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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

狼と羊皮紙 第6巻 感想: そうか、この先、マジで新大陸にある「月を狩る熊」の国を目指すのか!

2021-04-15 17:31:22 | 狼と香辛料/羊皮紙
なんか、壮大な話になってきた!

この作者は、物語の立ち上がりについてはスロースターターなので、相変わらず100ページをこえる辺りまでは、のらりくらりと、コルやミューリの近況報告のようなことを書いていて、正直、たるいなぁ、と思っていたのだけれど。

でも、中盤になって、ノードストンの爺さんが出てから以降は、シャノン(鷲)イレニア(黒羊)、ディアナ(白い鳥?)、と「人ならざるもの」たちがどんどん出てきて。。。

で、鼠のヴァダンが出てきたと思ったら、猫の錬金術師でしょ?

これ、どう考えても、『マグダラで眠れ』のフェネシスで決定!だよね?

で、「人ならざるもの」が全員集合してきたのは、今後の展開が、どう考えても、新大陸を目指せ!ってことだからでしょ。

最後の、コルが「なくなった」ことに気づいた蒸留器と思っていたものって、要するに地球儀ってことだよね?

で、星占いといっていたのは、むしろ天文学の知恵のことでしょ。

ティコ・ブラーエやケプラーとか。

異端審問もガリレオに向けられたものと同類のもの、ってことだよね。


確かに、コルがやっていることは、旧教=カトリックに対する新教=プロテスタントの動きに近くて、要するに、宗教改革の時代のことだから。

つまり、コルは、マルティン・ルターのような存在。

なので、同時代的に、新大陸を目指す大航海時代が始まる、って感じかな。

そうなると、コルとミューリが新大陸を目指すにあたっては、東インド会社のような会社組織を設立するのだろうね。

その際の出資者に、エーブや、今回出てきたキーマンが一口乗る。

もちろん、デバウ商会とかボラン商会も関わってくるだろうし。

場合によったら、設立発起人がロレンスになる可能性すらあるよね。

なにしろ、新大陸到達を事業として行うのだから。

なんか、本当にオールスターが集合する話になりそうだな。

新大陸に渡ったであろう「月を狩る熊」は、ホロの因縁の相手のようなものだし。

で、そこに、今回、そこら中に痕跡を残した「猫の錬金術師」が絡むわけでしょw

なんかものすごくでかい話になってきた。

その一方で、史実の磁場が強すぎるテーマでもあるので、あー、やっぱりね、というような大味な展開にならないか、ちょっと不安。

まぁ、もともとコルとミューリのコンビが、ロレンスとホロのコンビの焼き直し、二番煎じのようなものだから、どうしてもキャラそのものの魅力には欠けるので、そういう世界観をめぐる物語でいいようにも思うけど。

でも、今回の物語にしても、途中からは、コロはちょっとアイデアを出すだけで、実行主体は、ミューリ以下、シャノンやイレニアの「人外部隊」か、そうでなければ、エーブ姉御の部下たちだからね。

コロは、なんかお願いするだけで、あとはほとんど全部、周りのものがなんとかしてくれる。

それじゃ、どうしたって、主人公としての魅力を得ることはできないよね。

コルは、語り部にはなれるけど、主人公にはなれない。

どうも、そのあたりが、この物語の弱いところだと、今回、痛感した。

次回あたりで、一度、この先の展開について、大きなロードマップを示してくれるといいのだけど。

でないと、あまりにも「新大陸発見」や「大航海時代」という史実のプロットに引きずられた展開予想を読者のほうが先にしてしまうので。

というか、話がでかくなってきたので、逆にでかい話はでかい話で、こうした見通しがないと、いったい、何が面白いんだ?ってことにもなりかねないわけで。

嫌いではないし、面白くなってきたけど、これ、この先、どうたたむのかな、というのが、ちょっと心配になってきた。
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