パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

ゴールデンスランバー

2008年04月16日 20時48分08秒 | Weblog
ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎著 新潮社刊

この本を手に取ったのは、なにも本屋大賞を受賞したと
書かれた帯の広告のせいではなく
タイトル「ゴールデンスランバー」に惹かれたにすぎない

ゴールデンスランバーはビートルズの実質的最後のアルバム
アビーロードのB面 メドレーの中の一曲で
いったいこの曲をどうしてタイトルに名付けたのかが
気になったから読んでみようという気になった

そういえば何年も前、「ノルウェーの森」も
同じ様な理由からだったが、、、

それにしてもアビーロードのあのメドレーの部分
やっぱり多くの人に感動というかインパクトを与えているようだ

自分も確かにYou Never Give Me Your Money からSun King
Mean Mr. Mustard、リズムの激しいPolythene Pam、
そしてつながり方が好きなShe Came in Through the Bathroom Window
を経て問題のGolden Slumbers
それから映画「イマジン」ではジョンのファンがジョンの作品と間違えた
Carry That WeightからThe Endにいたる流れは本当に音楽的で
ロックとかPOPSとか言う次元を越えて素晴らしい!と素直に思う

You Never Give Me Your Moneyのメロディーが再現されるのは効果的だし
いろんな意味で完成度が高い!と思っている

そのアビーロードの1曲をタイトルにしたこの作品
実質3日で読んでしまった
一気に読ませるストーリー展開は飽きさせないどころか
作者の力量が優れていることを伺わせた
一難さってまた一難、そして時間の重層的なところも
わかり難いより、親切な説明的で読み飛ばすには助かった
そして時折の気の利いたセリフも!

ただこの気の利いたセリフ的なもの
あまりにも頻繁に出てくると少しばかり
うるさく感じられて仕方なかった
(もう少し、こじゃれた会話は少なめにした方が
 話にしらけないで済んだみたい?)

結局、犯人は誰だとか、どのような組織が仕組んだことなのかは
明らかにされず、最後のカタルシスは未消化に終わってしまったが
この本はハラハラドキドキで楽しめばよい類いなのだから
それはそれとして、さすが本屋大賞を取っただけのことはある?

でも、ホントのところ、もう少し重くてもいいかな
少しばかりご都合主義過ぎて、
またあまりにも狭い範囲で関連しすぎていて
まとまりは良いかもしれないけれど
スケールが小さくなってしまった様な気がする

といっても、さて自分たちがこの様な荒唐無稽な話を
書こうとすると、それはまるでできない話で
(別に自分との比較をする必要はないが)
考えてみれば作家という人物はたいしたものだ

さてゴールデンスランバー
どんな風に扱われているかといえば
正直なところ少しガッカリ!かな
扱い方が感傷的すぎて、自分的にはあのメドレーの凄さを
もっと出してもらいたかった

ただ最近ブレーキがかかっていた読書に
読み始めのキッカケを与えてもらったのは
ありがたかった?






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