かみさんが作るお手製の肉巻き焼きおにぎり
おにぎりに豚肉を巻いて、焼肉のタレで炒めたもの。
普通のおにぎりより全然腹持ちが良いので、子供の部活やサッカーの時に持たせている。
二、三日前の長男の部活の遠征に、このおにぎりを持たせた。
昼になり、部活のみんなで弁当を食べていた。
ある一人の後輩の子が、長男のおにぎりを見て、
「メチャクチャ、美味しそう!」と覗き込んできた
仮にここでその後輩の子を、リョウタと書く。
「じゃ、一個あげるよ」とリョウタにおにぎりをあげた。
「ありがとう」と言ってリョウタは、美味しそうに、そのおにぎりを食べた
リョウタは、自分が買ってきたコンビニのおにぎりを一つ、
「交換ね」と言って長男にあげた。
長男は、「ありがとう」と言って、それを受取った。
部活から帰ってきた長男からその話を聞いて、自分はとっても切ない気持ちになった
二階から降りてきたかみさんにその話をすると、かみさんも黙ってしまった
かみさんが長男に、
「リョウタ君に今度また作ってあげようか」と言った。
長男は、「余計なことしないで」と言って断った。
「あいつ、メチャ元気だから、大丈夫」と付け加えた。
そして長男は貰ったコンビニのおにぎりを、二口、三口で平らげ、
「シャワー浴びてくる」と言って、風呂へ行ってしまった。
次の日、娘のお迎えで保育園まで行った帰り、たまたま中学校の横でリョウタとすれ違った。
「こんにちは!」とあいさつをしてきた。
「こんにちは」と返した。
確かに元気そうだった。
去年の暮れにガンでお母さんを亡くした時の、13歳の悲痛な面持ちはどこにもなかった。
強い子だなと思った。