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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

絶園のテンペスト 第19幕 『願ったものは』

2013-02-27 16:59:58 | 絶園のテンペスト
ちょっと遅れ気味のアップだけど、大事なエピソードだったと思うので、ちょっと書いてみる。

で、これは、ホントに、演劇を見てると思うべきだ、と思ってきた。
しかも、本当にシェイクスピアを、つまり、ハムレットとテンペストを想定しながら。

正直なところ、もはや、はじまりの木、とか、絶園の魔法使い、とか、そういう設定はどうでもいい。これらは、あくまでも現代の環境で、シェイクスピアを模した舞台劇を演じようと思ったらどうするか―――そのために必要な「舞台仕掛け」に過ぎない。

大体、テンペストにしたって、いきなりプロスペローが島に飛ばされてそこで魔法使いになって・・・、という話で、シェイクスピアの時代にしたって目が点になるような設定なわけだから。

なので、この物語は、葉風のセリフではないけど、正しく「ラブコメなのかー!」という気持ちで見ればいい。

それも、吉野、真広、愛花、の三人の関係を巡る話として。

気になるのは、物語の開始当初から死者となっている愛花に対して、葉風がどういう他立場を取るのかということ。葉風がただのトリックスターとして吉野・真広の二人を物語の進行上必要な「魔法の世界」に繋ぎ止めるためにあるだけなのか。
それとも、愛花に代わって、吉野と真広の間に割って入る役割をするのか。
もっといえば、愛花に代わって吉野の恋人の場所を占めることができるのかどうか。
そのあたりが物語的には核心になるのだろうな。

だって、もう話の流れから言ったら、愛花が死んだのは自殺、つまり、自作自演でしかないでしょ。彼女が、始まりの木や絶園の魔法使いといった物語の設定とどう関わっているのかはわからないけど。いや、まぁ、多分、大きく関わっているのだろうけど。

そうした真実は、単に、残された吉野たちの物語を進めるための事件でしかない。

多分、次回、葉風がタイムスリップして、過去の愛花がまだ生きている時間に戻って、愛花の死の場面を目撃するなり、その真相を掴むのだろうけど。

でも、それ自体はもうどうでもいいこと。

だって、これ、シェイクスピアを模したラブコメだからw

そう思って見直すと、後半になってからの羽村の登場や、前半中盤の潤一郎の登場も、一つ一つの物語の場面を前に進めるための鍵として現れたのがわかるので、文字通り、演劇的。

フロイライン山本とか、大人連中も、なんかこいつら必要あるのか―、と思っていたけど、今回の、吉野と真広の和解以降の場面で、彼らのやり取りを脇から優しい目で見続けるのを見て、あー、この人たちは、主人公たちの動きを見続ける観客の役割でもあるのだな、と思って妙に納得した。

うん、この話は、いい話だよ。
思い切り手の込んだラブコメ。
でも、一時あったセカイ系のように、世界の命運とそのラブが直結してるわけではない。

いや、直結はしているのだけど、でも、それらがゼロサムになっていない。

というか、多分、ゼロサムになっているのがセカイ系、すなわち、ハムレットで、ゼロサムになっていないのがテンペスト。愛花いうところの、皆が全てハッピーになって終幕するプロット。

だから、この物語はどこか清々しい。

で、こういう時思うけど、ホント、大人がちゃんと出るアニメは良作が多いね。

もう学園モノとかハーレムモノとか萌えモノとか、いい加減供給過剰で、視聴者にも飽きられてきているんだから、そういうのはやめて、ちゃんと大人が出て子供がいる話を作っていった方がいいと思う。アニメってもう真性オタクや子供のためだけでは事業としても立ち行かないはずだから。

ともあれ、次回以降、クライマックスに向けた展開は楽しみだ。
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