吉田修一
『怒り㊦』★★★★
上巻のあのいやな後味とはうって変わって?
下巻は読ませる。
どんどん引き込まれた 眠りに落ちる瞬間まで。
最後は涙が流れた。
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「・・・・・・この山の向こうに由布岳がありまして、その辺りからはもう阿蘇くじゅう国立公園ということになります」
結局、大切な人ができるというのは、これまで大切だったものが大切ではなくなることなのかもしれない。大切なものは増えるのではなく、減っていくのだ。
「だからお前は、大切なものが多すぎるんだよ」
まったく嘘をついているようには見えなかった。逆に言えば、まったく嘘をついていないようにちゃんと嘘をついていた。
自分たちにとっては切実なことでも、立場が違えば、気にもならない。どこか別の場所で降っている雨でしかないのだ。
『お前のこと、信じていいんだよな?』
大切なものなんて一つでいいんだと。
「・・・・・・早く捕まえないと、あいつ絶対またなんかやりますよ」
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★四連休4日目★