った後は「津波てんでんこ」。自分の命は自分で守るのが基本だ。
だからこそ、家族や個人の行動計画を定める「マイタイムライン」を活用している。
左ページ(下の画像)は家族・個人が書き込む。①地震発生直後②約3分後(揺れが落ち着く)③約10分後(高台に到着)などの時系列に分けて防災行動が記載できるようになっている。
もう一方のページには、その記入例、自主防災組織や民生委員等の行動が時系列で紹介されている。 ルールブックは地区の全住民に配布され、最後のWSは2月に行われた。ここでは参加者が実際にマイタイムラインを書き込んだ感想や、記載を全住民に広げるために必要なことが話し合われた。タイムラインを実際に作成して「非常持ち出し品をしっかりと用意するようになった」「いつ地震が起きてもおかしくないとの危機感が増した」などの声が聞かれた。
そして、最も多かった感想は「地震や津波の対策を家族で話し合うきっかけになった」こと。タイムラインの作成自体が、防災を「わがこと」として捉えるきっかけになることを如実に物語っている。
マイタイムラインの作成をどう全住民に広げていくのか。
地区の6地域別にその取り組みが宣言された。
「全世帯を対象にルールブックの勉強会を開きます」
「個別に訪問し、タイムラインの意義を訴えたり、記載のお手伝いをしたりします」
「防災訓練の場で、記入の時間を設けます」
「記載の仕方を動画にし、いつでも学べる環境をつくります」
防災が人ごとでなくなり、行動に主体性が生まれると、対策はどんどん進化する。南海トラフ巨大地震のタイムライン防災は始まったばかり。町を挙げてさらに動いていく。
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