「腐女子」というテーマで卒論を書く学生が毎年いる。ある学生が面白いことを言っていた。男のおたくは孤独な印象だけど、女おたくはつるむ感じがあると。腐女子の世界では男性同性愛が好んで描かれる。そうしたおかしな性的嗜好をもつ若い女性がたくさんいるとも思えない。ところが「腐女子」は、膨大にいる。女子高だとクラスの半分ぐらいが女おたく=腐女子であることも珍しくないという。
ジンメルは「女性と流行」というエッセイのなかで、人と変わったことをして目立ちたいという差異化の欲求と、人と同じようにしたいという同一化の欲求の合力として流行は生まれると述べていた。男の子は人のもたないものをもつことに強く執着する。80年代の元祖おたく世代は、珍しいセル画の収集に精力を傾けていた。逆にいまの女の子たちは、みんながもっているルイ・ヴィトンを欲しがる。みんなと同じものをもって安心したい気持ちが強いからだ。
「腐女子」もルイ・ヴィトンの仲間のように思われる。誰かがその手の同人誌を学校にもってくる。性に関心の強いお年頃である。みんなで回して読む。競うようにして読む。それを読まないと仲間はずれにされるかもしれないからだ。男性同性愛の描かれたおかしなマンガを読み、「あたし腐女子!」と名乗ることは、いまの女の子世界では、逸脱行動というよりはむしろ同調行動なのだ。それでうじゃうじゃ腐女子やら女おたくがうまれるのではないか。
みんなと同じで満足をしている。そして有名なアニメやマンガの「二次創作」(パロディ)が、おたくたちが作る同人雑誌では、大きな比重を占めている。既存の商品化された文化のなかに、いまのおたくたちの想像力は囲い込まれてしまっている。ここからは新しいものを作り出す力は生まれてこないだろう。マーケットの収縮だけではなく、想像力の枯渇という意味からも、世界に冠たる日本のマンガ文化の将来は明るいものとはいえない。
ジンメルは「女性と流行」というエッセイのなかで、人と変わったことをして目立ちたいという差異化の欲求と、人と同じようにしたいという同一化の欲求の合力として流行は生まれると述べていた。男の子は人のもたないものをもつことに強く執着する。80年代の元祖おたく世代は、珍しいセル画の収集に精力を傾けていた。逆にいまの女の子たちは、みんながもっているルイ・ヴィトンを欲しがる。みんなと同じものをもって安心したい気持ちが強いからだ。
「腐女子」もルイ・ヴィトンの仲間のように思われる。誰かがその手の同人誌を学校にもってくる。性に関心の強いお年頃である。みんなで回して読む。競うようにして読む。それを読まないと仲間はずれにされるかもしれないからだ。男性同性愛の描かれたおかしなマンガを読み、「あたし腐女子!」と名乗ることは、いまの女の子世界では、逸脱行動というよりはむしろ同調行動なのだ。それでうじゃうじゃ腐女子やら女おたくがうまれるのではないか。
みんなと同じで満足をしている。そして有名なアニメやマンガの「二次創作」(パロディ)が、おたくたちが作る同人雑誌では、大きな比重を占めている。既存の商品化された文化のなかに、いまのおたくたちの想像力は囲い込まれてしまっている。ここからは新しいものを作り出す力は生まれてこないだろう。マーケットの収縮だけではなく、想像力の枯渇という意味からも、世界に冠たる日本のマンガ文化の将来は明るいものとはいえない。