
もうすぐ終戦の日
この時期になると
いつも
おばあちゃんの涙を思い出す
戦時中のことを知っている人に
話を聞くという宿題が出た
そのとき
おじいちゃんはもう
ガンで死んでしまっていたから
おばあちゃんに話を聞いた
うろ覚えだけど
残しておきたいから
書く
おじいちゃんは
戦争には行かなかった
赤紙は来たけど
1回目は視力が悪くて
2回目は病気で
徴兵はされなかった
きっと当時は
お国の役に立てないで…とか言われたんだろうけど
今となっては
本当に良かったよ
だけど戦争に行った
おじいちゃんとおばあちゃんの兄弟たちは
誰一人帰ってこなかった
おばあちゃんのおばあちゃんは
末の息子の訃報を聞いて
玄関で小便を漏らしたあと
気が狂ってしまった
戦争中は京都にいたから
空襲の心配はいらなかった
でも空腹は襲ってきた
おばあちゃんは
食べ物を手に入れるのに必死だった
毎日毎日
闇市に通った
お腹が空いて空いて
食べられそうなものは
なんでも食べた
毎日毎日
つらくて
苦しくて
あの頃は本当に
いいことなんて
ひとつもなかった
おばあちゃんはそう言って
黙ってしまった
手で隠していたけれど
泣いていたの
わたしは気づいていた
だから何も言えなくて
ただ黙っていた
そのあと
おばあちゃんに甘えたの
覚えてる
宿題じゃなかったら
聞くことはなかったかもしれない
その言葉を聞いておけて
本当に良かった
絶対に
繰り返しちゃいけないって
身に沁みたから
おじいちゃんの話も
もっとたくさん
聞いておけば良かったのに
素直になれなくて
反抗ばかりしていた
くだらないわたしは
なんてばかだったんだろう
悔しい
お坊ちゃまだったおじいちゃん
だけど会社が倒産して
借金を抱えて
たくさんたくさん苦労した
いつも本を買ってくれたおじいちゃん
雑誌の付録を作ってくれたおじいちゃん
本の虫で勉強家のおじいちゃん
習字が特技のおじいちゃん
甘党のおじいちゃん
時代劇が好きなおじいちゃん
音痴だけど歌が好きなおじいちゃん
毎日
コーヒーの中にリンゴやパンを入れて食べて
座布団の上でトランプをして
広告の裏に漢字を書いていたおじいちゃん
そんなこと思い出して
泣いてしまう
本当はそんな風景が
とても愛しかったよ
悪い子でごめんね
おじいちゃん
そんなおじいちゃんの文句を言いながら
本当はすごくおじいちゃんのこと
大好きだったおばあちゃん
わたしは悪い子だったけど
本当は2人とも大好きだったよ
もっともっと
たくさん
優しくすればよかったよ
ごめんね
大好きな2人のためにも
銃を持って戦わされている子どもたちのためにも
故郷を追われている難民たちのためにも
愛する人を失った人たちのためにも
絶対に
戦争なんて
繰り返してはいけないし
やめなきゃならないんだ
絶対に
この時期になると
いつも
おばあちゃんの涙を思い出す
戦時中のことを知っている人に
話を聞くという宿題が出た
そのとき
おじいちゃんはもう
ガンで死んでしまっていたから
おばあちゃんに話を聞いた
うろ覚えだけど
残しておきたいから
書く
おじいちゃんは
戦争には行かなかった
赤紙は来たけど
1回目は視力が悪くて
2回目は病気で
徴兵はされなかった
きっと当時は
お国の役に立てないで…とか言われたんだろうけど
今となっては
本当に良かったよ
だけど戦争に行った
おじいちゃんとおばあちゃんの兄弟たちは
誰一人帰ってこなかった
おばあちゃんのおばあちゃんは
末の息子の訃報を聞いて
玄関で小便を漏らしたあと
気が狂ってしまった
戦争中は京都にいたから
空襲の心配はいらなかった
でも空腹は襲ってきた
おばあちゃんは
食べ物を手に入れるのに必死だった
毎日毎日
闇市に通った
お腹が空いて空いて
食べられそうなものは
なんでも食べた
毎日毎日
つらくて
苦しくて
あの頃は本当に
いいことなんて
ひとつもなかった
おばあちゃんはそう言って
黙ってしまった
手で隠していたけれど
泣いていたの
わたしは気づいていた
だから何も言えなくて
ただ黙っていた
そのあと
おばあちゃんに甘えたの
覚えてる
宿題じゃなかったら
聞くことはなかったかもしれない
その言葉を聞いておけて
本当に良かった
絶対に
繰り返しちゃいけないって
身に沁みたから
おじいちゃんの話も
もっとたくさん
聞いておけば良かったのに
素直になれなくて
反抗ばかりしていた
くだらないわたしは
なんてばかだったんだろう
悔しい
お坊ちゃまだったおじいちゃん
だけど会社が倒産して
借金を抱えて
たくさんたくさん苦労した
いつも本を買ってくれたおじいちゃん
雑誌の付録を作ってくれたおじいちゃん
本の虫で勉強家のおじいちゃん
習字が特技のおじいちゃん
甘党のおじいちゃん
時代劇が好きなおじいちゃん
音痴だけど歌が好きなおじいちゃん
毎日
コーヒーの中にリンゴやパンを入れて食べて
座布団の上でトランプをして
広告の裏に漢字を書いていたおじいちゃん
そんなこと思い出して
泣いてしまう
本当はそんな風景が
とても愛しかったよ
悪い子でごめんね
おじいちゃん
そんなおじいちゃんの文句を言いながら
本当はすごくおじいちゃんのこと
大好きだったおばあちゃん
わたしは悪い子だったけど
本当は2人とも大好きだったよ
もっともっと
たくさん
優しくすればよかったよ
ごめんね
大好きな2人のためにも
銃を持って戦わされている子どもたちのためにも
故郷を追われている難民たちのためにも
愛する人を失った人たちのためにも
絶対に
戦争なんて
繰り返してはいけないし
やめなきゃならないんだ
絶対に
全然してあげられなくて
後悔ばかり残るよ
大事な人には
ちゃんと大事って言って
行動しなくちゃね