ガラパゴス通信リターンズ

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♪わしを野球に連れて行ってごせいや♪

2009-03-27 08:22:37 | Weblog
 フランスサッカーの英雄ジダンに、邦貨にして60億円だかの天文学的な移籍金が発生した時、ポーランド人のローマ法皇が、「あまりにも高すぎる。貧しい人を馬鹿にしている」と不快感をあらわにしたことがあった。まともな感覚である。ローマ法皇を怒らせたということは、神様を怒らせたということでもあるだろう。

 案の定、その後のジダンのサッカー人生は不運につきまとわれていた。2002年の日韓ワールドカップでは、足の怪我で試合に出られず、日本のテレビCMで「じだんだ」を踏んでいた。そして06年のドイツワールドカップでは、相手選手に頭づきを食らわせて退場になり、選手生命を終えている。神様を怒らせた報いである。

 イチローは、5年115億というとんでもないサラリーをもらっている。そのことについてイチローはこう言っている。「年俸1000万円の選手は、平安時代から現在まで稼ぎ続けなければこの額には届かない。500万円の選手なら弥生時代からだ。これはすごいことだ」。

 イチローも貧しい人を馬鹿にしている。いや、馬鹿にしまくっている。この発言は神の怒りを買うだろう。彼の選手生活は悲惨なものにならなければならない。ジダンの例が示すように。ところがそうはならなかった。大リーグの打撃記録を一世紀ぶりに破ったりもしている。神様は実はいないのではないかという、イワン・カラマーゾフ的疑念が頭をもたげてきた。

 WBCでイチローはひどい打撃不振に陥っていた。はじめから彼が打っていれば、日本はもっと楽に優勝できたはずだ。ヒットの打てないイチローをみて、ぼくは思った。これは貧しい人を馬鹿にしまくった報いだ。やはり神様はいたのだ、と。ところが決勝戦の最後の場面でタイムリーヒットを打って英雄になった。今回のWBCで証明されたことが二つある。アジアの野球のレベルの高さと、イワン・カラマーゾフの正しさだ。