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◆BookBookBook◆

📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

M

2018-01-10 | 村上春樹

 



村上春樹
『国境の南、太陽の西』★★



「新年明けましておめでとうございます。
昨年は、ものすごく、ものすごくお世話になりました!
本年もよろしくお願い致します。」

9日 仕事始め
この会社になってから長期休暇明けのばかみたいな件数の未読メールはなくなった。
今回は25件ぐらい。
最初のメールに笑ってしまった!


さてさて年始読書の春樹・・再読
正直チョイスを誤ったかな・・と。
今のわたしにはダーク過ぎる。

箱根に向かうくだりだけはこの本のイメージで覚えていた。


今年の抱負は「相方に合わせて協力する」
それと「大人の水泳教室」・・なんか響きがいやらしい(笑)
こう?「大人のスイミングスクール」
泳ごうと思う。
自己最高記録75M



---



リストのピアノ・コンチェルト
表に一番が入り、裏に二番が入っていた。



「あなたの言ってること、なんとなくわかるような気がする」と彼女は大人びた静かな声で言った。
「そう?」
「うん」

「世の中には取り返しのつくことと、つかないことがあると思うのよ。そして時間が経つというのは取り返しのつかないことよね。こっちまで来ちゃうと、もうあとには戻れないわよね。それはそう思うでしょう?」



目を閉じると、その暗闇のなかに渦が浮かぶのが見えた。幾つかの渦が生まれ、そして音もなく消えていった。ナット・キング・コールが『国境の南』を歌っているのが遠くの方から聞こえた。



失望と孤独と沈黙



僕は前よりももっと深く自分一人の世界に引きこもるようになった。僕は一人で食事をし、一人で散歩をし、一人でプールに行って泳ぎ、一人でコンサートや映画に行くことに慣れた。そしてそれをとくに寂しいとも辛いとも感じなかった。



「泳げるって楽しいでしょうね。昔からずっとそう思っていたわ。泳げるのって楽しいだろなって」



彼女は人さし指を上にあげて、唇にあてた。そしてそっと首を振った。その話はもうやめましょう、お願いだから二度とそのことは訊かないで、というように。



「なかなかうまくいかないものね」
「なかなかうまくいかない」と僕は言った。



子供の頃、僕は雨降りの日には、よく何もせずにじっと雨を見つめていた。何も考えずに雨を見つめていると、自分の体が少しずつほどけて、現実の世界から抜け落ちていくような気がしたものだった。おそらく雨降りの中には、人を催眠術にかけてしまうような特殊な力があるのだ。少なくともその頃の僕にはそう感じられた。

僕はその隣に腰を下ろして、目を閉じた。音楽の響きが少しずつ遠のいて、僕は一人になった。その柔らかな暗闇の中では、まだ雨が音もなく降り続いていた。



「それなりの努力を払っているからだよ」と僕は言った。「努力なしにものごとが達成されることはない」



「なんだっていつかは消えてしまう。」

「かたちがあるものは、みんないつか消えてしまう。でもある種の思いというものはいつもでもあとに残る」



「待っているよ」と僕は言った。「近いうちに会おう」

青山通りに車を走らせながら、もしこのまま二度と彼女に会えなかったら、きっと頭がおかしくなってしまうだろうなと僕は思った。彼女が車を下りてしまうと、世界が一瞬がらんどうになってしまったような気がしたのだ。



「ずいぶん経験的に聞こえますね」
「そのとおり。経験でしか人は学ぶことができなんだ」と彼は言った。



どんなものでも同じ環境がいつまでも続くと、エネルギーが徐々に低下してくる。
そろそろ何かしらの変化が求められていると僕は少し前からうすうす感じていた。
空中庭園というものは、決して人々に飽きられてはならないのだ。



---






























年明け早速の初詣・・
寒空の息凍る中一時間 そして高円寺~中野へ。




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M

2017-12-08 | 村上春樹

 



村上春樹
『ダンス・ダンス・ダンス㊦』★★★


「失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく 。
渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで―。
そこではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スターそして幾つかの殺人が―。」

文庫本の巻末を読んでもぴんとこなかった。
記憶ってそんなもの。
春樹好きって言っているわりにもそんなもの。



久々に読書会に参加する。
と言うか主催者側になろうとしている。どきどき。
春樹の読書会もマンモス化しちゃったから、小さくささやかにしたい。
来週初顔合わせ☆



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「人と人とが義務的に会うことなんて何もないんだ。会いたくなれば会えばいいんだ。」



---



僕は平面的パックマンとしてあてもなくただぱくぱくと点線を食べ続ける。事態は全然進展していないように感じられる。僕は何処にも近づいていないように思える。途中からどんどん伏線が増えてきてしまった。
僕は脇道をどんどん進んでいるような気がする。メイン・イベントにたどりつく前に付属演芸に関わって時間と労力を無駄に費やしているような気がする。いったいメイン・イベントは何処でやっているんだろう?そして本当にやっているんだろうか?



---



雨は相変わらず静かに均一に降り続いていた。夜の間に植物の芽を導き出す、優しく柔らかな雨。「非常に、完全に、死んでいる」と僕は自分に向かって言ってみた。



---



僕は頭の中でこれまでの事態の進行を順番に辿り、それに対して自分がとった行動をひとつひとつチェックしてみた。それほど悪くない、と僕は思った。たいして良くはないかもしれない。でも悪くない。もう一度同じ立場に立ったとしても、僕はやはり同じように行動するだろう。それがシステムというものだ。一応足は動いている。ステップを踏み続けている。



---



家の回りに何千人もの透明な沈黙男がいて、透明な無音掃除機でかたっぱしから音を吸い取っているような気がした。ちょっと音がするとみんなでそこに飛んでいって音を消してしまうのだ。
「静かなところですね」と僕は言った。



---



「人と人が友達になるというのはすごく難しいことだと思うわ」
「賛成」と僕は言った。「難しいに二票」



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たかがセックスなのだ。勃起して、挿入して、射精すればそれでおしまいなのだ。



---



「あなたにはあの子の気持ちがとてもよくわかるのね。どうしてかしら」
理解しようと努めているからだと言いたかったが、もちろん言わなかった。



---



「あなたすごく良い人だったわ」と彼女は言った。どうして過去形で話すんだ、
と僕は思った。
「あなたみたいな人に会ったのは初めて」
「僕も君みたいな女の子に会ったのは初めてだ」





---



外は良い天気だった。夏がもうそこまで来ていた。雨さえ降らなければとても感じの良い季節だ。

かっこう、と僕は思った。
夏だ。



---



「私のせいね?」
僕はゆっくり頭を振った。「君のせいじゃない。誰のせいでもない。人が死ぬにはそれなりの理由がある。単純そうに見えても単純じゃない。根っこと同じだよ。上に出てる部分はちょっとでも、ひっぱっているとずるずる出てくる。人間の意識というものは深い闇の中で生きているんだ。入り組んでいて、複合的で・・・・・・解析できない部分が多すぎる。本当の理由は本人にしかわからない。本人だってわかってないかもしれない」
彼はその出口の扉のノブにずっと手をかけていたんだよ、と僕は思った。きっかけを待っていたんだよ。誰のせいでもない。



---



「言ったでしょう、そんなに簡単に人は消えないのよ」そうだろうか、と僕は彼女を抱きしめながら思った。いや、どんなことだって起こり得るんだ、と僕は思った。この世界は脆く、そして危ういのだ。この世界ではあらゆることが簡単に起こり得るのだ。



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M

2017-11-24 | 村上春樹

 



村上春樹
『ダンス・ダンス・ダンス㊤』★★★


多少無理がきく身体
我ながらタフだと思っていた。いる。
規則正しい生活を送っている。
(たまにジャンクなカップラーメンが美味しく感じるけど・・)
何が言いたいかと・・目前にあって不安で過去を反芻してしまった。
だからちょうど春樹が沁みて落ち着く。



---



「そういのって慢性化するってことなんだ。日常に飲み込まれて、どれが傷なのかわからなくなっちゃうんだ。でもそれはそこにある。傷というのはそういうものなんだ。これといって取り出して見せることのできるものじゃないし、見せることのできるものは、そんな大した傷じゃない」
「あなたの言いたいことはすごくよくわかる」
「そう?」
「そうは見えないかもしれないけれど、私だっていろんなことで傷ついたのよ、ずいぶん」



---



長く長く引き延ばされた夕暮れのような一日だった。めりはりというものがない。
窓の外の灰色に少しずつ黒が混じっていって、やがて夜になった。陰鬱さの質が少し変わっただけだった。
世界には二色しか色が存在しなかった。灰色と黒。それが一定期間をおいて行ったり来たりしているだけなのだ。



---



「僕の人生は僕のものだし、君の人生は君のものだ。何を求めるのかさえはっきりしていれば、君は君の好きなように生きればいいんだ。人が何と言おうと知ったことじゃない。そんな奴らは大鰐に食われて死ねばいいんだ。」



---























































--------



人間関係がこじれているとき、大抵はこの2つの痛みのバランスが悪いときです。

どちらかの痛みを避けすぎている、
どちらかの痛みを受け入れすぎている、

2つの痛みのバランスがくずれると、人間関係はどんどんこじれていきます。

もし、あなたが「こじれた人間関係をなんとかしたい!」と思っているとしたら、
自分はどっちの痛みを避けすぎているか、どっちの痛みを受け入れすぎているか、
しっかり振り返ってみてください。

そして、
避けすぎているものがあれば、勇気を出して、少しずつ受け入れてみてください。
受け入れすぎているものがあれば、勇気を出して、「ノー」と言ってみてください。

今までやっていなかった行動ですから、たぶん最初はツラいし、やりづらいし、やめたくなると思います。
なので無理強いはしません。

何度も言いますが、ほんっとに痛いですから。

でももし、こじれてしまったのが、あなたにとって大切な人なら、
その痛みを乗り越えてでも「いい関係になりたい!」と思える相手なら、
痛みを受け入れる勇気を持って欲しいと、私は思っています。



--------


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M

2017-11-18 | 村上春樹



村上春樹
『村上春樹全作品 1979~1989 ② 羊をめぐる冒険』★★★★


文庫本orハードカバーが見当たらなかったため
渋い作品集

冒頭に本人の「自作を語る」新しい出発が収録されているからよしとしよう!
こういう小噺は新鮮でもある。うん。

装幀が和田誠
それにしても渋い
紙質が好き。





---



水曜の午後のピクニック


「もちろん誰とでもいいってわけじゃないのよ。嫌だなって思う時もあるわ。でもね、結局のところ私はいろんな人を知りたいのかもしれない。あるいは私にとっての世界の成り立ちのようなものをね」
「一緒に寝ることで?」
「うん」

「それで……少しはわかったのかい?」
「少しはね」



世界中が動きつづけ、僕だけが同じ場所に留まっているような気がした。



「本当にしゃべりたいことは、うまくしゃべれないものなのね。そう思わない?」



---




「何も説明しなくたっていいのよ」と彼女は言った。「もう私には関係のないことだから」
「説明しているんじゃないよ。しゃべってるだけさ」




---




「とても簡単なことなのよ」と彼女は言った。「あなたが私を求めたから。それがいちばん大きな理由ね」
「もし他の誰かが君を求めたとしたら?」
「でも少なくとも今はあなたが私を求めてるわ。それにあなたは、あなたが自分で考えているよりずっと素敵よ」




---




彼は濃いブルーの新しいシャツに黒いネクタイをしめ、髪にはきちんとくしが入っていた。オーデコロンとローションの匂いは揃いだった。僕はスヌーピーがサーフボード を抱えた図柄のTシャツに、まっ白になるまで洗った古いリーヴァイスと泥だらけのテニス・シューズをはいていた。誰が見ても彼の方がまともだった。




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一人の人間が習慣的に大量の酒を飲むようになるには様々な理由がある。理由は様々だが、結果は大抵同じだ。




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「君は昔はもっとナイーブだったぜ」
「そうかもしれない」と言って僕は灰皿の中で煙草をもみ消した。「きっとどこかにナイーブな町があって、そこではナイーブな肉屋がナイーブな
ロースハムを切ってるんだ。昼間からウィスキーを飲むのがナイーブだと思うんなら好きなだけ飲めばいいさ」




---




自分にもうまく説明 できないことを、他人に向かって説明することなんてできるわけはないんだ。




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時間というのはどうしようのなくつながっているものなんだね。我々は自分のサイズにあわせて習慣的に時間を切り取ってしまうから、つい錯覚してしまいそうになるけれど、時間というのはたしかにつながっているんだ。




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荷物を持たずに長距離列車に乗るのは素敵な気分だった。まるでぼんやり散歩しているうちに時空の歪みにまきこまれてしまった電撃機みたいな気分だ。そこにはまるで何もない。




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「あんたは先に先にと考えすぎるんだ」




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性格は少し変 るが凡庸さというものは永遠に変りはない、とあるロシアの作家が書いていた。ロシア人は時々とても気の利いたことを言う。冬のあいだに考えるのかもしれない。




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僕は二本目の煙草に火を点け、二杯めのウィスキーを注文した。二杯めのウィスキーというのは僕はいちばん好きだ。一杯めのウィスキーでほっとした気分になり、二杯めのウィスキーで頭がまともになる。三杯めから先は味なんてない。ただ胃の中に流し込んでいるというだけのことだ。




---




なんとなく、家に帰る前にまともな人間が二本足でまともに歩いてるまともな世界を見ておいた方が良いような気がした。
「新宿の西口に」と僕はいった。



---




「しかし明けない夜がないように、終わらない交通渋滞もありません」




---




本当に静かだ、と僕は思う。あたりにはもう物音ひとつしない。我々以外の全ての人々は秋の最初の日曜日を祝うためにどこかにでかけてしまったのだ。




---


         *
「やれやれ」と僕は言った。
         *


---
  


「でも暇つぶしの友だちが本当の友だちだって誰か言ってな」
「君が言ったんだろう?」
「あいかわらず勘がいいね。そのとおりだよ」



---



「うまくいくといいね」と僕は言った。
「うまくいくといいね」と相手は言った。



---




























独りで海に向かったと聞いて怒りがわいてきた・・
身体が熱く「わたしがいてもいなくても」



再度弟くんを伝ってお礼・・うんよいコ。


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M

2017-10-30 | 村上春樹



村上春樹
『1973年のピンボール』★★★


するすると二作目
なぜかあたまに入ってこなくて(早速失速?)
何度も同じところを読み直しぐるぐる。


今朝の光のまぶしさににっこり。
ただ富士山の雪が・・ない・・
台風のせいで溶けてしまったみたい。



---



僕たちはゴルフ場の金網を乗り越えて林を抜け、バス停のベンチに座ってバスを待った。日曜日の朝の停留所は素晴らしく静かで、おだやかな日差しに満ちていた。僕たちはその光の中でしりとりのつづきをした。五分ばかりでバスが来ると僕は二人にバスの料金を与えた。
「またどこかで会おう」と僕は言った。
「またどこかで」と一人が言った。
「またどこかでね」ともう一人が言った。
それはまるでこだまのように僕の心でしばらくのあいだ響いていた。
バスのドアがバタンと閉まり、双子が窓から手を振った。何もかもが繰り返される……。僕は一人同じ道を戻り、秋の光が溢れる部屋の中で双子の残していった「ラバー・ソウル」を聴き、コーヒーをいれた。そして一日、窓の外を通り過ぎていく十一月の日曜日を眺めた。何もかもがすきとおってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日だった。



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M

2017-10-26 | 村上春樹

 



村上春樹
『風の歌を聴け』★★★


司馬遼太郎におなかいっぱい。
ってことで春樹?(笑)

かれこれ読書備忘録+日記+α 5年め
ここに記されていないってことは京都と一緒
初心に戻るじゃないけど、順番通り読むのが好きで結局デビュウ作
まんねり マンネリ だは 打破

ひねくれたユーモアが心地よい。








そうそう本屋大賞 続々

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2006年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
著/リリー・フランキー
(扶桑社)279点

2位
『サウスバウンド』
著/奥田 英朗
(角川書店)196.5点

3位
『死神の精度』
著/伊坂 幸太郎
(文藝春秋)190点

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リリー、伊坂読了済
そう奥田さんの本が見当たらなくてそのまま(いいわけ)


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2007年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『一瞬の風になれ』
著/佐藤 多佳子
(講談社)475.5点

2位
『夜は短し歩けよ乙女』
著/森見 登美彦
(角川書店)455点

3位
『風が強く吹いている』
著/三浦 しをん
(新潮社)247点

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読んでない・・初耳作家さん


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2008年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『ゴールデンスランバー』
著/伊坂幸太郎
(新潮社)509.5点

2位
『サクリファイス』
著/近藤史恵
(新潮社)312点

3位
『有頂天家族』
著/森見登美彦
(幻冬舎)280.5点

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伊坂読了済
しかしこの森見登美彦2年連続 ちょっと気になる。


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2009年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『告白』
著/湊かなえ
(双葉社)411点

2位
『のぼうの城』
著/和田竜
(小学館)328点

3位
『ジョーカー・ゲーム』
著/柳広司
(角川書店)243.5点

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あ 端折って『告白』読んだんだ(と思い出す・・)
和田さんは読了済


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2010年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『天地明察』
著/冲方丁
(角川書店)384.5点

2位
『神様のカルテ』
著/夏川草介
(小学館)294点

3位
『横道世之介』
著/吉田修一
(毎日新聞社)270点

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この備忘録最初が『横道世之介』


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2011年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『謎解きはディナーのあとで』
著/東川篤哉
(小学館)386.5点

2位
『ふがいない僕は空を見た』
著/窪美澄
(新潮社)354.5点

3位『ペンギン・ハイウェイ』
著/森見登美彦
(角川書店)310点

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また森見登美彦!!!気になる・・


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2012年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『舟を編む』
著/三浦しをん
(光文社)510.0点

2位
『ジェノサイド』
著/高野和明
(角川書店)355.5点

3位
『ピエタ』
著/大島真寿美]
(ポプラ社)324.0点


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途中挫折した『舟を編む』


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2013年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『海賊とよばれた男』
著/百田尚樹
(講談社)278.0点

2位
『64』
著/横山秀夫
(文藝春秋)266.0点

3位
『楽園のカンヴァス』
著/原田マハ
(新潮社)18.5点

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横山秀夫読みたい。


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2014年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『村上海賊の娘』
著/和田竜
(新潮社)366.5点

2位
『昨夜のカレー、明日のパン』
著/木皿泉
(河出書房新社)332.0点

3位
『島はぼくらと』
著/辻村深月
(講談社)299.0点

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木皿泉読了


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2015年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『鹿の王』
著/上橋菜穂子
(KADOKAWA 角川書店)383点

2位
『サラバ!』
著/西加奈子
(小学館)310.0点

3位
『ハケンアニメ!』
著/辻村深月
(マガジンハウス)309.5点


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辻村深月も連続


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2016年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『羊と鋼の森』
著/宮下奈都
(文藝春秋)372点

2位
『君の膵臓をたべたい』
著/住野よる
(双葉社)327.5点

3位
『世界の果てのこどもたち』
著/中脇初枝
(講談社)274点

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膵臓は気になっているけど・・


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そして今年度(やっと・・)
2017年本屋大賞の受賞作発表

大賞
『蜜蜂と遠雷』
著/恩田陸
(幻冬舎)378.5点

2位
『みかづき』
著/森絵都
(集英社)331点

3位
『罪の声』
著/塩田武士
(講談社)305点


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以上 今後の迷走中の参考に・・




























今朝富士山がくっきり見えた。
既に真っ白「高川山に登ろう」メール
土曜は早朝雨じゃなければ飯能へ。

音信不通こっち5日目 あっち3日目





アイスランドからお便り届く^^


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M

2017-10-02 | 村上春樹




村上春樹
『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』★★


夏休み読書途中挫折・・
そして今回実家に持参して最初から読み直し。
誰にも邪魔されることなく読みたいがため。

しかし・・最後の最後に失速・・
勢いがあったのに最後の方になり畳み掛けるかのような文語体
このまま第3部があってもおかしくない感じだけど、どうなのかな?

ハードボイルドワンダーランド
お正月読書はまずそれに決まり☆

あと今読みたいと思っているのは最近色々と目にする漱石
『吾輩は猫である』☆にゃんにゃん



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どうあがいても、人はもって生まれたものに大きく左右される。でもそんなことを言い出したら、話の収拾がつかなくなる。



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「目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい」

「ずいぶんと不思議な意見ね」
「なんだか謎かけみたい」

少しあとに彼女が顔を上げたときその目からはもう特別な光が消えていた。それは一瞬のことだったのだ。



---



「メロディーは思い出せない。でも歌詞は覚えている。川の向こう側には広い緑の野原が広がっていて、そちらにはそっくりきれいに日が照っていて、でもこちら側にはずっと長く雨が降っていて・・・・・・というような歌だった。ねえ、先生はそんな歌って耳にしたことがある?」
「聴いたことはないと思うな」
「これまでいろんな人に尋ねてみたんだけど、誰もそんな歌は聴いたことがない。
それはわたしが頭の中でかってにつくった歌なのかしら?」
「それともお母さんがその場でこしらえた歌なのかもしれないよ。君のために」
「そんなふうに考えたことはなかったけど、でももしそうだとしたら、それってなんだか素敵よね」
彼女が微笑みを浮かべるのを目にしたのは、たぶんそのときが初めてだった。まるで厚い雲が割れて、一筋の陽光がそこからこぼれ、土地の選ばれた特別な区画を鮮やかに照らし出すような、そんな微笑みだった。

「その場所にもう一度行ったら、ここだって君は思い出せるかな?その山の上の
展望台みたいなところに行ったら?



---



「時間が奪っていくものもあれば、時間が与えてくれるものもある。時間を味方につけることが大事な仕事になる」
彼女は何も言わず、ただ私の目を見ていた。窓ガラスに顔をつけて、家の中をのぞき込むみたいに。時間の意味について考えているのだ。



---



ジャガーとプリウスとでは、ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘を受けた。音ひとつとっても世界には実に多くの差異がある。



--------挫折







--------再読



33 目に見えないものと同じくらい、目に見えるものが好きだ


「練習だよ。練習しているうちにだんだんうまくなっていく」
「でもどれだけ練習してもうまくならない人もたくさんいると思う」

どうあがいても、人はもって生まれたものに大きく左右される。でもそんなことを言い出したら、話の収拾がつかなくなる。



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「実を言うと、私のはジンクスみたいなのがあるんです」、彼女はにっこり笑って栞をはさみ、本を閉じた。「読んでいる本の題名を誰かに教えると、なぜかその本を最後まで読み切ることができないんです。だいたいいつも思いもかけない
何かが起こって、途中で読めなくなってしまう。不思議だけど、本当にそうなんです。だから読んでいる本の題名は誰にも教えないことに決めてます。読み終えたら、そのときは喜んで教えて差し上げますけど」
「もちろん読み終えてからでけっこうです。とても熱心に読んでらっしゃるので、何の本だろうと興味を惹かれただけです」



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ジャガーとプリウスとでは、ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘を受けた。音ひとつとっても世界には実に多くの差異がある。



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目が覚めると、窓の外には雨が降っていた。来るべき冬の到来を予告するような冷ややかな雨だった。静かで、そして執拗な雨だ。



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「ねえ、これをゲームだとして考えてみて。純粋なゲームではないにせよ、ある種のゲームみたいなものだと。そう考えないことにはうまく話の筋が通らないから」
「考えてみる」
「で、ゲームにはルールが必要よね?」
「必要だと思う」
「野球にもサッカーにも、分厚いルールブックがあって、いろんな細かい規則がそこにいちいち文章化されていて、審判や選手たちはそれを覚え込まなくちゃならない。そうしないことには試合は成立しない。そうよね?」
「そのとおりだ」



---



「ぼくのいったい何がうらやましいのでしょう?」
「あなたはきっと、誰かのことをうらやましいと思ったりしないのでしょうね?」

少し間を置いて考えてから私は言った。「たしかにこれまで、誰かのことをうらやましいと思ったことはないかもしれない」
「私が言いたいのはそういうことです」



---



「おまえはきっと知らないだろうが、ゴルフっていうのはとことん奇妙なゲームなんだ。あんなに変てこなスポーツってまずないね。他のどんなスポーツにもぜんぜん似てない。というかスポーツと呼ぶことさえ、かなり無理があるんじゃないかとおれは考えてる。しかし不思議なことに、いったんその奇妙さに馴れちまうと、もう帰り道が見えなくなる」



---



記憶は時間を温めることができる。



---



「試練はいつか必ず訪れます」
「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」
「負けて、心が挫けてしまわなければ」



---



「私には考えることがたくさんあります。読むべき本があり、聴くべき音楽があります。多くのデータを集め、それを分析し解析し、頭を働かせることが日々の習慣になっています。エクササイズもしますし、気分転換のためにピアノの練習もしています。もちろん家事もしなくてはならない。退屈している暇はありません」

「歳をとっていくのは怖くありませんか?一人ぼっちで歳をとっていくことが?」

「私は目にみたものしか信用しない人間です。ですから自分がこれから何を目にすることになるのか、それを待っています。とくに怖くはありません。それほどの期待もありませんが、いささかの興味はあります」

「あなたはいかがですか?歳をとるのは怖いですか?」



---



谷間の上の空は晴れ渡り、空気は冷ややかに澄み切っていた。冬を目前にした鳥たちの声が、鋭くその空気を刺し貫いた。



---



紙袋からシーヴァス・リーガルの瓶を取り出し、封を切って蓋を開けた。私はグラスを二つ持ってきて、冷蔵庫から氷を出した。瓶からグラスにウイスキーを注ぐときに、とても気持ちの良い音がした。親しい人が心を開くときのような音だ。
そして我々はウイスキーを飲みながら食事の支度をした。



---



「明日は明日だ。今日は今日しかない」
その言葉には不思議な説得力があった。



---



どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いてる。



---



血は流されなくてはならない。



---



外に広がる太平洋を眺めた。水平線がせり上がるように空に迫っていた。私はそのまっすぐな線を端から端まで目で辿った。それほど長く美しい直線は、どんな定規を使っても人間には引けない。そしてその線の下の空間には、無数の生命が躍動しているはずだ。この世界には無数の生命と、それと同じ数だけの死が満ちているのだ。


「そう、諸君らはここにふたりいりではあらない」



---



永遠というのはとても長い時間だ、と顔のない男は言った。



---



私の心はいったいどこにあるのだ?
「心は記憶の中にあって、イメージを滋養にして生きているのよ」
「記憶の中を探して」
「何か具体的なものを探して。手で触れられるものを」


「明かりを消して、風の音に耳を澄ませて」
私は懐中電灯のスイッチを切り、言われたように風の音に耳を澄ませた。でも何も聞こえなかった。辛うじて聞こえるのは、自分の心臓の鼓動だけだった。私の心臓は強風にあおられる網戸のように慌ただしい音を立てていた。
「風の音に耳を澄ませて」

私は息を殺し、神経を集中してもう一度耳を澄ませた。そして今度は心臓の鼓動の音に被さるように、懐かしい空気のうなりを聴き取ることができた。そのうなりは高くなったり低くなったりした。どこか遠くで風が吹いているらしかった。



---



まったく正しいこととか、まったく正しくないことなんて、果たしてこの世界に存在するものだろうか?我々の生きているこの世界では、雨は三十パーセント降ったり、七十パーセント降ったりする。たぶん真実だって同じようなものだろう。

その点カラスは楽でいい。カラスたちにとっては雨は降っているか降っていない
か、そのどちらかだ。パーセンテージなんてものが彼らの頭をよぎることはない。

---



どんなに恐ろしくても、恐怖に自分を支配させてはならない。無感覚になってはならない。考えを失ってはならない。だから彼女は目を見開き耳を澄ませる。

私はここにいない。私はここにいない。



---


我々はそれぞれに明かすことのできない秘密を抱えて生きているのだ。



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傾向と対策・・的な










駆け込み柏屋で「ままどおる売り切れですか?」って聞いたら
「三万石です。サービスエリアに売ってますよ」・・・素でまちがえた。
親切ねってことで薄皮饅頭にしたけど、ままどおるってお土産で渡すとかならず喜ばれる。


最近ヒットな栗きんとん
http://midoriyarouho.com/
花かごのたまごボーロ食べたい。


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M

2017-08-25 | 村上春樹




村上春樹
『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』★★★


夏休み読書としてryoさんから借りた。
どっしりハードカバー
相変わらず一辺倒ってところを感じたけど安心して読める。
古株だね。

「あらないよ」がよい味出してる。

今週末は後半戦を読んで静かに過ごそう。
そう詐欺確定・・ってことで落ち込んでる凹
知らない人に騙されるのと、
知っている人に騙されるのはどうなんだろう?
見知らぬ他人と見知った知人
顔が見える人と顔が見えない人

何かあるのかな・・
意味を見出そうとしたけど、それは意味がないと分かっている。
どうにか折り合いをつけて教訓として刻むしかない。

上手く消化出来ますよう・・

どうしようかな?
同じ商品を買うか買うまいか・・あ~ぁ

駅前交番の室内
小さな蚊がぶんぶん飛び回ってた「よくゴルフやるんですか?」
座って間もなく定期入れを落としたと学生さんが紛失届
お次は道案内
その次も道案内かと思いきや「この近くの耳鼻科教えて下さい」と老夫婦
ネット検索でそのまま予約!と言ってもこれが現実
最終的に「警察署に行って下さい」だって・・交番じゃ判断つかず・・



遅い帰りでもいつもやってるご近所の歯医者さん
夜9時予約はさすがに初★



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「もしこのまま別れても、友だちのままでいてくれる?」



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おれはどうかしている、と私は鏡の中の自分自身を見つめながら思った。小さく声にも出してみた。頭がいくらかおかしくなってしまっているみたいだ。このまま誰にも近づかない方がいい。少なくともしばらくのあいだは。



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私の視野にはきっと何か生まれつきの盲点のようなものがあるに違いない。私はいつだって何かを見逃しているみたいだ。そしてその何かは常にもっとも大事なことなのだ。



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私はそのままプジョーを運転して東北地方を横断し、東京まで戻るつもりだったが、国道六号線のいわき市の手前でついに車の寿命が尽きた。

「悪いことは言わない。このまま安楽死させた方がいい」








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部屋の中はとてもしんとしていた。沈黙が空気の中に、微かな重みを与えていた。まるで一人きりで海の底に座っているみたいだ。



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「あなたはものごとを納得するのに、普通の人より時間がかかるタイプのようです。でも長い目で見れば、たぶん時間はあなたの側についてくれます」



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四十歳という年齢は人にとってひとつの分水嶺なのだ。そこを越えたら、人はもう前と同じではいられない。



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あとになって振り返ってみると、我々の人生はずいぶん不可思議なものに思える。それは信じがたいほど突飛な偶然と、予測不能な屈折した展開に満ちている。しかしそれらが実際に持ち上がっている時点では、多くの場合いくら注意深くあたりを見回しても、そこには不思議な要素なんて何ひとつ見当たらないかもしれない。



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読書家が本の中の気に入った文章を、ノート一字一句違わず丁寧に書き写すように。



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コレわたし! (笑)



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目の前にそういう流れがあるのなら、いったん流されてみればいい。



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顔はある意味では手相に似ている。もって生まれたものというよりむしろ、歳月の流れの中で、またそれぞれの環境の中で徐々に形作られてきたものであり、同一のものはひとつとしてない。



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「あなたもご存知のように、ものの価格というのはあくまで相対的なものです。需要と供給のバランスによって価格が自然に決定されます。それが市場原理です。もし私が何かを買いたいと言って、あなたがそれを売りたくないと言えば、価格は上がります。その逆であれば、当然ながら下がります」



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「人は時として大きく化けるものです」

「私は思うのですが、大胆な転換が必要とされる時期が、おそらく誰の人生にもあります。そういうポイントがやってきたら、素速くその尻尾を掴まなくてはなりません。しっかりと堅く握って、二度と離してはならない。」



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「ちなみに私は左利きです」

「何かの役に立つかどうかわかりませんが、それも私という人間に関する情報のひとつになるかもしれない。右か左かどちらかに行けと言われたら、いつも左をとるようにしています。それが習慣になっています」


テラスに出ると風はなく、そこにある空気はゼリーのように濃密で冷ややかに感じられた。雨の予感がした。



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僕らは高く繁った緑の草をかき分けて、言葉もなく彼女に会いに行くべきなのだ。私は脈絡もなくそう思った。もし本当にそうできたら、どんなに素敵だろう。



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「比較的良い一日だった」、私は自分に向かってそう言った。



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「目に見えることだけが現実だとは限らない。そうじゃありませんか?」



朝の早い時間に、まだ何も描かれていない真っ白なキャンバスをただじっと眺めるのが昔らか好きだった。私はそれを個人的に「キャンバス禅」と名付けていた。まだ何も描かれていないけれど、そこにあるのは決して空白ではない。その真っ白な画面には、来たるべきものがひっそり姿を隠している。目を凝らすといくつもの可能性がそこにあり、それらがやがてひとつの有効な手がかりへと集約されていく。そのような瞬間が好きだった。存在と非存在が混じり合っていく瞬間だ。



「あたしは夢なんかじゃあらないよ、もちろん」と騎士団長はやはり私の心を読み取ったように言った。「というか、あたしはむしろ覚醒に近い存在だ」



ポニーテイルの青年が、私たちのグラスに赤ワインを注いでくれた。一時間ほど前にボトルを開け、デキャンターに移しておいたのだと免色は言った。
「空気がうまく入って、ちょうど飲み頃になっているはずです」
空気のことはよくわからないが、ずいぶん味わいの深いワインだった。最初に舌に触れたときと、口の中にしっかり含んだときと、それを飲み下したときの味がすべてそれぞれに違う。まるで角度や光線によって美しさの傾向が違って見えるミステリアスな女性のように。そして後味が心地よく残る。
「ボルドーです」と免色は言った。「能書きは省きます。ただのボルドーです」
「しかしいったん能書きを並べ始めると、ずいぶん長くなりそうなワインですね」
免色は笑みを浮かべた。目の脇に心地よく皺が寄った。「おっしゃるとおりです。能書きを並べ始めると、ずいぶん長くなりそうだ。でもワインの能書きを並べるのが、私はあまり好きじゃありません。何によらず効能書きみたいなものが苦手です。ただのおいしいワイン――それでいいじゃないですか」
もちろん私に異存はなかった。



「そうです。私は揺らぎのない真実よりはむしろ、揺らぎの余地のある可能性を選択します。その揺らぎに我が身を委ねることを選びます。あなたはそれを不自然なことだと思いますか?」



「そう、そういうことだ。ファーストオファーはまず断るというのがビジネスの基本的鉄則だ。覚えておいて損はあらない」と言って騎士団長はまたくすくす笑った。



「わたしもわたしのことを理解できればと思う」とまりえは言った。
「ぼくもそう思う」と私は同意した。「ぼくもぼくのことが理解できればと思う。でもそれは簡単なことじゃない。」



「私はね、昔からハンサムな人にとても弱いの。顔立ちもきれいな男の人を前にすると、理性みたいなものがうまく働かなくなってしまう。問題があるとわかっていても抵抗がきかない。どうしても治らないの。それが私のいちばんの弱点かもしれない」
「宿痾」と私は言った。
彼女は肯いた。「そうね、そういうことかもしれない。治しようもないろくでもない疾患。宿痾」


宿痾、と私は思った。治療の見込みのないろくでもない病。理屈の通用しない体質的傾向。








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『納屋を焼く』

2017-06-15 | 村上春樹



ちょうど一年ぶり。
それも掘り出し物の初版本!
だからやめられない。
この気持ちを分かってくれる人は いない。
よいのよよいのよ。



村上春樹
『納屋を焼く』

昭和六十二年九月十五日 印刷
昭和六十二年九月二十五日 発行



今回印象に残ったのは・・・どこだろう?
さすがにこれだけ固執しているとするすると読んでしまう。
約20分の物語


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僕がいちおうホストとしてそれぞれのグラスにワインを注いだ。それから、乾杯した。ちょっと癖のあるワインだったけれど、飲んでいるうちにその癖が体になじんだ。

ワインがからになってしまうと、あとは冷蔵庫から缶ビールを出して飲んだ。うちの冷蔵庫には缶ビールだけはいつもぎっしりつまっている。

結局一時間足らずのあいだにビールの空き缶が二十四個机の上に並んだ。ちょっとしたものだ。

僕は台所から缶ビールを六本、カマンベール・チーズといっしょに持ってきた。我々はビールを三本ずつ飲んで、チーズを食べた。


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毎度思うのはこれだけビールって飲める?ってこと。

現在禁酒しているから余計にそう思うのかな。
明日は飲もう♪





































「わたしに5分10分時間もらえます?」


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M

2017-04-19 | 村上春樹




村上春樹
『ラオスにいったい何があるというんですか?』★★★


紀行文集

挫折再読
記憶はアイスランド
行ってみたい行こうよって過去の話
でも一度決めた国っていつまでも気になるもの。


細かいんだけど、言葉の並びがちがうと気になる。

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いったい何がラオスにあるというのか?


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スナイフェルネース半島は天候はかなり惨めな代物だが、その風景が我々を失望させることはない。広く知られた観光名所みたいなものもとくになく、したがって訪れる旅行者もそんなに多くはないので、いかにも素朴、観光ずれしていない。南側には比較的平坦な海岸線が続き、海鳥が多く、バードウォッチングに適している。北部沿岸にはいくつかの息をのむような美しいフィヨルドがある。大昔に氷河によって削り取られた断崖、ひっそりとした静かな入り江、赤い屋根の小さな教会、どこまでも広がる緑色の苔、低く速く流れるくっきりとした雲、不思議なかたちをした物言わぬ山々、風に揺れるソフトな草、句読点を打つように思い思いに散らばった羊たち、焼け落ちた廃屋(なぜだか焼け落ちた家が多い)、冬に向けてしっかりと束ねられた干し草。それらの風景は、写真に撮ることさえはばかられた。そこにある美しさは、写真のフレームにはとても収まりきらない種類のものだったからだ。我々の前にある風景はその広がりと、そのほとんど恒久的な静寂と、深い潮の香りと、遮るものもなく地表を吹き抜けてく風と、そこに流れる独特の時間性を「込み」にして成立しているものなのだ。そこにある色は、古代からずっと風と雨に晒されて、その結果できあがったものなのだ。それはまた天候の変化や、潮の干満や、太陽の移動によって、刻々と変化していくものなのだ。いったんカメラのレンズで切り取られてしまえば、あるいは科学的に色彩の調合に翻訳されてしまえば、それは今目の前にあるものとはぜんぜん別のものになってしまうだろう。そこにある心持ちのようなものは、ほとんど消えてしまうことになるだろう。だから我々はそれをできるだけ長い時間をかけて自分の目で眺め、脳裏に刻み込むしかないのだ。そして記憶のはかない引き出しにしまい込んで、自分の力でどこかに持ち運ぶしかないのだ。








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「もう求めません」


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