「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

防災の第一目的は命を守ること。「あの人を助けなくては」との思いが行動の引き金となります。人の命を守るために最善の行動を!

栗田暢之さん、三者(行政とボランティアセンター、NPO等の民間支援セクター)が連携することが必要。地域の「受援力」を高めていくことが重要。

2020年05月20日 09時46分42秒 | 防災組織の見本事例
三者(行政とボランティアセンター、NPO等の民間支援セクター)が連携することが必要。
地域の「受援力」を高めていくことが重要。
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 代表理事 栗田暢之

復興と文化 :聖教新聞05月19日2020年  要点箇条書き抜粋

尾崎 洋二 コメント:栗田さんの歴史はまさに日本における災害ボランティアの歴史であることを痛感しました。今コロナ禍が騒がれる日本において、これからは更に、台風、地震、津波などコロナ禍との二重災害にも備える必要がでてきました。いままで通り、「災害→即ボランティア活動で参集」ということが行えなくなる可能性もあります。避難所の運営を「感染防止」からの視点からどうするのか?も課題となります。まさに行政とボランティアセンター、NPO等の民間支援セクターの緊密な連携必要となります。そして地域ごとのボランティア「受援力」を更に高めていくことが重要となってきます。

1-1995年が「ボランティア元年」
それまで社会福祉関係者によるものとみられがちだったボランティアが、阪神・淡路大震災を通し、多くの一般市民が参加する被災地の支援活動へと広がった。
その時、栗田さんは現地で2カ月間、支援活動を行いました。栗田さんにとって、印象的だったのは、弁当やパンに偏りがちな避難所で要望の多かった焼肉を実施するなど、常に被災者を主体に置く学生の姿です。このことが栗田さんの原点になっています。

2-半年後、震災の教訓を将来に生かすことを目的として、「震災から学ぶボランティアネットの会」が設立され、栗田さんはその事務局長に就任。同会の設立の背景には、時間とともに先細る支援を各団体が互いに補い合って継続させたいという栗田さんの思いもあった。

3-2000年9月に発生した東海豪雨では、同会を含めた県内の支援団体と県の間で結んだ協定に基づき、ボランティア本部が開設され、栗田さんは、その本部長として被災地支援に取り組みました。
4-02年3月 レスキューストックヤードを設立
5- 2004年を境に各自治体の社会福祉協議会が母体となって開設されるようになった。被災地に設置されるボランティアセンターは阪神・淡路大震災当時にはなかった。台風による災害が頻発したこの年、全国で七十余のボランティアセンターが開設されるなど、同センターを拠点に支援活動が行われる環境が整ってきた。

6-東日本大震災(11年3月)では、その状況が一変。多くの被災地では、まち全体が壊滅状態となり、ボランティアセンターさえ容易に開設できなくなっていた。
そうしたなか、災害救援NPOのみならず、さまざまなジャンルのNPOが連携して対応していく必要があることから誕生したのが「東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)」。被災地では、JCNに加盟した約900団体を含め、推計3000を超えるNPOが支援に取り組くんだ。
この時の「支援に漏れやムラが生じた」問題点
① 被災地では、海外支援を主に行うNGOも支援を行っていたが、NPOとの接点はあまりなかった。しかし、取り残された地域をなくすためにも、こうした民間セクターが互いに連携し情報を共有することが必要であった。
② さらに災害救援の柱である行政との連携も必要だった。行政による支援とNPOの活動に連携がないため、全体を俯瞰した対応とはならなかった。

こうした反省から、行政とボランティアセンター、NPO等の民間支援セクターという三者が連携することの重要性が明らかになった。それが「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」の設立へ結び付いていった。
7-2013年にネットワークの準備会を立ち上げ、2016年4月の熊本地震では、初の三者の参画による情報共有会議「火の国会議」を開催し、支援活動を進めた。その結果、三者が連携することで、支援の漏れやムラを極力なくしていこうという共通目標が共有された。この年の秋、JVOADはNPO法人の認証を得て正式に発足し、その後続く、九州北部豪雨や西日本豪雨、昨年の台風災害の被災地の多くで情報共有会議が開催されることになった。
8-2019年5月には内閣府とJVOADの間で、三者の連携・協働を約す「タイアップ宣言」も交わされ、発災時のみならず、平時も「全国情報共有会議」を開催し、諸課題を協議していくことが約し合われた。

「地域の受援力を高める」ことが今後の課題
ボランティア活動の裾野が広がるなか、支援を受け入れる環境やノウハウなど、地域の「受援力」を高めていくことも今後必要になってくる。
 その一つとして、各都道府県に三者連携の調整役を担う中間支援組織の構築は不可欠。昨年、東日本を直撃した台風19号では、14都県が災害救助法適用となる大きな被害となったが、そのなかで長野県は発災の翌日夜には情報共有会議を行い、結果として、延べ約7万人のボランティアや100以上のNPO等との連携体制を整えた。
長野県は、数年前から、県職員を「災害時の連携を考える全国フォーラム」に派遣し、県内のNPOセンターや生協などとのネットワーク構築に取り組んきた。実際に防災訓練においてもそれは試されていた。各都道府県でも、こうした三者の連携体制を事前に考え、受援体制をつくっておくことが大切。

さらなる課題と提案
① 災害が激甚化するなか、復興も長期化している。そのなか先細るボランティアをどう維持していくのか?
② 個人であれ、NPOであれ、支援活動には資金が必要です。こうした活動に要する資金をどう確保するか。
③ 地元が地元を支えるコミュニティー基金など、支援活動をサポートできる仕組みを地域社会に平時から根付かせることも考えてほしい。
④ 誰もがボランティアに参加しやすい環境を築くため、企業や教育機関等による大胆な働き掛けがあってよいのではないか?例えば、ボランティアに参加するために利用する交通機関の運賃値下げ、大学をあげてボランティアへの参加を奨励するなど、被災地支援に足を向ける環境をつくることも必要。

無数の手が挙がる社会へ!
同じく被災地の姿を目にしたボランティア参加者は延べ何千万人といる。その一人一人が、こうした事態を招くことのないよう、何でもいい、どこからでもいい、災害に備えていく。それがレスキューストックヤードの活動の基本。
 いずれにせよ災害は必ずやって来ます。その結果、家を失い、家族や友人を失うこともあります。それは人生の一大事でしょう。誰もが「助けて!」と声を上げて叫んでいいはずです。
 その時、「私はあなたを助けられます」と何人が手を挙げることができるのか。無数の多くの手が挙がる社会、それが栗田さんの目指すボランティア社会。

くりた・のぶゆき 1964年、岐阜県生まれ。95年の阪神・淡路大震災当時、大学職員として学生ボランティアの調整役として被災者支援に当たる。2002年、NPO法人レスキューストックヤードを設立。16年に全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)を設立、代表理事に。

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