創世記
4:17 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。
カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。
4:18 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、
メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。
4:19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラといった。
4:20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。
4:21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。
4:22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。
彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。
トバル・カインの妹はナアマといった。
4:23 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。
レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。
わたしは傷の報いに男を殺し/打ち傷の報いに若者を殺す。
4:24 カインのための復讐が七倍なら/レメクのためには七十七倍。」
4:25 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。
カインがアベルを殺したので、
神が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。
4:26 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。
主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。
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聖書の記録を残したイスラエル人は、
周辺の巨大帝国の記録が王国の建設から始まっているのですが、
町の建設から始めているのが特色なのです。
その意味するところは、文化の発生を問題にしているからです。
そして同時に職業文化について問題性を見ていたのです。
カインは農業で、そこから職業が分化していくのです。
創世記2章では、エデンの園の管理を任せられています。
これは農園の管理ではありません。
いずれにせよ神からこのような仕事を任せられたのです。
そして多様な仕事の始まりが17節以降の系図となっています。
そこには王国は一つも出て来ません。
しかも、後にイスラエル民族はカナンに進出しますが、
王国は建設されず、士師たちの支配、各部族の共同体といいますか
連合体が長く続きます。
ようやくサウルが初代の王に選出され、その後、ダビデ、ソロモンと続き、
王政が次第に確立されていきました。
しかし、それもわずか500年間で王国は崩壊します。
周辺に強大な大国が次から次へと誕生し、政治的な圧迫を受け、
北イスラエルがアッシリア帝国に滅ぼされ、
残った南ユダ王国はバビロニア帝国に支配され、
主だった指導者はことごとく捕囚となってしまいます。
それまでに至る記録の始まりが
創世記など長い記録が聖書に収められているのです。