パンセ(みたいなものを目指して)

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帝銀事件 小説とドキュメンタリー

2023年01月06日 17時33分38秒 | 

今年始めて図書館から借りた本はこれだ


NHKスペシャルで未解決事件として取り上げられた「帝銀事件」の小説とドキュメンタリーだ
この事件も下山事件と同様に変な事件で、犯人とされた平沢貞通は嘘をつく癖があるらしいが
具体的な証拠は自白しかないようで、その自白も途中で自分は犯人ではないとずっと言い続けた

犯人の顔を見て生き延びた人は、平沢貞通は犯人ではないとの印象を持っていたし
そもそも青酸自体が普通の人の生活とは無縁のものだ

この事件は細菌兵器・化学兵器を研究した731部隊に関係しているのではないか
そうした推理やら想像やら情報が少しづつ集まってくる
実際、731部隊についても警察は捜査を行った
ところがある日突然犯人として平沢貞通が逮捕されると
731部隊の話はプツリとされなくなった

人体実験とか、それに伴う殺人で悪名高い731部隊は
研究資料とか成果をGHQに渡したり伝えるということで
その罪を追求されなくなっていると、情報に疎い自分らも知るようになっている

この一連の流れは岸信介が反共に使える人物というだけで
戦犯から更に追求されなくなったことを連想させる
社会における現実的な方法とかリアリズムというのは
こんなふうに悪すらも帳消しにされるのかもしれないと恐ろしさを覚える

NHKの番組はドラマ仕立てで、松本清張は謎を追う人物として
帝銀事件をドキュメンタリーとして書きたがったが
それはあまりにもリスクが大きくて、小説というフィクションで仕上げる事になった

彼の怒りは人の知らないところで、とんでもないことが平然と行われている点だが
今の時代も、国民が知らないところで危なっかしい話が進んでいるのではないか
とさえ思えてくる

それにしても政権べったりと思えるNHKが、考えようによっては
政権に都合の悪そうな731部隊とGHQの関係に突っ込んで放送するとは、、

NHKも政治部とその他の部署(この番組を作った部署)とは
志の発揮の仕方が違うらしい
NHKの番組を見逃した人はNHKプラスとか何かで
見たほうが良いと思う(気が滅入りそうだが)


コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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Unknown (腰痛持ち)
2023-01-07 15:10:37
確かに松本清張の下山事件は違和感を感じてます。
ただ自殺とするにはいろいろ奇妙な出来事が多すぎる気がしてます。
下山事件の関係者の子孫とされる柴田哲孝さんの本とか矢井田喜美雄さんの本は面白かったです。
黒地の絵は知りませんでした。
読んでみます。
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『黒地の絵』は次の通りです (指田文夫)
2023-01-06 21:46:00
霧プロは、松本清張の小説『黒地の絵』を映画化することを目的に設立されたのだが、これが実に問題の小説だった。1950年7月に、朝鮮半島に送られる黒人兵が北九州市で反乱を起こした事件を基にしている。黒人兵に乱暴された女性が、朝鮮から送られてきた兵士の死体に、その本人を発見するという話である。そして、松竹の監督のみならず、東宝の森谷司郎らも映画化を企画し、海外で撮影することなども考慮したが、結局できず、その間に野村芳太郎は、他の作品に行ってしまい、終には松本も1992年に倒れて7月に死んでしまう。
私は、この話は映画化されなくて良かったと思っている。もし、米国で公開されたら、人種差別だと批難されたにちがいない。
そもそも、黒人兵たちが、祇園太鼓の音に鼓舞され、本能を呼び覚まされて反乱を起こすと言うのが、最初の間違いの始まりなのだ。
「小倉祇園太鼓」というのは、富島松五郎が「勇みコマ」などと言って勇壮に叩くものではなく、「カエル打ち」でずっと静かにやっていくものなのだ。
祇園は花柳界であり、静かな町である。あの映画『無法松の一生』の祇園太鼓は、岩下俊作の小説にもとずき、監督の稲垣浩が音楽担当と工夫して作ったものなのである。
さらに、「アフリカ音楽イコール太鼓」という図式が、完全な間違いである。アフリカ内陸の小国のブルンディのドラムが有名で、日本にも何度も来ているが、ああいう勇壮なのはむしろ例外なのである。

もちろん、アフリカ各地に太鼓はあるが、主に伝達用に使用されるもので、トーキングドラムのようにメッセージを伝えるもので、本能を呼び覚ますと言ったものではない。
この辺のアフリカ音楽についての無知は、松本清張らの当時の日本人には仕方ない点もあるが、ひどいと言うしかない。
返信する
帝銀事件は良いのですが (指田文夫)
2023-01-06 21:39:09
松本清張作品でも、帝銀事件は良いのですが、下山事件はひどいと思う。
彼は、CIA犯人説でひどいと思う。
元々は、他殺説はあったのですが、それは組合側というもので、毎日新聞以外がそうでした。
毎日新聞のみが自殺説で、私も自殺だと思います。
下山総裁は、元は技術屋で、労組との交渉など無理で、ノイローゼになって、自殺したのだと思います。
自殺説が、当時信じられなかったのは、国鉄総裁は、大変に高い地位の方で、そうした偉い人がノイローゼになるはずがないと思われていたからだと思います。

テレビでも少し出ましたが、小倉での米兵の反乱に元ずく小説『黒地の絵』など、二重に間違っています。それは、次のコメントで。
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