今日は山の日
盆の時期には山登りしていた頃、後ろ髪を引かれるように下山の一歩を踏み出せないことが多かった
そして下山したあとはいつも、数時間前にはあんなに純粋なところにいたという事実に
何かとても不思議な思いを覚えたのだった
今にしてみれば、もっと写真を撮っておけば良かったと思わないこともないが
カメラを持っていると撮影ばかりが気になって、山を楽しめないような気もして
敢えて目の前の光景と記憶の中の山を楽しもうとしたこともあった
写真には撮っていないが、槍ヶ岳から眺めた笠ヶ岳の方のモルゲンロート
蝶ヶ岳からの圧倒的な量感の槍穂高連峰
裏銀座の圧倒的な静謐感
馬の背を分ける天候の違い
雲海に浮かぶ富士山
そして夜中にはくさるほど多い星の天の川
そうしたものは、思い出そうするとその時の感動した気分も蘇ってくる
それでも客観的な記録としての写真を探していたら
こんなのが見つかった
大好きな常念岳の頂上からの景色だ
常念小屋からの槍穂高連峰の光景はこうだ
山は良いなあ、、と少し後悔の念をもって思う
登山の途中はどんな山も楽ではなくて、必ずしんどい思いをすることがある
特に夜行列車とか夜行バスで登山に向かったときは身体が重くて
「今日は体の調子が普通ではないかもしれない、やめたほうが良いかも」
などという誘惑が頭を過ることがあった
でも行程の半分を過ぎると、戻るのはもったいなくてひたすら登ることに必死になる
そして帽子とかメガネから汗が流れ落ち、ハアハアという余裕のない呼吸音が聞こえると
頭の中は同じ言葉が何回も繰り返す(今でも覚えているのはダケカンバと繰り返したこと)
この余裕のない状態は、自分自身と対面しているようで、実はこの感覚を味わいたくて
山登りをしているのかもしれないと思ったこともあった
山は良いなあ、、
自分自身と向かい合えるから、
そして確かに、山という純粋な世界が間違いなく存在していると実感できるから
※この景色もすごかった(北穂山頂から槍ヶ岳方面を臨む)