空と無と仮と

沖縄タイムスの第三者委員会報告書について③

前回の続きです。

 なぜ内部告発にこだわるのかという点についてですが、まずは下記に引用を提示します。


 報道機関として国民の知る権利の一端を担い、不正を監視し正すべき立場にある新聞社において、個人的とはいえ在職中の社員らが不正な行為に及ぶことを防止できなかったことに対する社会的責任を痛感すべきである。


 新聞をはじめとするマスメディアの責務に関しては特に説明するまでもなく、上記の引用文に異議を唱えることはないと思われます。
 
 今回のケースは「不正を監視し正すべき立場」が瓦解したも同然です。

 一企業や組織、団体の不正行為、不法行為、不祥事といったものは、その性質上大体が内部告発といった内側からのリークによって明るみになるものです。そしてそういった情報をキャッチし公共の場で訴えるのがマスメディアであることは、これも特に詳しく説明するまでもありません。
 内部告発のいわば「受け皿」となるのがマスメディアであるはずなのに、そのマスメディアであるはずの沖縄タイムス社は、内部告発を「しなかった」「できなかった」「させなかった」のいずれかであることが露見しました。「受け皿」が割れているのです。
 
 本来内部告発の受け皿としての責務を果たさなければならない沖縄タイムスが、一社員の不正受給の発覚によって、その機能不全が明るみになったということについて、ほとんど議論されていないのです。 


 社員による不正な申請の可能性を会社へ報告していないが、仮に内部監査室や内部通報制度など不正行為の情報を会社(役員や上司など)へ提供できる制度が充実していれば、早期に事案を把握し、受給前に申請を取り消させるなどして不正な受給を防止できた可能性もないとはいえない。


 上記も報告書からの引用です。
 不正を通報する制度があれば防止できたかもしれないという主旨だと思いますが、今回の不正受給に関していえば厳格な制度があろうとなかろうと、通報すべき事案であることは明白だと思います。
 そもそも、新聞社の社員が受給要件を満たしていないことは、持続化給付金を世間一般に知らしめるはずの新聞社自身が知らないはずがない、ということは容易に想像できます。そして少なくとも3名の沖縄タイムス社員が関与していたということは、彼らはよっぽどのバカではない限り不正だと気づいていたはずなのです。
 そのような事情にかかわらず内部告発を「しなかった」あるいは「できなかった」「させなかった」という沖縄タイムス社の実態こそ、沖縄タイムス社が徹底的に調査し改善させるべき重要事項だと思うのです。
 もっと辛辣な批判が許されるならば、内部告発そのものを理解していない組織に、内部告発によって得られた情報を的確に把握し処理することが可能かどうかさえ疑ってしまうのです。
 さらには前述の通り、発覚したケース以外の不正は内部調査によって皆無だったという報告は、内部告発を「しなかった」あるいは「できなかった」「させなかった」という実態が継続しているという事実が仮にあるとすれば、3名以外も不正受給を把握していた可能性をも捨てきることができないということにもなるのです。組織的隠蔽も考慮に入れなければならないのかもしれません。


次回以降に続きます。

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