紺日わん倶楽部

日々の暮らしに彩りを

炉開きのお茶会~茶道会館 山里にて~

2013-11-06 | 茶の湯
茶の湯の世界では11月は開炉になり1年の中でもお正月とされてるくらいおめでたい月にあたります。

先日、朝からくもり空で時折小雨が降る中、
お茶で所属している支部の親睦茶会が高田馬場の茶道会館「山里」で行われましたので伺いました。



東京の都心に静かでおちついた空間が広がります。茶道会館は、昭和二十五年に完成。
癒しの空間。都会の喧騒を忘れてしまいますね~


門をくぐると数寄屋作りの広間、小間、立礼席など各々違った茶室が造られています。
裏千家十四代淡々斎宗匠の指導を仰ぎ、京都にて茶室建築を修行した大工によって、念入りに造られた建物が敷地内に点在しています。


大きな樹木や花、草が緑の庭園の奥行きを感じさせます。

茶室の写真やお道具などの写真は基本的に撮る事が出来ないので
覚書程度ですが当日の雰囲気をご紹介いたします。
申し訳ございませんが、走り書きで書き留めたので間違いの際はご容赦ください。
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裏千家 淡交会 東京第三東西支部 親睦茶会
日時 平成25年11月4日(月/祝) 9:00~15:00
場所 茶道会館 庵「山里」  (新宿区高田馬場3-39-17)
券代 ¥6,000 (5席、点心付)

真の間 (濃茶席)  席主:渡辺宗慧 先生
市松の間(薄茶席) 席主:柴田芳明 先生
峯春亭(薄茶席)  席主:瀧島宗正 先生
明々軒(薄茶)   席主:吉田宗禮 先生
絵馬席(香煎席)  席主:第三東青年部


濃茶席 真の間

待合 床  月多秋友  大綱筆 

  したしくも うとくなりゆく 人の世に
         月はいくよの 秋もかわらじ

大綱宗彦
(だいこう そうげん)
安永元年(1772)~安政7年(1860)
大徳寺435世。大徳寺塔頭黄梅院第14世住職
裏千家十一代玄々斎宗室・表千家十代吸江斎宗左・武者小路千家七代以心斎宗守と交わる。
永楽保全の参禅の師。和歌、茶の湯を能くし、書画に優れた。

床  神秀之偈    乾英宗單(けんえいそうたん) 実堂和尚 両筆
    
    身是菩提樹 (身はこれ菩提樹) 
    心如明鏡臺 (心は明鏡台の如し)
    時時勤佛拭  (時時に勤めて佛拭し)
    莫使有塵埃 (塵埃を有らしめること莫れ)


花   白玉椿 他1種 
花入れ 古銅 龍の耳付き
香合  久寿屋 淡々斎箱書 弘入作
釜  阿弥陀銅釜  古道弥  
炉縁  真塗
水指  源海壺(酒海壺) 青磁  鵬雲斎箱書
棚   長板 
茶入  春慶手瀬戸 苔衣      鵬雲斎箱書
茶杓  さざれ石  玄々斎箱書き
    点前茶杓  無一物     鵬雲斎箱書
茶碗  大樋長左衛門 黒楽 本来  鵬雲斎箱書
替   出雲焼 
濃茶  遊亀の昔 伊藤園詰
菓子  初霜   源太製

何事にもとらわれない「空」「無」の悟りの世界を表しての素晴らしいお席でした。

他のお席も季節の御趣向素晴らしく今でも余韻に浸っています。
薄茶席のお軸は
「抱琴看鶴来」 玄々斎筆
「紅炉一点雪」 鵬雲斎筆
「聴雨」    淡々斎筆(?)
「聴雨」は 聴雨寒更盡  雨を聴いて寒更尽き
      開門落葉多  門を開けば落葉多し  無可上人の詩一節
 
雨とついていると間違って6月頃の季節のお軸と思ってしまいがちですが落葉の音だったのですね。
この詩を基に「秋の夜に雨と聴こえて降りつるは風にみだるる紅葉なりけり」(拾遺集)と紀貫之が詠んだとか。 
心に焼き付けても記録がなかなか追いつかないが、こうやって後日備忘録としてまとめて調べていくうちに
不明だった人、お道具や意味が少しづつ理解できより深い解釈や道に繋がっていくような気がします。

出足が遅かったのか今回4席入る事が出来充実のお茶会になりました。
後から社中仲間に聞いたのですが、
今回唯一時間の関係で入れなかった 明々軒(薄茶)席主:吉田宗禮先生 のお席は
荘茶杓がなんと 利休の茶杓  だったとか。 残念!!
またの機会にお目にかかれますように~

それにしても利休、少庵時代の阿弥陀銅釜、宗旦の花入れ、茶壺など美術館で鑑賞するような古い時代の
お道具がいわゆる一般のお茶会で拝見できるとは・・・・・皆様方 お蔵の広いこと!! 
うらやましい。 ”絶句” 茶会やお茶事に伺うと煩悩ばかりの自分が恥ずかしい!!精進せねば。



喜多見のお点心。こちらのお料理はとっても美味しいです。
各席のお菓子もご亭主様のおもてなしの心が感じられる逸品ばかり。
源太製 「初霜」、鶴屋八幡製。どれもこれも見た目も綺麗で柔らかくて美味しい。
この時期に外せない亀屋伊織さんの吹き寄せが今回も薄茶席で振る舞われました。
ここのお菓子はどの季節のものも美しく繊細なお仕事で食べるのがもったいないくらいですよね。

京都の老舗菓子店「亀屋伊織」の吹き寄せ。生砂糖、打物、州浜、片栗、有平等彩り鮮やか。

さて開炉に合わせてお祝いの席で頂く粟ぜんざいや亥の子餅。今年は粟ぜんざいを自宅で作ってみました。


昨年お料理の先生から教えていただいた粟ぜんざい。


自宅で作った粟ぜんざい。 杉箸(赤い色つけした割り箸)がなかったので省略しています。
1日水に浸した粟にほんの一つまみ塩を入れて電子レンジで5分位チン。一度取り出して混ぜて市販の餅1~2個を1cm角くらいに切って一緒に混ぜてまた5分~7分くらいチン。御好みで塩昆布添えて。
他のやり方として蒸したり水を入れて煮たりも出来ますのでお試しください。
小豆あんは市販のを使用しています。プチプチの食感とトロリ感が絶妙。

定番の亥の子餅

亥の子餅は鶴屋八幡製。

いよいよ秋深まり冬を迎えしみじみ茶の湯に向き合う季節。
侘び茶の心を受け入れながら自分の茶の姿も見つめつつ。