パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「プラハのモーツァルト」から連想したこと

2017年12月03日 14時42分35秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

地味そうな作品だから豊橋では上映されておらず、名古屋まで行かないと見られないかと
思い込んでいた「プラハのモーツァルト」
調べてみたらユナイテッド・シネマ豊橋でもやっていたのでさっそく出かけた

大好きなモーツァルトがタイトルに入っているので興味がそれだけでわくが
出かけようとした理由は、大きな画面でプラハの街並みとか雰囲気を感じてみたいのと
モーツァルトのキャラクターがどんな風に描かれているか興味があったためだ

モーツァルトが歓迎されたプラハはウィーンからはそんなに遠くないようで
日本からのツアーも組まれているし(ウィーンとプラハの)
電車もプラハ行をしばしば見かけた(旅した時)
BSの旅番組を見てもプラハは落ち着いた感じで、どんな雰囲気だろうと思ったが、、、

期待はあっさり裏切られた
映画にはプラハの街並みはほとんどと言っていいくらい出てこない
街の出てくるのは夜の暗いシーンばかり
太陽の下のドラマではなく光の足りない夜と部屋の中
ヨーロッパ人は部屋の灯というのは日本人みたいに明るいのを好まないのかもしれない
数年前のオーストリア・ドイツのホテルでも照明は決して明るいとはいえないものだった
(彼らに言わすれば日本の灯が明るすぎる、、というのだろうが)

興味のもう一つ、モーツァルトのキャラクターについては「アマデウス」がぶっ飛んだ
落ち着きのない人間として描かれていたが、同じように軽薄な人間として描かれるのか
と思ったが、映画は普通の感情をもった、ちょっとばかり(女性には)自制心のない人物として扱われていた

プラハはドン・ジョバンニの初演をした街で
序曲は上演ギリギリまで出来ていなかったというエピソードやら
フィガロの結婚が大受していて歓迎されていたところなどモーツァルトの好きな人間には
おなじみの情報が適度に挿入されている

この映画、プラハにいるモーツァルトが「フィガロの結婚」の上演を見守るところと
新作「ドン・ジョバンニ」を書き上げる過程を捉えているが、この実在の人物たち
サロカ男爵・スザンナを中心にしたストーリーは、実は「フィガロの結婚」と「ドン・ジョバンニ」
の物語そのものを地で行っている
サロカ男爵はフィガロにおけるスザンナの「初夜権」を狙う浮気心いっぱいの人物として
ただし、フィガロの時の伯爵より悪人ぽいイメージとして扱われ、この女好きの人物は
ドン・ジョバンニも連想させるし、結局彼の悪業は罰せられることになるが、
そのイメージとしては騎士団長が食事に誘う不気味なシーンや地獄に落ちるシーンが
ドン・ジョバンニの音楽で暗示される

ただ少しばかり残念なのは、このサロカ男爵は単に悪いやつという女好きであったこと
歌劇のドン・ジョバンニは確かに悪いやつだが、それでも相手(女性)が嫌がるようなことはしていない
伊藤詩織氏の「Black Box」ではないが、合意の上かそうでないか、、は
歌劇のドン・ジョバンニは、どこか仕方ないやつだ、、とか困ったやつだ、、と呆れながら思ってしまうが
この映画のサロカ男爵は「パワハラ」「セクハラ」のオンパレードで、地位を利用して
人を支配しようとしているところなんぞは、つい最近の何処かの国の誰かとそっくりだと連想したのは
自分だけではなかっただろう

それから、どうでもいいことだがモーツァルトが楽譜を書いているシーンには少し疑問を覚えた
モーツァルトの自筆楽譜を見たことがあるが、とでもきれいで、何よりも相当なスピードで書かれている
音楽は既に出来ていて楽譜はその音を紙の上に移すだけの作業で、その息吹みたいなものを
楽譜から感じるが、映画ではベートーヴェンみたいに考えて作曲するようで
わかりやすいけれど、ちょっと違うぞ、、とチャチャを入れたくなった

この映画はストーリーのせいもあるが、一般的な予告編で見られるように火薬をぶっ放して
興奮させるというのではなく、それなりに映像を覚えておいたり、その意味を考えないと楽しめないものになっている
だが、この様に見る側の想像力を前提として進めてくれたほうがかえって見えないもが見える気がする
説明過多とか、わかり易すぎるものは、、面白くない、、
 


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