ルカによる福音書
◆レビを弟子にする
5:27 その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が
収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。
5:28 彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。
5:29 そして、自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した。
そこには徴税人やほかの人々が大勢いて、一緒に席に着いていた。
5:30 ファリサイ派の人々やその派の律法学者たちはつぶやいて、
イエスの弟子たちに言った。
「なぜ、あなたたちは、徴税人や罪人などと一緒に飲んだり食べたりするのか。」
5:31 イエスはお答えになった。
「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。
5:32 わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、
罪人を招いて悔い改めさせるためである。」
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さてレビの家での食卓風景はどのようなものだったのでしょうか。
イエスを中心にレビとその友人たちが賑やかな食事をしています。
これまで述べてきましたように当時の徴税人は
ユダヤ社会から最も嫌われていたのですから、
レビの友人たちはおどおどして警戒してこの食卓についたに違いありません。
差別と嘲笑と警戒を常にされ続けていた徴税人たちです。
私たちの日本でも差別の構造は職業的な面でも
経済的な差でも歴然とありますが、特に被差別部落はその最たる差別です。
いずれにせよイエスを招いたレビの食卓についた彼らはある意味では戸惑い、
半信半疑で席に着いたことでしょう。
しかし、イエスはレビやそこに招かれた人たちと楽しく会話をされ、
平等に声をかけてくださる和やかな食卓に
その警戒心も溶かされていったのです。
私たちが食卓といえば、レオナルド・ダ・ビンチの
「最後の晩餐」を思い出しますが、
その絵には、参加者が椅子に座って大きなテーブルを囲んでいる様子です。
しかし、それはダ・ビンチの時代の食事風景であり、
イエスの時代は、椅子に座ってテーブルを囲むような
食事をしてはいませんでした。
私も聖地旅行に行った時、エルサレムの一角にあったミュージアムに
最後の晩餐の席の展示室があって、その部屋には三方の壁と
平行する位置に3個の臥台を蹄鉄型に配置し、
1台につき2人または3人が半身に横たわって左手で体を支え、
右手で食事をするというのを体験ができました。
人数が多いときは、臥台を増やしていくのですが、
人数が多いと部屋いっぱいになりますので、
レビの食卓では、おそらく数人ぐらいではなかったかと思います。
そして3つの臥台の中央に食卓が置かれ給仕が
そこに食事を運んでくるという具合です。