バイブルランドin福井

安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

キリストの食卓 07 カナの婚礼 03 わたしとどんなかかわりがあるのか 

2024-03-12 04:00:00 | キリストの食卓
ヨハネによる福音書
2:1 三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスの母がそこにいた。

 2:2 イエスも、その弟子たちも婚礼に招かれた。

 2:3 ぶどう酒が足りなくなったので、母がイエスに、

「ぶどう酒がなくなりました」と言った。

 2:4 イエスは母に言われた。「婦人よ、わたしとどんなかかわりがあるのです。

わたしの時はまだ来ていません。」


 2:5 しかし、母は召し使いたちに、「この人が何か言いつけたら、

そのとおりにしてください」と言った。

 2:6 そこには、ユダヤ人が清めに用いる石の水がめが六つ置いてあった。

いずれも二ないし三メトレテス入りのものである。

 2:7 イエスが、「水がめに水をいっぱい入れなさい」と言われると、

召し使いたちは、かめの縁まで水を満たした。

 2:8 イエスは、「さあ、それをくんで宴会の世話役のところへ

持って行きなさい」と言われた。召し使いたちは運んで行った。

 2:9 世話役はぶどう酒に変わった水の味見をした。

このぶどう酒がどこから来たのか、水をくんだ召し使いたちは知っていたが、

世話役は知らなかったので、花婿を呼んで、

 2:10 言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、

酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが、

あなたは良いぶどう酒を今まで取って置かれました。」

 2:11 イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行って、

その栄光を現された。それで、弟子たちはイエスを信じた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて結婚式の宴会も盛り上がってきたのですが、

このままでは、ぶどう酒がどうも足らなくなるということが、

支度している人たちが分かります。

もうかなり客人はほろいかげんですし、宴はたけなわですから、

肝心のぶどう酒がなくなるという失礼なことはできませんので

給仕する人たちはオドオドになってしまいます。

つまり華やかな宴会の舞台裏では大変なことが起こっていたのです。

そして宴会の裏方で給仕などを手伝っていたイエスの母、マリアは、

いち早くこのような困った状況を察知しました。

なんとかこれを打開しないと宴会を開いた主宰者に

恥をかかせることならないようにとマリアはイエスに

そっと「ぶどう酒がなくなりました」と伝えたのです。

母マリアの要望を聞いたイエスの答えは、

「婦人よ、わたしとどんなかかわりがあるのです。

わたしの時はまだ来ていません。」

という実に不思議な言葉です。

私はこれまで謎のような言葉をかなり安易に読み過ごしていたのですが、

今から20年間(2004年)に発行された

水平思考ゲームのような問題提起と考えれば

このイエスの謎のような言葉をひも解くことが可能だと思います。

この水平思考ゲームの火付け役は、

ポール・スローンです。別名、シチュエーションパズル(注・01)

とも言われますが、この福音書で出て来る記事はそのような

思考法の先駆けではないかと思います。

では謎解きをしていきます。

4節に「わたしとどんなかかわりがあるのか」とイエスは言われましたが、

問われた相手は母マリアですが、周囲にも幾人かの人がいたので

数人はこの会話を聞いていたはずです。

では、ほんとうのイエスの意図はいったいどんなことなのでしょうか。

水平思考方式で謎解きしていけば、「婦人よ」にキーワードはあります。

「婦人よ」というようなこのような呼び方は、

当時、敬意をもって女性に呼びかけるときに用いられた普通の言葉で、

母親には決して他人行儀で失礼な言い方ではありません。

心からの敬意の言葉なのです。

更に「わたしとどんなかかわりがあるのですか」という言葉も、

母親を突き放したような冷たい言葉ではありません。

母マリアの関心ごと、つまり「宴会のぶどう酒がない、どうかしてよ」と

いう思いと私(イエス)ご自身の思いとは全く違いますよ

という表現なのです。

ギリシャ語の本分を直訳すれば、

「あなたにとって何か、そして、わたしにとって」となるからです。

そこで母マリアはハッと気が付き(目覚めた)、5節にあるように

・・・召し使いたちに、「この人が何か言いつけたら、

そのとおりにしてください」と言った。・・・

のです。

そしてヨハネの福音書の記者は自分の最後の時、

あの最後の晩餐の席を水平思考で描いたのです。

最後の晩餐の後は何が起こったのでしょうか。

それはいうまでもなく、イエスの十字架の死でした。

そこで流された血を記念して、聖餐式を定められたのはイエスだったのです。

カナの宴会とエルサレムでの最後の晩餐は

オーバーラップして見る物語思考があれば、謎解きは可能です。


シチュエーションパズル(注・01)
思考パズルの一種。日本では「水平思考パズル」「水平思考推理ゲーム」「yes/noパズル」「ウミガメのスープ」とも言われる。また、「推理クイズ」と言われることもあるが、厳密にはクイズではない。シチュエーションパズルは通常、何人かのグループで遊ぶ。ひとりが問題を出し、他の人は「イエス(はい、肯定)」または「ノー(いいえ、否定)」で答えられる質問を出す(場合によっては「関係ありません」などの「イエス」「ノー」以外の答えもあり得る)。質問者は、出題者が考えているストーリー、あるいは物を推測して語る。それがすべての謎を説明できたとき、このパズルは解けたことになる。シチュエーションパズルは厳密なものではなく、ひとつ以上の適切な答えがあることも多いが、このパズルの目標はあくまでも出題者の考えを当てる事である。また、判断力と論理的思考力の他に、水平思考(「水平思考」という言葉はエドワード・デボノによって作られたもので、創造的な問題の解き方、与えられた状況を意外な角度から見る方法)も必要である。(ウィキ)

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