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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

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2013-07-27 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『グレート・ギャツビー』★★★★★


よく「人の評価は棺桶の蓋を閉めてみないことにはわからない」と言われるが、

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僕は内側にいながら、同時に外側にいた。尽きることのない人生の多様性に魅了されつつ、同時にそれに辟易してもいた。



人は誰しも自分のことを、何かひとつくらいは美徳を備えた存在であると考えるものだ。そして僕の場合はこうだ― 世間には正直な人間はほとんど見当たらないが、僕はその数少ないうちの一人だ。



「不注意な運転をする人が安全なのは、もう一人の不注意なドライバーと出会うまでだって。それでどうやら私はもう一人の下手なドライバーに出くわしたみたいね。そう思わない?」



トムとデイジー、彼らは思慮を欠いた人々なのだ。いろんなものごとや、いろんな人々をひっかきまわし、台無しにしておいて、あとは知らん顔をして奥に引っ込んでしまう―




P316 (あえて抜粋省略)
ここでは西部と東部だけど、それを東北と都内に置き換えて 思うところがある。 


満ち満ちた読書時間だった。
もっとフィッツジェラルド(もちろん春樹訳)が読みたい!

映画みてみたい。ディカプリオ。


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S

2013-07-20 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『バビロンに帰る』★★★


全英オープンを横目に読書 これ定番
ミケルソンとマキロイを前に松山くんの存在感!おもしろかった。
しかしプロでもこうなるとは。

とフィッツジェラルド
この短編もやはりお金持ちの転落と苦悩そこからの脱出
彼の私生活が垣間見れてその時代を感じられる。



彼が言うように、賑やかなパレードはもう窓の前を通り過ぎてしまっていたのだ。

まず最初にやったことは、酒を断つことだった。とはいってもアルコール類を一切口にしないというのではなくて、ビールだけは浴びるように飲んだ。「ビールはいくら飲んでもかまわない」と彼は言った。「まずいのはハード・ドリンクを飲むことなんだ」

「ある種の人種は生きるために酒を飲むことを必要としているんだよ」



やっぱり春樹の訳が らしく しっくりくる。


---以下抜粋

『バビロン再訪』
佐伯泰樹 訳

「で、キャンベルさんはどこへ行った?」とチャーリーが訊いた。
「スイスへ行かれましたよ。ご存じなかったんですか、ウェイルズさん。キャンベルさんはご病気が重いんですよ」
「そりゃあ気の毒に。それならジョージ・ハートは?」
「アメリカに戻って、お仕事に就かれました」
「”スノーバード”のやつは?」
「先週ここにみえました。お友だちのシェイファーさんならパリにおいでです」
一年半前はなじみの顔が目白押しだったのに、いまはやっと二人か。チャーリーは手帳に住所を走り書きすると、そのページを破り、
「シェイファーさんを見かけたらこいつを渡してくれないか」と頼んだ。「義兄の住所だ。まだどこのホテルにするか決めてないんでね」
パリが空っぽだとわかっても、そうがっかりはしなかったが、リッツ・ホテルのバーが静まりかえっているのは違和感があって、不吉な印象を受けた。もうここはアメリカ人のためのバーとはいえなかった――ついかしこまってしまって、わが家同然にくつろぐというわけにはいかない。フランス人に返還されたというわけか。タクシーをおりてドアボーイを眼にした刹那に、バーの静寂は予想がついた。この時刻ならいつもは狂ったように動き回っていたのに、いまは従業員通用口あたりで運転手と噂ばなしに興じている始末だったのだ。


春樹 訳
 

「それでミスタ・キャンベルは何処にいるんだろう?」チャーリーは訊いてみた。
「スイスに行ってしまわれました。ミスタ・キャンベルは具合がおよろしくないんですよ、ミスタ・ウェールズ」
「それはいけないね。じゃあジョージ・ハートは?」チャーリーは尋ねた。
「アメリカに戻られました。お仕事に就かれているようで」
「じゃあスノーバードはどこにいるんだい?」
「先週ここにおみえになりましたよ。ところであの方のお友達のミスタ・シェーファーなら今パリにいらっしゃいますよ」
一年半前の長い友人リストの一角を占めていた二つの聞きなれた名前だった。チャーリーはあるアドレスを手帳にさらさらと書きつけ、そのページをちぎった。
「もしミスタ・シェーファーを見かけたら、これを渡してくれ」と彼は言った。「これは僕の義理の兄の住所なんだ。まだホテルをきちんと決めてないんでね」
パリの街が閑散としているのを見ても、彼はそれほどがっかりはしなかった。しかしリッツ・ホテルのバーの静けさは奇妙だったし、どことなく不吉だった。それはもうアメリカ人のバーではなかった。そこにいるとなんだか改まった気分になった。ここは俺の店だぞという雰囲気はもうそこににはなかった。それは既にフランスの手にもどってしまっていたのだ。 タクシーを下りてドアマンの姿を眼にした瞬間から、その静けさは感じられた。この時間ならいつも目が回るくらい忙しくしているはずのドアマンは、従業員用入口のそばで制服姿のボーイと雑談に興じていた。


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I

2013-07-10 | 伊坂幸太郎



伊坂幸太郎
『SOSの猿』★★


マンガとコラボっているみたい。
読み始めはどこでどう西遊記とつながるのかと惹きこまれたけど、
後半はただ惰性で進んだ感。。
最近どっぷり伊坂ワールドだから構えた読み方になっちゃってて慣れ過ぎちゃったのかもしれない。
次作の『オー!ファーザー』が映画化されるらしいけどしばらく休憩 かな。








スコット・フィッツジェラルド
『グレート・ギャツビー』再読楽しみ。

マーク・ストランド
ジョン・アーヴィング
ティム・オブライエン
レイモンド・カーヴァー

夏は春樹の翻訳でゆこう♪


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M

2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



村上春樹
『ザ・スコットフィッツジェラルド・ブック』★★★★


感慨深い。



このようにして我々は絶え間なく過去へと引き戻されながらも、
寄せくる波に向かって、その舟を力のかぎりに漕ぎ進むのである。

― SO WE BEAT ON BOATS AGAINST THE CURRENT, BORNE BACK CEASELESSLY INTO THE PAST ―



世間は我々の想像力を越えた行為や出来事で充ち充ちているのだ。



一生のうちで真の愛に巡り会うなんて極めて稀なことなのだというのが彼にも分かってきたのだ。



「あなたは身を固めることのできない人なのよ」
そのひと言がアンソンの背中にぐさりと突き刺さった。よりによってそんな咎めを受けるなんて、彼にはとても信じられなかった。



僕は思うのだけど、誰かに愛されていないことには彼は幸せにはなれないのだ。


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S

2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『マイ・ロスト・シティー』★★★★


「今のあなたを変えてしまいたくはないのよ。今のままのあなたが素敵なの。あなたを駄目にしていくかもしれないあなたの中の何かが私は好きなの。古い思い出の中に生きつづけるあなた、けだるい日々の中のあなた、それに無頓着さや鷹揚なところがね」



「ええ、どうしてもあなたと結婚することはできないんだもの。私の心の中にはあなたのためだけの場所があるし、他の誰もあなたのかわりをつとめることいなんてできない。でもね、この街に縛りつけられることに私は我慢できないの。私はきっと自分が無駄にすり減っていくような気がしちゃうと思うの。私の中には二人の私が棲んでいるの。一人はあなたの好きなものぐさでけだるい私。だけどそれとは別に私の中には一種のエネルギーのようなものがあって、それが私を冒険へと駆りたてるの。そしてそちらのほうの私が役立てるような場所がこの世界のどこかにあるかもしれない。そういう気がするの。もし私が年を取って綺麗じゃなくなったとしても、エネルギッシュな方の私はずっとそのままじゃないだろうかってね」



「よくわかっています。私はあるポイントを越えてしまうと、あとは誰かに何もかも任せてしまいたいというタイプの人間なんです。そしてこれから先、きっとそういう風に生きていくだろうなって気がするんです」


『氷の宮殿』より。
スゴク分かるこの気持ち。

『グレート・ギャツビー』他
春樹が押すのがこの短編から理解出来た。


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