バイブルランドin福井

安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

パスカルの最初の回心 03 病魔の苦難を耐え忍ぶパスカルの信仰とは  

2024-08-18 04:00:00 | パスカルが私たちに語りかけるもの
パスカルは世界で初めての計算機を完成や様々な物理の実験、

数学論文で名声を浴びていた反面、病魔がパスカルを襲ってきました。

引き続き姉の日記では


弟はこの頃、24歳でした。弟(パスカル)の衰弱は、相変わらず、

いよいよ酷くなっており、その様子は飲み物までも温めないと

喉を通らせることができないほどの重症でした。

しかも、1滴ずつでないと飲むことができませんでした。

なお、その上に弟は耐えられないような頭痛、激しい内臓の熱、

その他にも多くの病を持っておりましたので、医者たちから、

3ヶ月間、3日に一度の下剤をかけるように命じられていました。

ところがどんな薬でも服用するようになりますと、

それを飲めるような具合に、つまり薬剤を温めて、

一滴ずつたらしこむということをしなければなりませんでした。

それは本当に業苦でした・・・


このお姉さんの日記をもとにパスカルが亡くなった後、

今日まで多くの医師がその病気を詮索してきました。

しかし、これらの論文は姉の日記と完全に合致しているのではなく、

病気が複雑多岐なので正確には分からないようです。

まず

1・喉を通らない・・・消化器系統の疾患、または

食道か胃の噴門部に潰瘍があったのではないか

これはパスカルが死んで解剖がなされ、その記録には

「胃と肝臓がしなぶ衰え、腸が壊疽にかかっているのが判明した」

と明記されているのです。


2・激しい熱、耐えられないような頭痛

潰瘍からガン化して、腸や他の臓器、腸も肝臓、

周辺のリンパ腺に影響があったのではないか


これも解剖所見では「頭蓋骨に縫合はなく、泉門が幼少の頃から開いていた」

とあり、脳血栓、脳塞栓などを起こす要因があったといえます。

しかも複合的な潜在の病気が同時に出るので、姉はしばしば


「それらを見るだけでもぞっと恐ろしくなる」というほどでした。

また姉は

しかし、弟はそのことで愚痴一つもこぼさず、

何事も自分にとっては益となることだ、と思っていたのです。

つまり、弟は、もはや徳を学ぶこと以外に

どんな学問にも心を向けないと思っており、病苦を通じてこそ、

この建徳の道を全うできると悟っておりましたので、

自分の苦しみの一切を、罪の償いとして捧げたのです」


この「徳」について田辺さんは、ヴェルチュというフランス語の意味は、

単なる「道徳心、美徳」のたぐいではなく、

「勇気、精神力」の意味があり、

「人間として、その名に値するような精神的エネルギー」が

本来の意味だと指摘されています。

これは当然、品格、気力に通じる言葉だそうです。

パスカルはこのような病魔を通して、

このような病魔の苦難を耐え忍ぶことこそ、

人間として何よりも「その名に値する」唯一の道としてとらえ、

十字架上で極みまで苦しみを舐めつくしたイエス・キリストこそ、

その模範とし、キリスト者は、

その十字架を見据えなければならないと体験していくのでした。


コメント
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