BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

蒼穹のファフナー THE BEYOND 第4話、第5話、第6話 感想

2020-06-02 00:04:48 | ファフナー
第6話まで見て、THE BEYONDでスタッフがやりたいことはなんとなくわかった。

この先の、人類とフェストゥムの共存共栄?の到来をなんとか描くために、人類は善、フェストゥムは悪、という善悪二元論の構図を切り崩すことが多分、主たる狙い。

そのために、襲う側と襲われる側をひっくり返し、第1話にあった総士奪還作戦で、人類のほうがフェストゥムの襲撃を図る、という始まりにした。

もちろん、第5話でジョナミツ改めケイオスが登場したことで、EXODUSまでのストーリーを引きずっていることを明らかにしたから、視聴者からすると、マレスペロが圧倒的に悪に見えるわけだけど・・・。

ただ、それでも、偽のなんちゃって竜宮島をつくって人類の真似事をしていたフェストゥムの島を襲い、そこから総士だけをさらったのは一騎たちの側なんだよね。

しかも、その際、乙姫の偽物(てか、アザゼル型の残党w)を一騎が倒してしまい、それが、新・総士と一騎との間に、容易には埋めがたい溝を生み出してしまった。


そういう意味で、以前のシリーズを見てきたものの一人としては、いろいろな意味で、むず痒い、

実は、結構、見るのがつらい。

なぜなら、感情移入する相手をTHE BEYONDからは変えろ!と告げてくるから。

要するに、一旦、異星人たるフェストゥムの側の立場に立って、今まであった物語の意味を問い直せ、と言われているわけで。

でもさー、それ、マジでここまでシリーズを追いかけてきたものからすると、かなり辛い。

極論すれば、一騎と真矢が主人公の位置を占めないのなら、もう続編とかいいよ、と強く思いたくなる気持ちがある。

それを、新・総士と美羽の立場から世界を見直せ、というのはね。。。

でもまぁ、総士の顛末を考えると、このTHE BEYONDの展開は、EXODUSの製作を決めた時点で、既定路線だったことになるので、そうするとEXODUSを楽しんでしまった時点で、THE BEYONDも受け入れるしかないんだよなぁ。

うーん、はめられたw

ただ、そういう風にちゃんと考えさせたいなら、なんで、THE BEYONDをテレビ放送しなかったかな。

正直、このテレビ放送の尺にあわせて、3話ごと劇場公開していく、というのでは、正直なところ、全く話題にならないと思う。

なぜなら、1話ごとの情報量が、ファフナーらしくめちゃくちゃ多い上に、それが3話まとめて見せられると、その情報量の多さに頭の理解がなかなか追いつけない。

やっぱり、ファフナーって一週間に1話ずつ放送されるスケジュールで、1話に込められた情報量を咀嚼して、次回の展開を想像しながら観る・・・くらいの、インテンシブな見方をしないと、いまいち、面白みにかけるんだよな。

つまり、3話ごとに公開だと、1話分の内容を大して咀嚼しないまま、次の話を見てしまうようになるので、恐ろしいくらい惰性的になってしまう。

そういう「ファフナー流の楽しみ方」がはなから否定されてしまうのは痛い。

ファフナー、って次回がどうなるか、あれこれ想像するのが楽しいわけで。

その展開予想のために、各話の情報を理解しようとすることで、ようやく本編の意味がわかるくらいの世界だから。。。


正直、一騎と真矢の扱いが、いかにも、かつての名作の続編っぽく、バイプレーヤーにまで後退してしまっているのはいただけないんだよね。

代わりに、生まれ変わった新・総士が主人公なんだよねぇ。。。

ただ、この新・総士、かなりウザいので、全然入り込めない。

それも、今回の第4話から6話までを見て、痛感している。

てか、真矢ではないけど、みんな、新・総士に対して甘やかしすぎじゃない?って思いたくなる。

そういう意味では、ALVISの一般人クルーが、ニヒトを動かして島を破壊しようとした総士を対して、即座に敵認定したくなるのもわかる。

もともと島の出身といっても、新・総士の身体はフェストゥムみたいなものだし、そのうえ、幼少の頃に拉致されたうえにフェストゥムの側で「世界の現実」についての教育も受けていたのだから。

なので、そのフェストゥムになされてしまった教育を、まさに上書きして逆洗脳=ブレインウォッシュするために、現在のファフナークルー総出で、新・総士の再教育を行うところは、映像では、なんとなく快活な音楽を流してごまかしていたけど、かなり気味が悪い。

でもまぁ、それが「故郷の地=竜宮島」を追われて「エグゾダス」してしまった、根無し草のALVISメンバー=旧竜宮島住人からすれば、思考や行動の習慣の総体としての教育を、なかば原理主義的に徹底しないと、自分たちが何者なのか、揺らいでしまって、落ち着いていられないのだろうな。

まさにエグゾダスされた、現実世界のユダヤ系の人たちの教育熱心さに通じるものなんだろうな。ディアスポラそのもの。

でも、物語構成上、救いがあるとすれば、その「再教育」を、一応、新・総士が、自らの意志で、わかった、お前らの考え方を理解した上で、どうするかは、自分で決める、と息巻いているところねw

そして、その「俺様思考」が、オリジナルの総士の傲慢さの影を引きずっているからこそ、見ている側も、ファフナーパイロットたちも、ギリギリのところで、彼のことを人類側の存在だと考えたくなる。

もっとも、ことここにいたって「同胞」とか「同化」というタッチーな言葉が文字通りタッチーなものになるとは思わなかった。

物語をつくる側の人たちも、現在進行中の社会の動きに敏感にならなければいけなくて大変だな。


しかし、THE BEYONDに込められた意味が、今回、存在と無の地平の「向こう」にある純粋な可能性のことであるらしいことが、明らかにされたわけだけど、そして、その鍵を握るのが、新・総士であるいまでは彼だけ?が竜宮島の新コア?にコンタクトできる。それらが、さくやとかぐや、の二人・・・っていっても、夢の中でしか、まだ会えないのけど。

そうすると、新・総士の登場機であるニヒトも、どこかのタイミングで全く違うタイプのファフナーになってしまうかも。


それにしても、総士、相変わらず、ウザい。

そして、唐突に、マレスペロ軍が襲撃し、間に挟まれる、一騎の新ファフナー登場の予感。

そして、最後に、え!!!、という千鶴の死去?

いや、千鶴は殺しちゃダメでしょ。

「千鶴ママ」なんて言わせて、彼女の背負った業を説明させていたのは、この幕引きのためのフラグだった、ということなんだろうけど。

そういう意味では、来主操の死亡予告は完全に煙幕だったなw

マレスペロに対抗するためには、竜宮島とともに海の底に沈んだアルタイルの力が必要で、そのために、竜宮島の力で転生?再生?した新・総士によって竜宮島へのルート情報の獲得が必要になる。

というか、要は、新・総士が、アルタイルへのアクセスの鍵になるから、アショーカに間借りした旧・竜宮島クルーや、マレスペロたちが、ともに、新・総士の奪還に奔走する、ということのようだけど。

ちょっと本気でわからなくなってきたのは、もはやフェストゥムは、意志のある、その意味では人間化した宇宙人になってしまった、ということでいいのかな?

少なくとも、地球人類とフェストゥムの間に横たわる差異は、少しずつ曖昧になりつつある。


存在と無の地平の「向こう側」にあるのは「純粋な可能性」というのもなぁー。

なんか、これは、むりやり、ザイン/ニヒトの対立を超えるものをなんとか設定しようとしているのだろうけど・・・

ただ、これは、さすがにちょっと、屋上屋を架す感じで、なんというか、むりやり取ってつけた蛇足感がパない。

ちょっと意味がわからない。

正直、冲方丁、若い頃のような冴えがなくなってない?

いたずらに、神話的物語をなぞっているだけのようにみえてきた。

それは、サイコパス3でも感じたことだけど。。。


真面目に受け止めれば、人類とフェストゥムの間の「架け橋」となる両者の折衷的な存在、境界となる存在を見出し、望むらくは、人類とフェストゥムの共存の道を探る、ということだよね。

その核となるのが、新・総士。

実際、今の、海神島に間借りしているかたちの「竜宮島」の面々には、フェストゥムとの距離感について大きく異る3つの世代が同居している。

第1世代は、真壁史彦に代表される一騎たちの親世代

第2世代は、一騎や真矢の世代、無印からEXODUSの主人公世代で、第1世代と違って、適性を持つものはファフナーを操ることができる。

第3世代は、美羽や新・総士たちからなるエスペラント世代で、第1世代の孫にあたる

第1世代は、混じり気のないピュアな人類

第2世代は、フェストゥムの因子を身体に取り込むことでファフナーの操縦を可能になった世代。誕生は、人工子宮を介したもの。ちょっとだけフェストゥムだが、ほとんど人類。

第3世代は、美羽のように再び自然分娩による誕生、あるいは、新・総士のように、フェストゥム的再生を行ったもの。人類にかなりフェストゥム的要素が身体的に取り入れられた世代。

要は、美羽たち第3世代は、最初からフェストゥムと意思疎通する能力を持ち、その結果、人類とフェストゥムの距離がかなり縮まっている。

一方、フェストゥムの側も、人類から学ぶことを覚え、人間らしい振る舞いをする物も出始めている。来主操なんかは、その典型。

ちなみに、フェストゥムとの交戦を経て、総士、一騎、甲洋、の3人は、ほとんどフェストゥム的人類にまで変貌してしまい、その結果、元祖総士は死んだが、彼の第2世代たる新・総士が誕生している。

一方、一騎と甲洋は、フェストゥムのような瞬間空間移動もでき、身体能力はもうほとんどフェストゥムだが、心は人間のまま、という状態。

つまり、回が進むに連れ、とにかく、人類とフェストゥムの間の「グレーゾーン」に属するしかない折衷的存在が増えている。


難しいのは、新・総士をTHE BEYONDの主役にしたことで、一騎たちもバイプレーヤーに退き、その結果、ガチでグレーゾーン的存在の集団を通じて、両者の共存を真剣に考える道が物語の主軸に置かれそうなこと。

ただその場合、史彦たち第1世代はもとより、一騎や真矢の第2世代ですら、オールドタイプ側にカウントされるような物語になりそうなこと。

だから、主人公が「一騎・真矢組」から「美羽・総士組」へ移ることは必至だと思うのだけど、問題は、この変化に視聴者のほうがついていけるかどうか、それも「気持ちよく=祝福しながら」ね。

でも、これ、相当難易度が高いと思うんだよね。

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